C/2014 R1 (Borisov) ボリソフ彗星

まとめ。

2014年暮れに見られた2つの「ボリソフ彗星」のうち、太陽に近く増光した方の彗星です。とはいえ、近日点頃でも10等以下でした。

当初はC/2014 Q3の方のボリソフ彗星と同じような見え方でしたが、この2014R1の方は明け方の低空で11月に1.3auまで太陽に接近しました。ある程度集光した姿として見え、12月には増減光を繰り返した15P/フィンレー彗星と明るさを競うまでになりました。しかしながら10等級より明るくはならず微光彗星のまま視界から消えていきました。

2ヶ月間で変光幅1等の微妙な観測になりましたが、毎回光度決定に悩んだおかげか、ばらつきはあまりありませんでした。7個の観測からの光度式はm1= 7.59 + 5logΔ + 14.7log r。しかし、グラフでもわかるように、近日点を少し過ぎた頃にピークがあり、それを考慮すると m1=5.81 + 5logΔ + 27.4log r(t-12)で、こちらの方が1月中旬の非観測も含め良く表現出来ているようです。

この彗星の光度観測も、有り難いことに天文ガイドの「彗星ガイド」で予報光度の元として使用してくださっています。

2014R1mag.jpg

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観測記録一覧

2014R1_002-editPosi.jpg

2014R1_002.png

3.833UT m1=11.2, DC=5, dia=1', (20.3T10 133x)

高度25°以上にならないと屋根の上から見えてこない。最初、星図の位置を凝視しても一向に見えてこず、淡くなったのかそれとも前回が誤認だったのかと落胆しつつ観測を終えるところだったが、周囲を探すと、2分角ほど離れた位置によく集光した光斑があった。結局、Guide9.0の軌道が古いままで更新されず、誤差があったようだ。またしても、恒星に接していて、測光しにくかったが、先ほど見たC/2014 Q3よりは見やすく、集光して小さい。

2014R1_004-editPosi.jpg

02.833UT m1=10.5, DC=3, dia=2.5' (20.3cmSCT 77x)

当初は、視野に入れてもまったく見えなかったが、意識すると次第に淡い光斑が見え、大きなコマがわかってきた。100倍程度でわかるが、今日は77倍程度が最も良い。集光は弱い。光度は、少なくとも11等星よりは明るい。5時過ぎには見やすくなったが、透明度が少しでも悪いと途端に見えなくなりそう。

2014R1_005-editPosi.jpg

m1=10.7, DC=4, dia=2', (20.3cmSCT 100x)

月がそばにあるが、透明度のおかげで見やすい。20センチ62倍でも小さい光斑として見える。今までで一番見やすいかもしれないかも。コマは拡散して大きく拡がるが、中央集光もある。100倍~133倍で見やすい。光度は、10.2等星よりはやや暗いように思うが、比較星の10.84等星~11.35等星がほぼ同じ高度に見えてしまうため定めにくい。10.5等以上かも。

2014R1_006-editPosi.jpg

m1=11.1, DC=4, dia=3', (20.3cmSCT 77x)

約1週間ぶりの観測。やや暗くなったような気もするがまだ見えている。20センチ62倍ではかすかで、77倍の方が良い。拡散していて、ちかくの11.2~3等星3個と同じかやや明るい程度(TJの比較星光度が実際の光度を反映していないようだったので、TTで測定)。15P/Finlayと比べ、見やすいぐらいだが、視野内で見えている最微星光度は1等以上暗い。

2014R1_007-editPosi.png

m1=11.6, DC=3-4, dia=2', (20.3cmSCT 100x)

かなり淡くなってしまった。どの倍率でも一応わかるが、拡散して見失う時間の方が多い。光度は難しいが、11.4~12.0か。比較星カタログの取り方で0.5等級も差が出る可能性。満月前ラストの観測のつもりだったが、このまま彗星としての最終観測になってしまうかも。