C/2014 Q2 (Lovejoy) ラヴジョイ彗星

まとめ

2014年の8月に発見され、翌2015年の1月に地球接近・近日点通過した彗星です。明るい彗星で1年近くにわたって観測できましたが、近日点距離が1.29auであまり太陽に接近しなかったのは残念です。

発見頃は南天に低く、日本からはほとんど見えませんでしたが、冬に明るくなった状態でいきなり見えだし、急速に北上して一気に肉眼彗星まで駆け上がりました。

集光の強いコマが特徴でしたが、太陽から遠かったためか、恒星状の核以外は目立った構造はなく、尾は淡く見えるにとどまりました。それでも写真では10度以上の尾が写ったようです。肉眼ではしばらく4等星の微星として見え、郊外の空ではそこそこ楽しめました。

1月末の近日点までの増光ペースが極めて速く、logrの係数kが40近くになるほどでした。このため、減光も早く4~5月には望遠鏡でも視界から消え去ると思っていました。ところが、近日点を過ぎても明るさは維持したままで、双眼鏡で見えなくなると思っていた3月になっても肉眼等級を維持していました。この頃に減光ペースを考察した記事を書いています。

その後も減光ペースは極めて遅く、k=8程度のペースで10月まで見え続けました。予想していた「7月」説と「12月」説の中間ぐらいの減光ペースだったようです。

2014Q2mag.png

この光度変化の原因はわかりませんが、コマ直径と何らかの関係はあるのかもしれません。この彗星は、近日点通過に向けて(他の彗星と同様に)コマ直径も大きくなりましたが、通過後も小さくはならずそのまま一定のスピードで拡大を続けました。

2014Q2coma.png

グラフ中◎は双眼鏡観測です。近日点通過後もコマ直径が拡大を続けていることが分かります。○の望遠鏡観測では、ペース自体が衰えることなく6月まで拡大を続けています。6月以降は小さくなっていますが、太陽から遠ざかり彗星自体が暗くなったため、外端が見えなくなってしまったのでしょう。通常なら拡散して見えなくなってしまうコマがそのまま見え続けたことが、光度の維持につながったのでしょう。コマ(塵)の成分に何らかの特徴があるのかもしれません。

コマ直径の拡大スピードは、2014年9月を起点とすると、望遠鏡測定では目分量で0.0007au/月=時速145キロメートル(双眼鏡はその約2倍)でした。

投稿日:


観測記録一覧

2014Q2_001-editPosi.jpg

01.74UT m1=7.9, DC=5, dia=4', (20.3cmSCT 62x)

2日前は恒星に近づいていたため、観測を断念。ようやく見ることが出来た。62倍で、雲状天体があっけなく見えた。1ヶ月前の超低空のC/2012 K1よりはずっと見やすい。コマは拡散して大きいが、小さい中央集光がある。低空でバックが白いが、それに負けない。ただ、光度測定は難しく、7等にも9等にも見える。

2014Q2_002-editPosi.jpg

13.64UT m1=7.4, DC=5, dia=5', (20.3cmSCT 62x) (ポジスケッチで淡い部分の見え方を再現するのは難しい。。)

一見して、「」と思うほど、大きく、明るくなっている。増光以上に高度が上がったことによる寄与分が大きそう?コマは、中心2'程度が特に明るく、さらに5'程度まで淡く拡散している。20cm62倍で恒星状の核があるが、206倍まで上げると逆に見えない。光度は、7.94等星よりは0.5~1等級明るく、7.66等星よりも明るく、7.45等星並み。一瞬尾があるように見えた。双眼鏡5cm7倍ではわずかに届かなかった。スケッチ時刻(0時過ぎ)コマには10等星が内包されていたが、1時には移動して離れていった。

双眼鏡視野に流星が流れてふたご座流星群の極大に気づいた;。望遠鏡の視野と、肉眼でも1個ずつ見えた。

2014Q2_003-editPosi.jpg

17.646UT m1=6.5, DC=5-6, dia=6', (20.3cmSCT 62x)
17.66UT m1=6.2, DC=6, dia=10' (5.0B7x)

