41P/Tuttle-Giacobini-Kresák タットル・ジャコビニ・クレサック彗星

2017年の大接近

IMG_9725.jpgタットル・ジャコビニ・クレサック彗星(クレサク・クレサークとも)・・・長いですが、この名前だけでも歴史を感じさせてくれます。私がこの彗星の存在を知ったのは「彗星ガイドブック」に紹介された、1973年に14等だったものが4等までバーストして見えたという記述だったと思います(本の出版は1976年ですが、読んだのは1980年代後半か90年代)。

1995年にバーストを起こし8等級まで増光したそうですが、そのニュースを知ったのは1ヶ月遅れの天文雑誌で、天候も悪い時期で観測は間に合いませんでした。2000-1年に8等まで増光した回帰は、PCを購入してネットが繋がる直前だったので、情報を得られず見るチャンスに恵まれませんでした。9等まで増光した2006年の回帰も、夕方で、かつ天候が悪い時期だったので見逃してしまったようです。

そんな事情もあり、30年近く見逃し続けてきたこの彗星が、2017年春に地球に大接近し、今度こそは見える!と期待して臨み、ようやくその姿を拝むことが出来ました。

毎回のようにバーストを起こすため、今回は間近からその様子が見られるかもしれないと期待されましたが、結局バーストは起きなかったようです。0.14auまで接近したおかげで7等級(COBSでは6等)まで明るくなり、5cmクラスの双眼鏡でも見ることが出来ました。しかしながら非常に拡散していたため、空の条件に見え方は左右され、透明度が悪いと7等でも全く見えないほどでした。直前に接近した45P/本田・ムルコス・パジュサコバ彗星を連想させる姿でした。

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拡散していたおかげで光度測定は難しく、1等以上のばらつきがありますが、近日点に急増光するタイプらしいことはわかります。私の観測値からはm1 = 11.05+5logΔ+26.9 log r(一部の値を除く)が得られました。

今世紀中は、2017年を上回る接近は残念ながら起きないようです。

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観測記録一覧

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  • 17.60UT m1=11.2, DC=2, dia=3' (20.3cmSCT 62x)

30年来の念願だった41Pを初めて見ることが出来た!20cm62倍でかろうじてわかる。見つけてすぐに雲に覆われたため、30分以上待たされた。非常に淡く集光が弱いが、コマ自体は大きく光度としては暗くない。近くの10.9~11.3等星と同じ程度。100倍で集光部のみがわかる。167倍では13等程度の星状核があるようにも見える。月が昇る時間になって見にくくなってしまった。透明度はあまり良くない?

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  • 21.69UT m1=8.0, DC=1, dia=13' (5.0cmB 7x)

直前まで雨が降っていたが、急速に晴れて風が出てきた。透明度は、冬では物足りないがこの季節としてはまずまず。5cm双眼鏡では極めて微かで、8等星の近くを注視して。目をそらし気味にして辛うじて拡散した光斑が見つかる。45Pのピーク時より暗い印象。8等星にほぼ接している。集光はほとんどない。ピントをぼかすと、ちかくの7.5等星なみ。8等星(8.8等)の寄与分を除いて8.0等。M97は、41Pより暗いのか、見えそうで見えない。

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  • 13.78UT m1=7.4, DC=1, dia=10' (5.0cmB 7x)

満月光が強く、スケッチするつもりはなかったが、5センチ双眼鏡であっさり見えたため5分で急いで描いた。8等の微星に接する位置にある。平坦な小片。他にも多くの微星が見えたが、描く時間や望遠鏡を向ける時間がなかった。光度は難しいが、ちかくの7.05等星、AH(6.5-7.7等)と同程度。(接している)8.5等星の寄与分を除いて7.4等とした。

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  • 05.75UT m1=8.4, DC=1-2, dia=8' (20.3cmSCT 36x)
  • 05.75UT m1=7.4, DC=1, dia=11' (5.0cmB 7x)

5月1日には見えなかったが、今夜は透明度のおかげで見ることが出来た。20cm36倍でまず1'~2'の集光部が見え、よく注意するとその外周に非常に大きく淡いコマが拡がっている。範囲は定めにくい。大きくピントをぼかすとちかくの8.5等星並の明るさはありそう。5cm7倍双眼鏡では、彗星の位置に「星ではない何か」がある感じ。ほぼ天頂で、三脚を傾けないと見えない体勢だった。