C/2011 L4 (PanSTARRS) パンスターズ彗星

まとめ

現在、数多くのパンスターズ彗星が発見、観測されていますがその走りかもしれません。2013年春に大彗星になるかも~として一般にも話題になったパンスターズ彗星C/2011 L4です。結局(大方の天文ファンの予想通り)肉眼で見えるような大彗星とはなりませんでしたが、南半球でまず増光し、北上して北半球の観測者にはいきなり1等級の彗星として姿を現しました。

双眼鏡的な彗星ではありましたが、薄明の残る中伸びる尾の姿は美しく、彗星としては見事でした。北半球では減光して見えなくなるまでずっと追うことが出来ました。

光度式は全観測を用いてm1 = 5.62+5logΔ+9.45 log rで、安定した光度変化でした。近日点の頃の不確実な観測を省いた場合も大差ないm1 = 5.49+5logΔ+10.27 log rで、光度が安定していたなら近日点の頃の目測は実際より0.5等ほど暗かったのかもしれません。

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観測記録一覧

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10.39UT m1=1.0:, DC=6-7, dia=3' (20.3cmSCT 62x)

17時50分頃に視界の左側にそれらしい光斑があったが違ったようだ。18時11分頃に中央上寄りに明瞭に見えた。シンチレーションが激しく、円盤状だが、よく輝き強い集光。尾の痕跡もある。彗星より低空の火星は見えず。これ(1.2等)と同等か0.5~1.0等級。

3月9日18時10分は、観測不成功。

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14.39UT m1=1.7:, DC=7, dia=2' (20.3cmSCT 62x)

初観測以来もっとも良い透明度下となって期待したが、それほどの輝きはなく、突き抜けるような輝きではなかった。10分前に見たγPeg(2.8等)よりやや明るい程度。尾の構造は明瞭で、二手に分かれているのが見える。核は小さく輝いている。5センチ双眼鏡では15'の尾。肉眼では不明。

3月15日18時37分 5センチ7倍双眼鏡 約1.8等 tail=10' DC=8

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07.79UT m1=5.4, DC=6, dia=2.5' (11.0cm 40x)

高度が上がったせいか、視野がにぎやかになった。尾のなめらかさはどう表現していいかわからない。尾は左側(西側)の輪郭がはっきりしている。コマは尾と連続しているため、どこでコマ直径を区切って良いか分からない。核は4日の時よりやや輝きが劣るように思える。

朝焼け・地球照が実に美しかった。

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双眼鏡で適当に探して見つけられる程の明るさ。少し気をつければ、尾が伸びているのはわかる。コマは小さすぎてよく分からない。核の輝きは4日の時よりはやや劣っているように思える。M31より少し明るいが光度差は小さい。光度はそばの5.18等星と同じか、やや暗い。下の5.14等星(5.0等相当)と同程度。

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 m1=8.7 , DC=4-5 , dia=3' (20.3T10 x62)

夜半前まで雷雨が激しかったが、それがウソのように晴れてきた。ただ、地面は濡れて結露がヒドい。鏡筒にフードを付けたのは正解だった。パンスターズ彗星は、さすが20センチだけあって視野に入った瞬間よく見え、尾らしいものも確認できる。ただ、尾は非常に淡く直視するとほとんどわからない。コマの集光は弱まったが、恒星状の核はわかる。コマはかなり拡がっている。翌日晴れればもっと詳しく見ておきたい。

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29.49UT m1=9.3, DC=5, dia=2.0' (20.3cmSCT 62x)

梅雨入り宣言直後だったが、わずかな晴れ間が北天に見えたので、急遽観測。天の北極近くで時間が惜しかったのでアライメントもせずに北極星から直接導入した。3日前は満月光で見えなかったが、今日はなんとか淡い姿を捕らえた。目が慣れれば見やすい。100倍以上で、恒星状の核と、意外と集光しているのがわかる。光度は9.2~9.3等だが、近傍の12.3等星との合成等級なので、その影響を除くと+0.06等級となる。目的の第一だったアンチテイルは見えず。あるような気がしないでもないが。逆にふつうの尾の痕跡がある?

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01.49UT m1=11.4, DC=4, dia=1' (20.3cmSCT 100x)

4日ぶりに再び快晴の空がやってきた。今度は詳しく観測できたが、またしても21時過ぎに雲が覆ってきた。4日前に比べても淡いように思える。62倍ではほとんどわからず、100倍から133倍で拡散したコマが分かるような気がする。206倍にすると、コントラストが上がるためか中央部は見やすくなった。光度は11.2~11.4等級か。コマは1.0~1.5分角。この減光ペースと天候からいうと、最悪、最終観測になってしまうかもしれない。