4日前と比べても明らかに見やすくなっている。低空でバックがまだ白いが、コマの輝きはそれに負けない。集光も非常に強い。シンチレーションで恒星が点に収まらないが、条件が良ければ核が見えそう。光度はちかくの6.4等星並み。5センチ7倍双眼鏡では4日前は見えなかったが、今日は視野を軽く振っただけで簡単に見つかった。恒星との違いは容易にわかり、よく集光している。

2014Q2_004-editPosi.jpg

22.604UT m1=6.2, DC=5-6, dia=7', (20.3cmSCT 62x)
22.622UT m1=5.6, DC=5, dia=11' (5.0B7x)

中心の輝きが目立ってきた。倍率を上げても恒星状の中心核が見え続ける。単純な同心円ではない複雑な構造がありそう。尾が伸びてる気がするが、あまり明瞭ではない。コマの外側は完全に連続的に薄くなっている。コマ内にいくつもの微星が埋もれている。双眼鏡5センチ7倍では、以前よりさらに見やすくなった。コマが大きくなっている。集光は弱まった?光度は、ちかくの5.8等星との合成で4.9等星とほぼ同じ(5.5等と算出)。5.5~5.7等か。

2014Q2_005-editPosi.jpg

26.59UT m1=-, DC=5-6, dia=8', (20.3cmSCT 62x)
26.61UT m1=5.2, DC=5-6, dia=17' (5.0B7x)

(20センチ62倍)中心角の輝きが非常に鋭い。62倍で10等の恒星状だが、317倍まで拡大してもなお12等の恒星状に見える。高度が上がってシーイングがよくなったせいもあるかも?コマは遠くまで拡がっている。細い尾があるように思えるが、写真の見すぎかも。

5センチ6倍双眼鏡では、ちかくの5.28等星(7.25等星との合成では5.11等)とほぼ同じが、明るい。下の5.16等星(大気補正+0.66等)より明るく、5.1~5.2等か。コマがさらに大きい。M79も見えるがこれよりずっと明るい。

明るくなってきたので、コンパクトデジカメでも撮影してみた。ピントがうまく合わなかったが(手前の物干し竿に合ってしまった?)なんとか写った。下にはと座の星々が見えている。撮影をすると星ではなく液晶画面ばっかり見てしまう。

2014Q2_P1180369.jpg

2014年12月27日0:00(JST)。光学5倍ズーム(137mm)、露出20秒、ISO1600。

2014Q2_006-editPosi.jpg

m1=5.3, DC=5, dia=16' (5.0B7x)

5センチ7倍の双眼鏡ではM79と同視野に入ってきた。最接近は29日だが、28日と30日は帰宅が遅くなりそう、29日は天候が悪そうなので今日のうちにスケッチ。カノープスが6等星に見える(透明度が良ければ3等星)ほどなので、あまり透明度は良くない。

M79は非常に見にくく、7.5等の微星状。集光しわずかに拡散。彗星の方は昨日と変わらず集光の強い姿。光度はちかくの5.28等星(合成で5.11等)とほぼ同じか、やや暗い。輝きが鈍いのは透明度のせいかも。

2014Q2_007-editPosi.jpg

29.61UT m1=-, DC=5, dia=7', tail=? (11.0M9 x38)
29.63UT m1=5.1, DC=5, dia=16', tail=1°/PA=25°? (5.0B7x)

天候の回復が早く、M79との最接近を見ることが出来た。月が出て淡い部分は見えなくなってるかも知れないが、尾らしいものが見える。11センチ38倍で、11等程度の恒星状の中心核がはっきりする。M79は集光が強く、表面輝度が似ていて彗星をそのまま小さくしたように見える。

