103P/Hartley 2 ハートレー第2彗星

概要。

文献によっては「ハートリー」「ハートレイ」とも。正式名称に「第2」はつきません。近日点付近で地球軌道まで近づく典型的な木星族の彗星です。かつてはq=2auを超える軌道だったものが、1947年と1971年に木星に接近してq=1.0となって地球付近まで降り、1986年に発見されたようです。1985年の回帰までは観測条件が悪く、1991年の回帰がこの彗星として初めての好条件の回帰となったようです(参照)。

集光の弱さと、近日点前後での光度変化の非対称性が特徴です。コマの実直径は3回の回帰でほぼ同じで、0.002au程度でした。2010年の回帰では探査機が接近し、2つの塊がくっついたような核の姿が捉えられました。(2015-05-02記)

2010年の回帰

2010年10月20日に地球に0.12auまで接近した回帰です。この接近はかなり以前から何かの書籍で知っていたので、待ち望んだ回帰でした。地球に接近したので、双眼鏡でも大きなコマが見えましたが、拡散していたため望遠鏡との光度の見積もりにかなりの差が出てしまいました。コマ視直径は20'にも達しましたが、実直径は過去の回帰と同じ0.002au程度だったようです。肉眼では視力の限りを尽くしてなんとか1回見ることが出来ました。短周期彗星を肉眼で見る機会はそうそう無いでしょう。

光度は過去2回同様「近日点前は急激に増光し、通過後にピークを迎えると緩やかに減光」するパターンでしたが、以前よりは近日点の前後での光度変化の差が小さくなって、対称的な変化に近づいているようにも見えます。観測数が少ないので確証はありませんが。

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1997年の回帰

1991年同様、集光の弱い姿が特徴でした。観測数が少なく、かつ光度変化幅が小さいため精度は良くありませんが、光度は1991年と同様近日点前急激に増光し、通過後にピークを迎えてから緩やかに減光したようです。

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1991年の回帰

初めての好条件での回帰でした。降りてきたばかりの新鮮な彗星だったため、どこまで明るく見える不安でしたが、ほぼ予想通りに増光し、集光の弱い大きなコマが特徴でした。新発見の周期彗星の観測は、当時の私にとってはほとんど初めてだったので非常に印象深かったことを覚えています。

光度をグラフ用紙にプロットすると、近日点前後で光度が非対称になっており、近日点後の方が光度が明るくなっていました。単純な光度式では表現出来ず、当時いろいろ考えた結果、標準等級(H)自体を近日点通過からの日数で(1次式で)スライドさせると1つの光度式ですべての観測をうまくフィットさせることができました(式自体は忘れてしまいましたが)。

近日点前の観測はm1 = 9.7+5logΔ+27log r、近日点後はm1 = 8.8+5logΔ+9.4log r。光度ピークをずらした場合は、m1 = 9.08+5logΔ+15.36 log r(t-20)で、近日点通過20日後にピークを迎える光度式が求まりました。近日点前は急激に増光し、通過後にピークを迎えると緩やかに減光したようです。

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観測記録一覧

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8.76UT m1=9.8, DC=3, dia=3' (8.0cm屈折 46x)

新発見の周期彗星にしてはかなり明るい方だろう。予報位置とほとんどちがわない所に見えた。光度は1991qよりも低いが、はっきり見える。核はおそらく存在している。コマは淡いが、直径は大きめで、集光度は低い。近くの9.5等星よりは暗いが1等は離れていない。10等前後。1991qは薄明のため見えなかった。

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  • 15.73UT m1=9.7, DC=3, dia=3' (8.0cm屈折 73x)

前回に比べ少し光度は上がっているようだ。K40(8センチ23倍)でもよく見えた。光度は9.5等星よりは暗いが、その差は僅かである。核は確かに存在することが確認出来なかった。コマは大きいが、集光は低い。1/5(DC=2)程度のこともある。

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  • 31.75UT m1=9.3, DC=4, dia=3' (8.0cm屈折 73x)

目がくらむほどの月光にもかかわらず、非常にはっきりした像で見えた。輝度が高くなっている。集光度も高くなっている。核ははっきりしないが内部コマも明るめだった。光度も確実に上昇している。月を考えればもっと高いかも。

ウィルタネン・レビーは見えず。10.5等以下だろう。

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9.74UT m1=8.4, DC=4-5, dia=4' (8.0cm屈折 73x)

