彗星アーカイヴ

20cmなどの眼視観測によるスケッチがメイン。ごく稀に写真。「投稿日」は観測日時に合わせてます。
昔のスケッチもこっそり上げるため、突然10年以上前の「投稿日」が出るかも。

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  • 10.74UT m1=10.6, DC=3, dia=2' (20.3cmシュミットカセグレン 100倍)

1時すぎに空を見ると久々の快晴。透明度はいまいちだったがなんとか5ヶ月ぶりに彗星を見ることができた。20cm62倍で小さな存在がわかる。100倍の方が良い。小さい中央集光があり、コマは拡散しているようだが透明度が悪くよくわからない。目が暗さに慣れてきたところで雲が広がってしまった。微星は描けず。光度は10.6~10.7等(TJ)。U4で11.0等。

2018年の年末に発見された新彗星です。岩本氏は先月のC/2018 V1に続く発見で、発見情報が流れた際には、V1の発見と勘違いする人もいたほどです。私個人的には、前回の「岩本彗星」(C/2013 E2)は微光で見ることができなかったので、約6年ぶりにその雪辱を果たせました。

発見時は明け方の空にありました。地球に向かってまっすぐ接近中で見かけ上ほとんど移動していなかったため、軌道が確定するまで時間がかかりました。一時は地球に0.1auまで大接近する軌道も計算され、大いに期待されましたが、結局0.3auに接近する軌道に落ち着きました。それでもこの彗星としては最良の条件で、地球とすれ違うようにして大きく移動する様子が楽しめました。

私が初めて見た頃は拡散した微光の姿でしたが、急速に接近し、衝の位置で最接近した頃には双眼鏡でも6等星として楽しめました。海外では肉眼でも見られたようです。

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1889年にL. Swiftにより発見された歴史ある周期彗星で、当初は「スイフト彗星」と呼ばれていました。1895年にはSwiftが別の周期彗星を単独発見したため、以降「スイフト第1彗星」と改称されましたが、1回のみの出現の後は姿を見せず行方不明となりました。1973年にTom Gehrelsにより発見された微光の彗星が、この彗星の再発見であることが判明し、以降は「スイフト・ゲーレルス彗星」と呼ばれています。

2018年の回帰は、近日点を通過する11月頃に地球に0.4auまで接近する好条件で、9等級程度に明るくなる予報も出されていましたが、同じ時期に46Pや38Pも回帰するため、あまり注目されていませんでした。ところが、8月になってバーストを起こしているとの情報があり、観測を試みたところ、数回挑戦した後、見ることができました。

拡散した姿でしたが、実際に9等級まで明るくなりました。海外では8等台の報告も多かったようです。拡散した大きなコマを含めると明るく見積もられるのでしょう。近日点に近づくと急激に明るくなるタイプのようで、今回もバースト的増光として捉えられました。

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急増光後の光度観測からは、私だけの値からも、COBSの報告値からも、近日点通過後約2ヶ月後に光度のピークが来る光度式が得られました。

2018年の回帰は前後100年で最高の条件でした。2028年、2036年の回帰では1auより近づきませんが、2046年には地球に0.5auまで接近するようです。

38P/ステファン・オテルマ彗星は、1867年にフランスのコッジア(Jérôme Eugène Coggia)が未知の銀河として発見、ステファン(Édouard Jean-Marie Stephan)は彗星として独立発見しました。約40年の周期が計算されましたが、次回の回帰には検出されず、もう1周した1942年にフィンランドのオテルマ(Liisi Oterma)が再発見しました。現在では第1発見者のコッジアではなく、ステファン・オテルマの連名で呼ばれる彗星となっています。

1925年版「理科年表」では「1867Ⅰ(コッジア彗星)」として記載されていますが、再発見を報じる1943年発行「天界」では「ステファン星」とされているので、当時は学者の間で統一的な名称が定まっていなかったのかもしれません。なお、この時の天界に記載されている"天王星族の彗星として2回以上の再歸が發見されたものは,ボン・コジャ星1818Ⅰと"の「ポン・コッジア彗星」は、のちの「27P/クロンメリン彗星」です。

前回の近日点通過は1980年で、私がまだ小学生だったので見ることはできませんでした。図鑑などで、かに星雲M1に接近するこの彗星の写真などを見ながら、いつか見られるかもしれないこの彗星に思いを馳せることもありました。

そしてついに訪れた2018年。この回帰も条件が良く、夜半の空高く9等級の明るさで見られる予報です。同じ時期に46P/ウィルタネン彗星も大接近する予報でしたが、個人的には38Pの方を期待していました。

初観測は9月。12等の微光でかろうじて光斑として確認できる程度でした。これからもっと増光して見やすくなる・・・と期待しましたが、結果的には10等止まりの小ぶりな姿に終わりました。それでも、条件の良いときには短い尾が伸びる様子は楽しめました。