5センチ7倍双眼鏡では、集光が特に強いわけではない。光度はB法でちかくの5.3等星よりは明るい。下の5.06等星(大気減光補正で5.0等相当)と同程度。何となく尾が見える気がする。伸びる方向が(西に傾いていると勝手に思っていたので)東に傾いているように見えたが、星図で確認すると、(太陽の反対方向は)見えていた方向と正しいようだ。だとすると、長さは1度以上??(位置角25度)肉眼でも挑戦したが、わずかに届かない。

尾はまったく自信がないため、報告の際は不確かとして具体的な数値は盛り込まないつもり。

2014Q2_008-editPosi.png

1.562UT m1=-, DC=6, dia=9', tail=15'/30°? (20.3cmSCT 36x)
1.583UT m1=4.9, DC=5, dia=17', tail=40'/30°? (5.0B 7x)

(20センチ36倍視野円1.4°での初スケッチ)満月近い月が頭上近くにあってまぶしいが、それに負けない輝きを放っている。集光が強くかすかに尾がわかる気がする。5センチ7倍双眼鏡ではコマが大きく、光度は5.03等HV(5.20HK)よりは確実に明るい。下の4.89(HV,HK)とほぼ同じ。4.9~5.0等。肉眼でも面積体で見えるような気がするがあと一歩。月がなかったら確実に見えていたはず。

2014Q2_009-editPosi.png

m1=4.7, DC=5, dia=18', tail=0.5°/40° (5.0B7x)

満月近い月明で空が明るい。観測のつもりはなかったが、双眼鏡を向けるとさらに明るくなっているようなのでスケッチしてみた。集光はあまり強くない。光度はちかくの4.8等星と同じか、やや明るい。5.01等星よりも確実に明るく、うさぎ座の耳の星と同じくらい。4.5等あるかも?コマの直径は20'ちかい。尾は自信がないが、0.5°以上伸びてる?

2014Q2_010-editPosi.jpg

  • 7.55UT m1=-, DC=6, dia=9', tail=10'/55° (20.3cmSCT x)
  • 7.57UT m1=4.1, DC=-, dia=0.5° (naked-eyes x1)
  • 7.57UT m1=4.1, DC=5-6, dia=19', tail=? (5.0B7x)

まだ満月光で空が明るいが、彗星の輝きはまったくそれを感じさせない。核の恒星状の鋭い輝きが見事。20センチ62倍で10等級の恒星状、317倍でも11等級。5センチ7倍双眼鏡では、ちかくの4.0等星と同じ程度。尾もありそう。4.0~4.2等級か。そして、肉眼でもかすかながら確実に見える。μEri(4.0)、νEri(3.9)の先にある。γEri(2.9)の上の、οEri(4.03、4.12HK)の上にあるが、これより暗い。μEri(4.01HV、3.97HK)と同じ。νEri(3.93HV、3.87HK)より暗い。3.9~4.2等で、3等台でもおかしくない。面積体で、コマ直径はM42の小三つ星の間隔(30')ぐらい。昨日は30分凝視してやっと見えたが、今日は比較的楽だった。

2014Q2_011-editPosi.jpg

8.58UT m1=4.2, DC=6, dia=22', tail=1°/P.A.=55° (5.0B7x)

まだ月の明かりが残るが、少しずつ尾が見やすくなっている。かなりすっと伸びる様子を確認できた。根元は太い?双眼鏡5センチ7倍でも注視すれば、星状の核が見える。光度はμ、νEriよりは暗いが、ο1Eriよりは明るい感じ。肉眼では見えたが光度は測定せず(西に傾いてしまったため)。

2014Q2_012-editPosi.jpg

  • 9.49UT m1=4.0, DC=-, dia=0.5° (naked-eyes x1)
  • 9.50UT m1=4.0, DC=6, dia=25', tail=1°/-° (5.0B7x)
  • 9.57UT m1=-, DC=6, dia=8', (20.3cmSCT 206x)

高倍率での観測に専念してみた。一見すると、円形の一様な集光。中心部は非常によく輝き、317倍でも薄れない。206倍以上で12等の恒星状の核。62倍では9.5等星の核。注意すると、核の太陽側の方がやや雲が濃い気がする。また、コマの、尾の右側に当たる部分がやや暗い?強い集光をスケッチで表現するのは難しい。尾は36倍では視野の2分の1以上(0.7°)に伸びる。36倍で、色の確認を試みたが、あまりよく分からない。黄色か黄緑といった感じ?

