C/2015 V2 (Johnson) ジョンソン彗星

北天で息長く見られた彗星

2015年11月にカタリナ・スカイサーベイで発見された彗星です。当初は2017年6月の近日点通過頃に肉眼彗星まで発達すると期待されていましたが、増光ペースは鈍く、結局7~8等どまりでした。しかし、遠くにありながら尾は発達し、写真では見事なダストテールが観測されました。

私が初めて見たのは近日点から半年以上前の2016年11月。凝視してかろうじてわかる程度の小彗星に過ぎませんでした。それが、ゆっくりとしたペースでじわじわと増光し、比較的集光の強い彗星として長らく楽しめました。夜中の北天にあり観測条件としても良好でした。2017年6月には5cm双眼鏡でもわかる7等台の明るさまで発達し、眼視でもかすかな尾がわかりました。尾の方向は反太陽とは全く違って彗星軌道に沿った方向に伸び、その点でも興味深い彗星でした。

近日点通過の6月以降は天候不順が続き、しかも南天に下がってしまったため、ほとんど観測できず、若干消化不良気味に彗星の観測が終わってしまいました。南半球ではもう少し見えているはずです。

2015V2mag.png

得られた光度式は私の観測からはm1 = 7.05+5logΔ+6.22 log rで、log rの値が小さく、太陽に近づいてもほとんど発光が増えてなかったことがわかります。

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観測記録一覧

2015V2_001-editPosi.jpg

  • 03.81UT m1=13.3:, DC=5, dia=0.5' (20.3cmSCT 206x)

透明度は良いがシンチレーションはひどい。微星がすべてぼける。11等と13等の微星からなる重星のそばに彗星がかろうじてわかる。集光が強くごく小さい。わずかに拡散。光度は微星(13.4等)とほぼ同じ。ただ、拡散しているぶん見にくい。ごく淡いためやや自信がない。

(補足)2017年の夏に7等級まで明るくなることが期待されている彗星です。1ヶ月前の10月7日朝にはまったくわからず、この日は今季最良の透明度のもとでの「初」観測となりました。彗星は20センチでは非常にかすかで、100倍~206倍で凝視してかろうじて存在がわかる程度でした。時折明瞭に集光のある姿がわかりましたが、すでに見ている写真等のイメージによる錯覚の可能性も捨てきれないので、光度観測の各所への報告は(現時点では)行わないつもりです。

2015V2_002-editPosi.jpg

  • 29.81UT m1=12.3, DC=4-5, dia=0.6' (20.3cmSCT 133x) 

広角重星の近くにある。きわめて淡い。20cm62倍ではほとんどわからず、100倍以上で存在がわかる。集光のあるごく小さい姿だが、167倍~206倍ではやや集光が弱く感じる。淡いため見逃すことも多い。存在だけで精いっぱいで尾は分からない。C/2016 U1は見えず。

2015V2_006-editPosi.jpg

  • 09.82UT m1=11.4, DC=4-5, dia=1.5' (20.3cmSCT 100x)

2~3週間ぶりの観測。期待したほどは増光しておらず、20cm62倍でかすかにわかる程度。集光は強く、206倍でも恒星状核がある。尾はわからず、206倍まで拡大してもほとんど不明。かすかに痕跡のみ?光度は11.48等星とほぼ同じ。11.14等星よりはやや暗い。

2015V2_007-editPosi.jpg

  • 30.83UT m1=11.2, DC=4-5, dia=1.5', tail=? (20.3cmSCT 62x)

前回(1月10日)に比べわずかしか明るくなっていないが、高度は上がり、天頂プリズムがないとキツイ。20cm62倍で視野に入れた当初は微光だったが、目が慣れると強い集光がわかる。167倍でも星状核。光度は近くの11.1~11.4等星とほぼ同じ。100倍~167倍でよく注視すると、ごく淡い尾らしいものがある気がする。事前情報なしで見て、尾の伸びている方向を決めたが、ほぼ当たっていたようだ。C/2015 ER61は見えず。11等以下?最微星11.5等。

2015V2_015-editPosi.jpg

  • 05.73UT m1=8.4, DC=4, dia=6' (20.3cmSCT 36x)

20cm36倍では微星が彗星核にかなり接近している。コマは大きく、淡い部分はかなり大きく拡がっているようだ。ただ、尾は、微星がジャマをしているためか、はっきりしない(本来とは逆方向にあるような気さえする)。中心核は36倍では不明瞭だが62倍以上ではっきり。光度は、10.8等星との合成で8.28等星とほぼ同じ程度(8.4等)。

2015V2_016-editPosi.jpg

  • 20.66UT m1=8.2, DC=5, dia=3' (20.3cmSCT 36x)

春霞のすっきりしない空だったが、コマの大きくなった様子はわかる。星状の核があり、20cm206倍でも微星状に見える(12~13等)。コマの外周はかなり遠くまである印象だが、尾は判然とせず、伸びている方向もわからない。わずかにコマが偏心しているような気もする。

2015V2_019-editPosi.jpg

  • 14.50UT m1=10.4:, DC=3, dia=2' (20.3cmSCT 100x)

約1ヶ月半ぶりの良好な晴天。20cm62倍で、11等まで見えるが、どうにも彗星が見えてこない。167倍まで上げてようやく集光のほとんどない淡い雲がわかる。ちかくの10.9等星よりは明るいが、9.8等星よりは暗いように思える。淡い部分も含めるとまだ明るいのかも?コマは大きめで2~3'。