このサイトについて。

2006年開設、2013年5月再建。自分が見た天文現象(主に眼視&スケッチ)をただひたすらあげていく感じで。彗星とか、小惑星による恒星食とかに興味があるようです。昔のスケッチあげたり懐古趣味にも浸りたいかと。更新情報は@akwr2でも。

  • 彗星アーカイヴ中の「投稿日」は、観測日時です(数日から数十年の間隔が空くこともあります)。
  • 星雲星団スケッチの「投稿日」は観測日時ではありません(文字通り記事作成日です)。

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  • 10.74UT m1=10.6, DC=3, dia=2' (20.3cmシュミットカセグレン 100倍)

1時すぎに空を見ると久々の快晴。透明度はいまいちだったがなんとか5ヶ月ぶりに彗星を見ることができた。20cm62倍で小さな存在がわかる。100倍の方が良い。小さい中央集光があり、コマは拡散しているようだが透明度が悪くよくわからない。目が暗さに慣れてきたところで雲が広がってしまった。微星は描けず。光度は10.6~10.7等(TJ)。U4で11.0等。

2018年の年末に発見された新彗星です。岩本氏は先月のC/2018 V1に続く発見で、発見情報が流れた際には、V1の発見と勘違いする人もいたほどです。私個人的には、前回の「岩本彗星」(C/2013 E2)は微光で見ることができなかったので、約6年ぶりにその雪辱を果たせました。

発見時は明け方の空にありました。地球に向かってまっすぐ接近中で見かけ上ほとんど移動していなかったため、軌道が確定するまで時間がかかりました。一時は地球に0.1auまで大接近する軌道も計算され、大いに期待されましたが、結局0.3auに接近する軌道に落ち着きました。それでもこの彗星としては最良の条件で、地球とすれ違うようにして大きく移動する様子が楽しめました。

私が初めて見た頃は拡散した微光の姿でしたが、急速に接近し、衝の位置で最接近した頃には双眼鏡でも6等星として楽しめました。海外では肉眼でも見られたようです。

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1889年にL. Swiftにより発見された歴史ある周期彗星で、当初は「スイフト彗星」と呼ばれていました。1895年にはSwiftが別の周期彗星を単独発見したため、以降「スイフト第1彗星」と改称されましたが、1回のみの出現の後は姿を見せず行方不明となりました。1973年にTom Gehrelsにより発見された微光の彗星が、この彗星の再発見であることが判明し、以降は「スイフト・ゲーレルス彗星」と呼ばれています。

2018年の回帰は、近日点を通過する11月頃に地球に0.4auまで接近する好条件で、9等級程度に明るくなる予報も出されていましたが、同じ時期に46Pや38Pも回帰するため、あまり注目されていませんでした。ところが、8月になってバーストを起こしているとの情報があり、観測を試みたところ、数回挑戦した後、見ることができました。

拡散した姿でしたが、実際に9等級まで明るくなりました。海外では8等台の報告も多かったようです。拡散した大きなコマを含めると明るく見積もられるのでしょう。近日点に近づくと急激に明るくなるタイプのようで、今回もバースト的増光として捉えられました。

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急増光後の光度観測からは、私だけの値からも、COBSの報告値からも、近日点通過後約2ヶ月後に光度のピークが来る光度式が得られました。

2018年の回帰は前後100年で最高の条件でした。2028年、2036年の回帰では1auより近づきませんが、2046年には地球に0.5auまで接近するようです。

M11=NGC6705(野鴨星団)

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  • 2019年5月10日3時00分 20.3cm/F10シュミットカセグレン206倍(SP9.7mm)

20cm62倍で、一つの輝星のまわりを均一な星粒が覆っている。透明感があり、この時点ですべて星に分解できる。星団の端には2つの輝星があり目立つ。100倍で星粒の群れが2~3の層を成している。206倍で、一つ一つの星粒が個性を持ち、微妙な明るさの違いがわかってくる。輝星のそばに微星がいくつも付着し、他にも多数の重星が分解してくる。輝星の北に丸い塊があり星に分解できない。同様の星塊がいくつかある。星団の外側の層は翼のようにも見える。中心部の星塊・群れは肉球のようにも見える。

(補足)夏の星雲・星団の中でも屈指の名所で、私もよく望遠鏡を向ける天体です。「野鴨(のがも)星団」"The Wild Duck Cluster"とも呼ばれています。個々の星をカモに見立てて、編隊を組み集団で飛ぶカモに見立てて名付けられたようです。2星を先頭にしているのでしょうか。

小口径でも多くの微星が見えてきます。散開星団と球状星団の中間の天体と言われることもありますが、球状星団に比べると個々の星が明るく、M37などと密集度は似ています。

スケッチでの表現は難しく(後回しにした結果24年ぶりのスケッチ)ほとんど星に分かれて、雲は存在しないのですが、視野全体を眺めるようにすると、微星の群れを取り巻く雲が見えるような気がします。帯状の群れが何層も重なり、また塊があるようにも見えます。

M22=NGC6656

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  • 2019年5月8日3時08分 20.3cmシュミットカセグレン206倍(SP9.7mm)