2014Q2_013-editPosi.jpg

  • 10.50UT m1=4.0, DC=-, dia=-' (naked-eyes x1)
  • 10.50UT m1=4.1, DC=5-6, dia=20', tail=0.5°/80° (5.0B7x)
  • 10.57UT m1=-, DC=5-6, dia=10', tail=25'/77° (20.3cmSCT 36x)

昨日より輝度が落ちている?と思ったが、しばらくして暗順応すると昨日並みの輝きで見えた。既に月があがっているが、この時間でないと街明かりがおさまらない。集光は依然として強い。核は20センチ36倍で9.6等星と同程度。尾の向きは太陽の反対とわずかにずれているが、双眼鏡でも同じ傾向だった。双眼鏡(5センチ7倍)・肉眼では、月の出る前に観測。昨日と同じか、やや暗い?

2014Q2_014-editPosi.jpg

  • 12.56UT m1=4.0, DC=4, dia=-' (naked-eyes x1)
  • 12.57UT m1=4.2, DC=5, dia=20', tail=1°/70° (5.0B7x)

肉眼スケッチ。勝手が掴めないのでかなり貧相になってしまった。楽に見えるものではないが、面積体であることはわかる。νTau(3.9)とはほぼ同じが、やや暗いが、たまに明るい時もある。5Tau(4.1HV、4.3HK)よりは明るい。3.9~4.0等の間で迷う。双眼鏡5センチ7倍では5Tauなみの光度。

コンパクトデジカメでも撮影してみました。なんと、尾が写っています(たぶん)。

20150112-P1180647.jpg

2015年1月12日22時19分。ISO1600。f/4.1。焦点距離67mm相当。15秒固定。

この後、小惑星による恒星食があったため、慌ただしくなってしまったのは残念。

2014Q2_015-editPosi.jpg

  • 13.55UT m1=3.9, DC=-, dia=-', tail=-' /-° (naked-eyes 1x)
  • 13.55UT m1=4.0, DC=6, dia=23', tail=50'/75° (5.0B7x)
  • 13.57UT m1=-, DC=5-6, dia=15', tail=15'/72° (20.3cmSCT 62x)

(20センチ62倍)今までになく尾が見える。淡いことには変わりないが、長い。また、核付近から伸びる細い尾がわかる。集光は核付近は著しいが、その外側はそうでもない。DC=3ぐらい。コマは淡い部分はかなり拡がっている。スケッチではその様子をまったくうまく表せない。尾を入れるため、中心が取れず星の配置が乱れてしまった。

肉眼では、νTauとほぼ同じ。λTauとも近い。双眼鏡5センチ7倍では、5Tauより明るい。昨日より活発?

2014Q2_016-editPosi.jpg

  • 17.50UT m1=4.2, DC=6, dia=24', tail=1°/72° (5.0B7x)
  • 17.59UT m1=-, DC=6, dia=11', tail=15'/75°(20.3cmSCT 62x)

(20センチ62倍)中央の輝きが著しいが、注意すると構造があるらしいことはわかる。あまり明瞭ではない。核から細い尾が伸びている。また、尾方向にコマのくびれがある?核のごく近辺は扇状?核光度は62倍で10.0等程度。317倍で12等以上。コマの輪郭は完全に連続的に減光し境界がない。コマ直径はかなり大きく見えた。

双眼鏡5センチ7倍では高度の高いうちに観測。8Ari(4.4HV)より明るく、5Tau(4.1HV)より暗い。肉眼では不明。

2014Q2_017-editPosi.jpg

  • 19.54UT m1=4.3, DC=6, dia=18', tail=50'/80° (5.0B7x)
  • 19.56UT m1=-, DC=6, dia=10', tail=24'/75° (20.3cmSCT 36x)

