C/2012 K1 (PanSTARRS) パンスターズ彗星

まとめ。

ちょうど1年前の今日・3月4日未明に初めて観測した彗星で、2013年に1等級まで明るくなったC/2011 L4パンスターズ彗星とは別物です。

息の長い彗星で、7等以上にはならなかった代わりに尾が美しい彗星でそれなりに楽しめました。太陽に接近して5月を最後に一旦姿を消し、近日点を8月に通過して9月に再観測出来ました。この時は明るさを保っていたものの特徴的な尾は姿を消していました。その後、地球に接近しつつ南下し、10月の観測が最後になってしまいました。

年明けには再北上して10等級以下で夕方の空に見えたはずで、15P/フィンレー彗星の折りに何度か探しましたが、低空の上に暗すぎて再びその姿を捉えることは出来ませんでした。

近日点前からの7個の観測から決めた光度式はm1=5.04 + 5logΔ + 10.0log r。グラフからは近日点後の3個の観測は光度式より1等級ほど暗く、尾の衰弱と関係しているのかも知れません。なお、全観測を光度のピークを考慮して算出するとm1=5.81 + 5logΔ + 9.8log r(t+29)で、近日点1ヶ月前にピークが来ていたことになります。

2012K1mag.jpg

投稿日:


観測記録一覧

南の低空に雲があったため、観測に出掛けるのにためらったが、出て良かった。2月1日の時はほとんど、がんばっても見えなかったこの彗星が、今回ははっきり見える!小さいが集光は強く、明瞭にわかる。数字上の光度よりは明るく10等台の印象。光度は11.1~12.1等の間。8センチクラスでも見えそう。中心核は200倍でも星状ではないようだ。これは今後に期待出来る?

2012K1_001.png

3.813UT m1=11.6, DC=5, dia=1.5' (20.3T10 x100)

夕方の雨のおかげで1ヶ月ぶりに冬空並みの好天がやってきた。C/2014 E2には間に合わなかった。K1も1ヶ月ぶりだが、確かに成長しているようだ。わずかに尾が伸びているのがわかり、コマも拡がっている。光度はまだ9.0等級よりは暗く、9.3~9.6等級の間か。M51の主核に近い明るさだが、それよりはやや輝きは劣る。

2012K1_005.png 

2014 May 3.63UT m1=9.4, DC=5, dia=3', tail=5'/130° (20.3T10 x)

月が昇るまでのわずかの間に観測。透明度は下がってしまった。輝星にごく近く、見つけやすい。あまり明るくなっている気配はない。8.5等星と比べても、明るい感じはしない。尾は、62倍や100倍で微かにわかる。

NGC3877が100倍(30分角)の同視野にあり、こちらは微かにわかる。この銀河と恒星の配置は見覚えがある。

2012K1_006.png

18.538UT m1=8.7, DC=5, dia=2.5', tail=5'/140° (20.3T10 x62)

2012K1_009-edit.jpg

3時頃に視野に入れてどこにあるのか分からなかった。期待よりもかなり暗く感じたが、高度が上がると外側のコマが見えだして大きくなった。ただ、「コマ中心の輝き」は感じられない。雲が多く時折彗星も隠された。

17.809UT m1=7.7, DC=4', dia=4-5' (20.3T10 x62)

2012K1_009.png

2012K1_010-editPosi.jpg

前日は低空に雲が多く観測を断念したが、今朝はまったく雲がなく、しかも透明度も向上していた。カノープスも双眼鏡ではっきり見える。一度は下に降りて望遠鏡を設置したが、低空が見渡せないため、2階に上がって、部屋の中に望遠鏡を設置した。ほぼ地平線に筒先を向けるため誰かに目撃されれば一発通報という緊張の中での観測

望遠鏡のアライメントは適当だったのでνPupから直接導入した。始めは、視野の中に彗星は見つからなかったが、凝視していると、よくわかるようになった。彗星の動きのため星図の位置ずれていた。小さく拡散し、集光は弱い。中心部しか見えないためか、近くの8等星より暗く、近くの2つの9等星並みの光度。高度は8度しかなく今後さらに低くなる。おそらく最終観測になるだろう。

2012K1_010.png