64P/Swift-Gehrels スイフト・ゲーレルス彗星

再発見された『スイフト』彗星

1889年にL. Swiftにより発見された歴史ある周期彗星で、当初は「スイフト彗星」と呼ばれていました。1895年にはSwiftが別の周期彗星を単独発見したため、以降「スイフト第1彗星」と改称されましたが、1回のみの出現の後は姿を見せず行方不明となりました。1973年にTom Gehrelsにより発見された微光の彗星が、この彗星の再発見であることが判明し、以降は「スイフト・ゲーレルス彗星」と呼ばれています。

2018年の回帰は、近日点を通過する11月頃に地球に0.4auまで接近する好条件で、9等級程度に明るくなる予報も出されていましたが、同じ時期に46Pや38Pも回帰するため、あまり注目されていませんでした。ところが、8月になってバーストを起こしているとの情報があり、観測を試みたところ、数回挑戦した後、見ることができました。

拡散した姿でしたが、実際に9等級まで明るくなりました。海外では8等台の報告も多かったようです。拡散した大きなコマを含めると明るく見積もられるのでしょう。近日点に近づくと急激に明るくなるタイプのようで、今回もバースト的増光として捉えられました。

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急増光後の光度観測からは、私だけの値からも、COBSの報告値からも、近日点通過後約2ヶ月後に光度のピークが来る光度式が得られました。

2018年の回帰は前後100年で最高の条件でした。2028年、2036年の回帰では1auより近づきませんが、2046年には地球に0.5auまで接近するようです。

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観測記録一覧

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  • 01.53UT m1=11.2, DC=2, dia=2.5' (20.3cmシュミットカセグレン 100倍)

27日の際はほとんどわからず、もう見えないかと思ったが、高度の高い早い時間に再挑戦してあっさりと見ることができた。ただ、極めて拡散している。コマの大きさはあるので、光度は明るめに出る。20cm62倍~100倍ではほとんど集光がないが、167倍では少し集光し中心のみがわかる(わかりやすい)。光度は10.6等~11.5等の間。11.2等と同じか。

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  • 0064P-2018_007.jpg
  • 29.60UT m1=10.2, DC=2-3, dia=4' (20.3cmシュミットカセグレン 62倍)

2週間ぶりだが、大きく拡散した姿は変わらない。集光が弱い。12等星がコマに接している。光度は近くの10等星2つ(10.2、10.4TJ)とほぼ同じ。9等星より暗そうだが、拡散しているため見積もりによっては同じにも思える。20cm36倍では背景光に埋もれ見にくい。

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  • 0064P-2018_005.jpg
  • 12.57UT m1=10.3:, DC=3, dia=3' (20.3cmシュミットカセグレン 62倍)

10等星3つに囲まれている。光度が測れないので、観測は見送ろうかと思ったが形として面白いのでスケッチ。20cm62倍では拡散しているが、100倍以上で小さい集光部がわかる。中心核は星状?コマは10等星3つの作る三角形にちょうど収まる。光度は測定しにくい。近くの10.3等星とほぼ同じか。

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  • 0064P-2018_002.jpg
  • 20.72UT m1=10.5, DC=2-3, dia=2.5' (20.3cmシュミットカセグレン 100倍)

月が沈む前から向けてみたが、20cm62倍でも大きく拡散したごく淡いコマがわかる。集光が弱く平坦だが、100倍以上では小さい中央集光がわかる。13等程度の星状核があるかと思ったが、集光の中心とはずれているので恒星のよう?光度は近くの10.1~10.7等星に近い。2時01分に視野を下から上へ帯のように輝く黄色の流星が、痕を残しながら一瞬で流れていった。オリオン座流星群?

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  • 0064P-2018_001.jpg
  • 06.71UT m1=11.6, DC=3, dia=2' (20.3cmシュミットカセグレン 133倍)

拡散したかすかな姿がわかる。20cm100倍~167倍で確認でき、133倍が最も見やすい。弱い集光があり、中心は13等程度(星状ではない)。コマは大きく拡がっているかも。見え方の印象は近くの13等星に似ているが、光度は12等星よりは明るい。

(補足)8月のバースト以降何度か観測を試み、今回初めて確認できました。