昨日は曇りで1日空けての観測。核の輝きは変わらないが、コマも輝いて核が埋もれる。尾が目だってコマと一体化しつつある。急速に雲が広がりあまりスケッチ出来なかった。1月下旬に入って天候が安定しなくなってる。5センチ7倍双眼鏡では、4.3等星と同じ程度だったが、5.16等星(4.65HK)とも近い。

2014Q2_019-editPosi.jpg

  • 23.48UT m1=4.3, DC=5-6, dia=21', tail=1°/-° (5.0B7x)
  • 24.44UT m1=4.4, DC=5, dia=20', tail=50'/-° (5.0B7x)
  • 24.47UT m1=-, DC=6, dia=9', tail=20'/85° (20.3cmSCT 62x)

月が出て、さらに透明度が下がりあまり淡い部分はわからないが、天頂近くで条件は良い。尾は非常に淡いが視野の外まで伸びているよう。縞(筋)があるようにも思えるが写真の先入観のせいかも?20センチ317倍まで上げると、核近辺は太陽側の方が濃く、扇状に見える。

5センチ7倍双眼鏡では4.6~4.3等程度。35Ari(4.6等)に近い。39Ari(4.52HV、4.68HK)や17Per(4.55HV、4.67HK)より明るい。

2014Q2_020-editPosi.jpg

28.47UT m1=4.4, DC=6, dia=14', tail=50'/80° (5.0B7x)

月が出てきて淡い部分が見えにくい。20センチ62倍で尾はわかる。一気に317倍まで上げたが、中心核以外の明瞭な構造は見えてこない。ただ、集光は強い。視野内では半径3'のコマがわかる。半径1'以内はとくに明るい。わずかに中心から尾らしいものが伸びる。核からジェットが出てる気がするが、やはり不明瞭。核付近は尾が濃い?スケッチ中にどんどん核が移動していく。

5センチ7倍双眼鏡では、4.22等星より暗く、4.61、4.55等星より明るい。

20150128.jpg星図に書き込んだ数日分の観測メモ。

2014Q2_021-editPosi.jpg

  • 31.48UT m1=4.8, DC=5-6, dia=14', tail=40'/80° (5.0B7x)
  • 31.50UT m1=-, DC=5-6, dia=8', tail=25'/75° (11.0M9 x40)

設置が面倒なので、11センチで観測。月がまぶしいが、意外にも尾は見やすい。(40倍1.25°の)視野の端まで尾は伸びている。SP15mm(67倍)でもはっきりする。集光は強いが、恒星状の核の輝きは弱い。11センチのため?

5センチ7倍双眼鏡では見た目はあまり変わらないが、光度は4.8~4.9等星と同程度まで減光した模様。

2月1日19時29にも5センチ7倍双眼鏡で観測(スケッチせず)。4.8等で、アンドロメダ星雲とほぼ同じ光度~やや明るい程度で、集光は大星雲(DC=4相当)よりも高い、と観測しました。

2014Q2_022-editPosi.jpg

  • 6.43UT m1=4.9, DC=5, dia=15', tail=50'/80° (5.0B7x)
  • 6.44UT m1=-, DC=5, dia=7',tail=25'/85° (20.3cmSCT 62x)

今までは15Pの後、この彗星の観測までに少し時間を置いていたが、今日は間髪を入れず観測。月が昇る前に急いでスケッチ。主要星を描いてすぐに彗星を描き、最後に微星を描いた。

集光・核が弱まったかに思えたが、目が暗さに慣れると輝いて見えた。尾は、10'先の10等星までは濃く、コマもその方向に長い。尾はけっこう伸びている。2方向?317倍では太陽方向に核からジェットが伸びている気がしないでもない。

5センチ7倍双眼鏡では、ごく淡い尾が伸びる。光度はτAnd(4.9)とほぼ同じ。60And(4.97HK)より明るい。4.7~4.9等か。

2014Q2_023-editPosi.jpg

  • 10.464UT m1=5.0, DC=5, dia=14', tail=45'/70° (5.0B7x)
  • 10.481UT m1=-, DC=5-6, dia=6', tail=20'/65° (20.3cmSCT 62x)

核付近の輝きはやや弱くなった。20センチ62倍で核は10.0等程度の恒星状。内部コマの輝きは依然強い。コマの外側は尾の側に変形。尾はごく淡いがかなり伸びている。放射状に幅広い??