双眼鏡でも彗星状に見える星団。20cm62倍で、すでに円形の雲の上に多くの繊細な微星が混じるのがわかり、見事。206倍では視野の半分を占める。星にも、明るいもの、暗いものがあり、南側に明るめの星が多い。最も集中した部分は中心よりわずかに南にある。東側にも集中した部分がある。びっしり重星・星塊が詰まってほとんどは星に分解できそう。微星はかなり遠くまで拡がり、注意するとそこにも雲がかかっているように見える。不規則な外形で、もはや「球状」ではない。500倍では視野のすべてが微星で満たされる。薄れない。

(補足)夏の球状星団の中でもM13に匹敵する著しい対象で、8cmクラスの小口径でも星に分解して見ることができます(この記事の続き参照)。集中度が弱いため、中心まで平坦な代わりに、星団の端にもいくつか星が集中した箇所があります。見ようによっては暗黒帯で仕切られているように見えるかもしれません。星団の星々の鋭い輝きを描き表すのは困難を極めます。

M25=IC4725

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  • 2019年5月5日3時44分 20.3cm/F10シュミットカセグレン77倍(SP26mm)

視野の中にいくつかの輝星が散らばり、その間に小さい星々が詰まっている。中心はτのような形で小さくまとまった星塊があり、目立つ。全体を眺めるとその南にもゆるく15'程度星が集まって、所々(2~3ヶ所)微星塊がある。北の2星と合わせて輝星は台形を作っているが、この2星が星団の星かどうかわからない。すべての星は20cm77倍で分解できる。

38P/ステファン・オテルマ彗星は、1867年にフランスのコッジア(Jérôme Eugène Coggia)が未知の銀河として発見、ステファン(Édouard Jean-Marie Stephan)は彗星として独立発見しました。約40年の周期が計算されましたが、次回の回帰には検出されず、もう1周した1942年にフィンランドのオテルマ(Liisi Oterma)が再発見しました。現在では第1発見者のコッジアではなく、ステファン・オテルマの連名で呼ばれる彗星となっています。

1925年版「理科年表」では「1867Ⅰ(コッジア彗星)」として記載されていますが、再発見を報じる1943年発行「天界」では「ステファン星」とされているので、当時は学者の間で統一的な名称が定まっていなかったのかもしれません。なお、この時の天界に記載されている"天王星族の彗星として2回以上の再歸が發見されたものは,ボン・コジャ星1818Ⅰと"の「ポン・コッジア彗星」は、のちの「27P/クロンメリン彗星」です。

前回の近日点通過は1980年で、私がまだ小学生だったので見ることはできませんでした。図鑑などで、かに星雲M1に接近するこの彗星の写真などを見ながら、いつか見られるかもしれないこの彗星に思いを馳せることもありました。

そしてついに訪れた2018年。この回帰も条件が良く、夜半の空高く9等級の明るさで見られる予報です。同じ時期に46P/ウィルタネン彗星も大接近する予報でしたが、個人的には38Pの方を期待していました。

初観測は9月。12等の微光でかろうじて光斑として確認できる程度でした。これからもっと増光して見やすくなる・・・と期待しましたが、結果的には10等止まりの小ぶりな姿に終わりました。それでも、条件の良いときには短い尾が伸びる様子は楽しめました。

最終観測は1月末。2月以降も光度的には見られたはずですが、天候の悪い日が多く、「まだ見られる」と思って観測をサボっていた間に視界から去ってしまい、尻切れトンボのような形で最終観測を迎えてしまったのは少々心残りです。

予報より光度は1等ほど暗めでしたが、COBS報告値でもほぼ同じ傾向でした。私のみの観測値とCOBS全体の値から導いた光度式は、数値上では大きく違いますが、グラフに描画してみるとほぼ同じです。

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次回の回帰は2056年8月。今回ほど条件は良くなく、近日点通過後に明け方の空低く11等で見られる程度かもしれません。5年後にはハレー彗星も控えているので、病気と事故に気をつけながら長生きしたいと思います。

2018年11月8日の明け方(JST)の低空に発見された彗星です。当初は日本人2名による発見情報がネット上で伝えられ、約1日後には暫定名称DM001の天体として、マックホルツ氏による発見観測も公表されました。数日間は軌道が定まらず、一時はC/1870 W1(ウィンネッケ彗星)との類似性も指摘されましたが、12日になってようやく、MPECで3名連名の彗星「マックホルツ・藤川・岩本彗星」として発表されました。

近年では彗星名は2名までとされているため、3名連名の彗星名は異例です。さらに、眼視捜索による彗星発見はC/2010 F4(マックホルツ彗星)以来8年ぶり日本人による(彗星名のついた)発見はC/2013 E2(岩本彗星)以来5年ぶりでした。

軌道は12月3日に0.38auの近日点を通過する放物線軌道で、肉眼彗星に成長する可能性もありましたが、小型の彗星のため消滅する可能性がありました。発見以来なかなか晴れてくれず、初めて見た1週間後までは落ち着かない日々が続きました。

結局太陽に最接近するまで私は3回しか見ることができず、彗星も衰弱して行ってしまいました。それもわずか8日間だったので、複数回見られただけでも幸運だったかもしれません。

標準等級は11~12等で消滅が危惧されましたが、他の観測によると、彗星は近日点後も完全消滅はせず、かろうじて生き残ったようです。グラフ画像の観測値はCOBSに報告されたものです。

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