最終観測は1月末。2月以降も光度的には見られたはずですが、天候の悪い日が多く、「まだ見られる」と思って観測をサボっていた間に視界から去ってしまい、尻切れトンボのような形で最終観測を迎えてしまったのは少々心残りです。

予報より光度は1等ほど暗めでしたが、COBS報告値でもほぼ同じ傾向でした。私のみの観測値とCOBS全体の値から導いた光度式は、数値上では大きく違いますが、グラフに描画してみるとほぼ同じです。

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次回の回帰は2056年8月。今回ほど条件は良くなく、近日点通過後に明け方の空低く11等で見られる程度かもしれません。5年後にはハレー彗星も控えているので、病気と事故に気をつけながら長生きしたいと思います。

2018年11月8日の明け方(JST)の低空に発見された彗星です。当初は日本人2名による発見情報がネット上で伝えられ、約1日後には暫定名称DM001の天体として、マックホルツ氏による発見観測も公表されました。数日間は軌道が定まらず、一時はC/1870 W1(ウィンネッケ彗星)との類似性も指摘されましたが、12日になってようやく、MPECで3名連名の彗星「マックホルツ・藤川・岩本彗星」として発表されました。

近年では彗星名は2名までとされているため、3名連名の彗星名は異例です。さらに、眼視捜索による彗星発見はC/2010 F4(マックホルツ彗星)以来8年ぶり日本人による(彗星名のついた)発見はC/2013 E2(岩本彗星)以来5年ぶりでした。

軌道は12月3日に0.38auの近日点を通過する放物線軌道で、肉眼彗星に成長する可能性もありましたが、小型の彗星のため消滅する可能性がありました。発見以来なかなか晴れてくれず、初めて見た1週間後までは落ち着かない日々が続きました。

結局太陽に最接近するまで私は3回しか見ることができず、彗星も衰弱して行ってしまいました。それもわずか8日間だったので、複数回見られただけでも幸運だったかもしれません。

標準等級は11~12等で消滅が危惧されましたが、他の観測によると、彗星は近日点後も完全消滅はせず、かろうじて生き残ったようです。グラフ画像の観測値はCOBSに報告されたものです。

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  • 2018Y1_010.jpg
  • 31.47UT m1=11.8:, DC=2, dia=1' (20.3cmシュミットカセグレン 133倍)

またしても1ヶ月ぶり。今度こそは無理かと思ったが、なんとかわかる。11等星に接していて探しやすいが、見にくい。20cm100倍で11等星の周りがわずかにかすんでいる。133~167倍で11等星の近くに淡い凝集がある。ただ、微か。近くの12等星よりは少なくとも明るい。11等星がなければコマがもう少し大きく見えたかも。

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  • 0123P-2019_004.jpg
  • 08.69UT m1=12.1, DC=3-4, dia=1' (20.3cmシュミットカセグレン 133倍)

1ヶ月ぶり。以前より空の透明度が悪くあまり期待していなかったが、20cm62倍でわかるぐらいあっさり見えた。少し増光しているかも。62倍では微星と区別が付きにくいが133~167倍では小星雲状。集光がある。近くの11.6~12.7等星の中間程度。12.3等星に近い。

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  • 2018Y1_009.jpg
  • 08.50UT m1=9.5, DC=3, dia=4' (20.3cmシュミットカセグレン 62倍)

1ヶ月近く空いてしまった。もう拡散して見えないかもと思ったが、なんとか確認できた。光害のひどい空でもまだわかる。ただ、一旦視野に入れてすぐに見つけた後、星の位置を間違えて2度目に見つからず、軌道を再確認してしまった。それぐらいに淡い。集光は弱いが、20cm100倍ではDC=3-4に見える。コマは拡散状。光度はB法では10.1等星なみ。S法で9.3、9.7等星とほぼ同じか。この空の悪さで見えるなら意外と明るいかも。

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  • 2018Y1_008.jpg
  • 11.75UT m1=7:, DC=4, dia=12' (20.3cmシュミットカセグレン 62倍)

20cmは久しぶり。以前よりかなり明るく、中心は輝くように見える。一時期の46Pのよう。コマは巨大で集光が強い。167倍ではちかくの12.4等星と同じ程度の光度の恒星状核がわかる。中心部を注視したが尾のような構造はわからず。スケッチする間にもぐんぐん移動してしまい、あっという間に7等星に接近していった。地球に近いためか、先週の古い星図の位置と数分ずれていた。

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  • 2018Y1_007.jpg
  • 11.73UT m1=6.6, DC=3, dia=25' (5.0cm双眼鏡 7倍)

2時前に見た時は、7等星に近く、小さい集光部のみが見えていたが、次第にその星から離れ、大きく拡散したコマが見えてきた。かなり遠くまで拡がっているよう。明瞭な集光もある。光度は近くの輝星(6.8等)より暗く、あまり増光していない?と思ったが、その輝星は6.8等ではなく5.4等星だった。近くの本当の6.8等星よりはやや明るく見える。3時ころには西にある7等星にかなり接近した。スケッチはレグルスを入れてみた。