月明もなくなりかなり見やすくなった。星図と光度を比較すると、10日でかなり明るくなっているようだ。少なくとも8.6等以上、8.3等の可能性もある。コマも集光を増して内部コマも明瞭になっている。核もあるらしい。コマの大きさも増している。また、コマは反太陽側に薄い部分がひろがって尾をうかがわせている。細い尾があるかもしれない。

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初めて光度が下がった(近日点後初観測である)。透明度は良いがモヤがあり結露と光の拡散がある。光度は0.1~0.2等以上上方修正も。コマは内部に1'程度の明るい部分があり、集光度も高めである。恒星状の核は確認出来ず。彗星は20~9ミリ接眼鏡がもっとも良く見える。

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  • 01.81UT m1=8.8, DC=4-5, dia=4' (8.0cm屈折 73x)

晴れるとは思わなかったので、観測始が薄明になってしまった。しかし1991tは容易に見えた。核はほぼ恒星状、光度は付近の9等星(8.5~9.5等)と比べて決めたが、0.2等程度の誤差はあるだろう。また、もしかしたら細い尾があったかも知れない。月と薄明がなかったらもっとよく分かっただろう。

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13.79UT m1=8.9, DC=3, dia=4' (8.0cm屈折 73x)

わずか2週間たらずでずいぶん光度が下がったように見えた。光度そのものはあまり下がっていないらしいが集光度の方が低下しているようだ。コマは依然として大きい、核も恒星状であるがコマの輝度も低くなっている。コマに接するように10等程度の恒星がある。

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15.80UT m1=9.2, DC=4, dia=3' (8.0cm屈折 73x)

確実に光度を落としている。といってもまだ明るい。9.5等星よりは0.数等は高い。しかし中心はあまり集光していない。核のごく近くに恒星がありはじめのうちはほとんどコマの中心にあり、核かと思いそうなほどだった。核は辛うじて恒星状。尾が存在するようだ。コマの端がのびているように見える。

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08.81UT m1=10.2, DC=1, dia=3' (8.0cm屈折 73x)

数時間前まで雨が降っていたせいか透明度が非常に良い。はっきりした姿で捉えられた。集光度はかなり下がっている。コマは2層程度に分かれているが、外側はかなり広く拡がっている。形状も少し不規則。核はあっても11等以下。光度は9.5等星に近い。10.0等の可能性もあり。尾は不明。5'程度か?彗星の近くには微星が多い。

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14.81UT m1=10.5, DC=2, dia=2' (8.0cm屈折 73x)

2つの恒星に挟まれた位置なので、比較的たやすく見つけられた。とはいっても注意深く見ないとすぐ見えなくなる。コマはかなり淡いが、依然拡がっている。核のようなものが見えた気がした。(11~12等)ある程度の集光も残っている。光度は低く、0.2~0.3等の誤差もありうる。9.5等より1等級以上低いように思えるが、コマが大きいので多少明るめにみている。観測不能が間近に迫っている。

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28.61UT m1=9.0, DC=3-4, dia=4', (20.3cmSCT 62x)

夕方まで曇天だったが急に晴れてきた。前回と比べ月が細くなりバックが黒くなって見やすくなった。コマが拡がっているのがわかる。一方で中央集光もある。光度は9.2~8.8等はありそう。M110より0.5~1等は明るく大きい。

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  • 10.67UT m1=6.1, DC=3, dia=30' (5.0B7x)
  • 20.69UT m1=5.6, DC=3, dia=0.5° (naked-eyes 1x)

とくに輝くでもなく、むしろ淡いがコマの面積が大きいため光度は明るい。5.79~6.1等星とほぼ同程度。コマに8~9等星があるため+0.3等級とした。集光は弱い。肉眼でも長時間観測。視力の限りを尽くして辛うじてわかる(極限等級5.9~6.1等)。双眼鏡でM33より輝度が高く0.5~1等は明るい。

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  • 1.757UT m1=7.5, DC=4, dia=8', (20.3cmSCT 62x)
  • 1.758UT m1=6.0, DC=3-4, dia=16' (5.0B7x)

なんと3週ぶりの観測になってしまった。途中1回双眼鏡で見たが6等だった。期待したほどの明るさではない。集光はあるがコマは小さくなったようにも思える。外側はよく拡散している。双眼鏡では小さくなったように思える。