153P/Ikeya-Zhang 池谷・張彗星

振り返る。

記憶の中では、そこそこ明るくなったものの、あまり十分な観測は出来なかったイメージだったが、改めて過去のスケッチを発掘してみると意外と多くの観測を残していたことに気づいた。ただ、明け方に回ってからは4月の悪天候に阻まれて、近日点通過直後にもかかわらず1ヶ月近く観測が開いてしまった。それが消化不良のイメージとして残っていたのかも知れない。

発見時には、あの池谷さんの名前がついた彗星をリアルタイムで見ることが出来るなんて!という感激もあったし(池谷・関彗星当時はまだ生まれてなかった)、尾の伸びがすばらしく、かすかではあるが肉眼で観測出来た彗星ともなった。

さらには、周期300年超という、史上最長周期が確定した周期彗星となったことも特筆すべきことだろう。1971年に出版された書籍(「彗星を追う」)にも、1661年彗星ヘベリウスの項目がある。(1995年から施行された彗星符号ではC/1661 C1)。観測時には、周期彗星番号は確定してなかったので、スケッチではすべて「C/2002 C1」と記載している。

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当時の観測から求めた光度式は、23個の観測(※)から、m1=6.87 + 5logΔ + 9.6log r。ただし、発見直後はそれより1等級ほど暗く、周期彗星にありがちな発見直後の急増光をしていたことがわかる。(※光度観測数は31だったが、同日に複数観測がある場合は最も明るいものを採用し、6月の2つの暗い観測を除いた。)

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次の回帰は、2362年8月2日頃(NK864による)。348年後にどのような姿で見えるのか今から楽しみだが、もしかするとそこまでは長生き出来ないかもしれない。

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観測記録一覧

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m1=6.9 , DC=6 , dia=3' ,tail=? (8.0cm屈折F11 23x~46x)

月が出てきたにもかかわらず、それにも増してコマが輝く。つい2週間前に探すのに苦労したのが信じられない!光度は、46倍では6.57等(GSC)と大差ない。少なくとも7.67等よりは明るい。この星と彗星との合成等級は6.57等星より0.2等ぐらい明るい(6.7~7.1)。

まさに見るたびに明るくなっている。コマの輝きが目に染みるほど。つい見とれてしまう。双眼鏡5センチ7倍でも、ほぼ恒星状。位置を勘違いしていたため、時間が遅くなってしまった。

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m1=4.7, DC=7-8 , dia=2.5' ,tail=15' (8.0cm屈折F11 23x)
m1=4.4, DC=8, dia=3', tail=15' (5.0B7x)

基本的に前日と大きな変化はないが、輝星がアクセントになってる分、みやすい。コマの輝きはあいかわらず。時々アンチテイルのような錯覚が見える。双眼鏡では4.45等星とほぼ同じで、下の4.3等星とほぼ同程度。

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m1=4.2 , DC=7 , dia=2' ,tail=10' (8.0cm屈折F11 23-46x)
m1=4.0, DC=8, dia=-', tail=20' (5.0B7x)

あまり透明度が良いとは言えないが、それでも核の輝きが目立つ。尾は10'は確実にわかり、さらに伸びる。光度は右の4.5等星よりはずっと明るい。双眼鏡5センチ7倍では上の3.6等星よりは暗いが、4.3等星より明るいか、ほぼ同じ。

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m1=3.8 , DC=7 , dia=2' ,tail=30'~1° (8.0cm屈折F11 23x)

m1=3.5, DC=-, dia=-', tail=-' /° (naked-eyes x1)

透明度が上がった分、尾がさらに見やすくなった。η星の横まで伸びているようにすら思えるが心理的要因も大きいだろう。少なくとも30'(ηまでの1/3)はある。肉眼では、いろいろと目をそらしてみたり試して、ようやく微かに見えた。η(3.6等)と同じか、むしろ明るい。棒状にも見える。

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m1=3.7 , DC=7 , dia=3' ,tail=10'< (8.0cm屈折F11 23x)

19.41UT m1=3.4, DC=7, dia=', tail=35'</60° (5.0B7x)

あまり透明度は良好とは言えないが、それでもコマと核の輝きが素晴らしい。尾の方向が若干変わったように思える。光度はγAriよりもやや暗い。双眼鏡では、ηPscよりは明らかに明るいが。γAriとほぼ同程度。実視ではγAri<ηPscだったので、大気減光はかなり大きいと思われる。

肥大化したコマが印象的。光度は5.0~5.8等の間ぐらい。肉眼でも見える。望遠鏡観測は1ヶ月ぶり。すごいコマの拡がりだが、雲が広がって十分な観測は行えず。

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