C/2018 Y1 (Iwamoto) 岩本彗星

夜空を一気に駆け抜けた双眼鏡彗星

2018年の年末に発見された新彗星です。岩本氏は先月のC/2018 V1に続く発見で、発見情報が流れた際には、V1の発見と勘違いする人もいたほどです。私個人的には、前回の「岩本彗星」(C/2013 E2)は微光で見ることができなかったので、約6年ぶりにその雪辱を果たせました。

発見時は明け方の空にありました。地球に向かってまっすぐ接近中で見かけ上ほとんど移動していなかったため、軌道が確定するまで時間がかかりました。一時は地球に0.1auまで大接近する軌道も計算され、大いに期待されましたが、結局0.3auに接近する軌道に落ち着きました。それでもこの彗星としては最良の条件で、地球とすれ違うようにして大きく移動する様子が楽しめました。

私が初めて見た頃は拡散した微光の姿でしたが、急速に接近し、衝の位置で最接近した頃には双眼鏡でも6等星として楽しめました。海外では肉眼でも見られたようです。

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観測記録一覧

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  • 2018Y1_002.jpg
  • 09.84UT m1=10.7, DC=4, dia=2' (20.3cmシュミットカセグレン 100倍)

4日の時はかすかでよくわからなかったが、今日は明瞭にわかる。12等の微星に接している。20cm62倍でも存在がわかる。倍率を上げると集光がわかり、小さく中央集光が認められる。光度はちかくの10.7等星とほぼ同じ。東の3重星の合成等級ともほぼ同じ(10.7等)。

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  • 2018Y1_003.jpg
  • 13.85UT m1=10.4, DC=3, dia=3' (20.3cmシュミットカセグレン 62倍)

一見してわからないが、注意すると20cm100倍で小さい集光が見えてくる。暗くなったのかと思ったが、62倍で見ると拡散した大きいコマがわかる。167倍では中心部しかわからない。かなり淡く見にくいが、光度としては明るく見積もれる。近くの10.6~10.7等星に近いが、9.7等星とも比較できる。この中間程度かも。決定にかなり迷う。高度が高ければ9等台に見えていたかも。

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  • 2018Y1_005.jpg
  • 01.80UT m1=9.1, DC=3, dia=5' (20.3cmシュミットカセグレン 36倍)

最初に向けた位置にはいないと思ったら、古い軌道要素だったため30'もずれていた。9等星に近くほぼ接している。大きく拡散したコマ。46Pより明るいかも?ほとんど集光はないが、167倍では小さい中央集光がわかる。核があるかも。

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  • 2018Y1_006.jpg
  • 06.74UT m1=7.0, DC=2, dia=20' (5.0cm双眼鏡 7倍)

湿度が高く、透明度はいまいちだが5cm双眼鏡ではっきり見える。淡いが目が慣れるとコマが大きく広がっているのがわかる。集光は弱く核は見当たらない。スケッチする間にも彗星が移動してしまう。光度は近くに6等星があり、測定しにくい。付近の7等星とほぼ同じようだ。

※スケッチ原本中の「βVir」は誤りで、正しくは「ηVir」です。

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  • 2018Y1_007.jpg
  • 11.73UT m1=6.6, DC=3, dia=25' (5.0cm双眼鏡 7倍)

2時前に見た時は、7等星に近く、小さい集光部のみが見えていたが、次第にその星から離れ、大きく拡散したコマが見えてきた。かなり遠くまで拡がっているよう。明瞭な集光もある。光度は近くの輝星(6.8等)より暗く、あまり増光していない?と思ったが、その輝星は6.8等ではなく5.4等星だった。近くの本当の6.8等星よりはやや明るく見える。3時ころには西にある7等星にかなり接近した。スケッチはレグルスを入れてみた。

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  • 2018Y1_008.jpg
  • 11.75UT m1=7:, DC=4, dia=12' (20.3cmシュミットカセグレン 62倍)

20cmは久しぶり。以前よりかなり明るく、中心は輝くように見える。一時期の46Pのよう。コマは巨大で集光が強い。167倍ではちかくの12.4等星と同じ程度の光度の恒星状核がわかる。中心部を注視したが尾のような構造はわからず。スケッチする間にもぐんぐん移動してしまい、あっという間に7等星に接近していった。地球に近いためか、先週の古い星図の位置と数分ずれていた。

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  • 2018Y1_009.jpg
  • 08.50UT m1=9.5, DC=3, dia=4' (20.3cmシュミットカセグレン 62倍)

1ヶ月近く空いてしまった。もう拡散して見えないかもと思ったが、なんとか確認できた。光害のひどい空でもまだわかる。ただ、一旦視野に入れてすぐに見つけた後、星の位置を間違えて2度目に見つからず、軌道を再確認してしまった。それぐらいに淡い。集光は弱いが、20cm100倍ではDC=3-4に見える。コマは拡散状。光度はB法では10.1等星なみ。S法で9.3、9.7等星とほぼ同じか。この空の悪さで見えるなら意外と明るいかも。

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  • 2018Y1_010.jpg
  • 31.47UT m1=11.8:, DC=2, dia=1' (20.3cmシュミットカセグレン 133倍)

またしても1ヶ月ぶり。今度こそは無理かと思ったが、なんとかわかる。11等星に接していて探しやすいが、見にくい。20cm100倍で11等星の周りがわずかにかすんでいる。133~167倍で11等星の近くに淡い凝集がある。ただ、微か。近くの12等星よりは少なくとも明るい。11等星がなければコマがもう少し大きく見えたかも。