5センチ7倍双眼鏡ではχAnd(5.01HV、5.16HK)やHIP7918(4.96、5.08)とほぼ同じ。49And(5.26)より明るい。M31と同じ大きさだが、集光が強く明るく感じる。

2014Q2_024-editPosi.jpg

  • 13.46UT m1=5.0, DC=5, dia=10', tail=? (5.0B7x)
  • 13.49UT m1=-, DC=5-6, dia=7', tail=15'/60° (20.3cmSCT x)

強い冬型になったが、期待ほど透明度は良くない。わずかに核の輝きは衰えたがまだ明るい。しかし尾が伸びている様子はわからない。付け根の痕跡のみわかる。ちかくの6等星がアクセント。

5センチ7倍双眼鏡ではその6.4等星との合成等級で4.7等星と同じ。M31よりは集光しているが、衰えている感じ。尾は何となくある程度。

2014Q2_025-editPosi.jpg

m1=5.0, DC=5-6, dia=12', tail=40'/70° (5.0B7x)

5センチ7倍双眼鏡で注視してもコマは小さくしか見えてこない。集光は、暗くなったぶん弱くなったかに思えたが注意深く見るとまだ強い。尾はごく淡い。8等星まで(20')は少なくとも伸びている。光度は49And(5.26HV、5.4HK)よりは明るいが、ωAnd(4.8HV、4.9HK)よりはやや暗い。

おまけ。スケッチの出来るまで。

2014Q2_025-1.jpg20時01分。描き始め。

2014Q2_025-2.jpg20時14分。

2014Q2_025-3.jpg20時30分。

2014Q2_025-4.jpg20時45分。終了。

2014Q2_026-editPosi.jpg

  • 20.43UT m1=5.4, DC=6, dia=12', tail?/65° (5.0B7x)
  • 20.45UT m1=-, DC=6, dia=6', tail=10'/75° (20.3cmSCT 62x)

幸いM76最接近の日に晴れてくれた。こちらの方は20センチ62倍でも細長く輪郭のない淡い雲として見える。彗星はコマが小さくなったが集光は逆に強まったようにさえ思える。核は250倍でも恒星状。尾は非常にかすか。コマからの延長で幅広くやや広がっているように見える。5センチ7倍双眼鏡では49And(5.26)と同じかやや暗く、1Per(5.53)と同じ程度。

1週間ぶりの星空でしたが、望遠鏡を持ち出して低空の2つの新彗星を向けようとしたところ、気流の乱れがあまりにもひどく(当然見えなかった)、ラヴジョイ彗星を望遠鏡で見るのも断念しました。5センチ7倍双眼鏡のみで観測。光度はm1=5.6等(HV、HKともに)。月明が出てきて、空が白みがかってきています。

C/2014 Q2 (Lovejoy)
IIIYYYYMnL YYYY MM DD.DD eM/mm.m:r AAA.ATF/xxxx /dd.ddnDC /t.ttmANG ICQ XX*OBSxx
   2014Q2  2015 02 27.44 xB  5.6 HK  5.0B     7  12    5/ ?         ICQ XX AIKxx

2014Q2_027-editPosi.jpg

  • 2.44UT m1=5.7, DC=5-6, dia=10', tail=? (5.0B7x)
  • 2.45UT m1=-, DC=5-6, dia=5', (20.3cmSCT 62x)

10日ぶりのスケッチ。月明が強くなり、3等星までしか肉眼で見えない。5センチ7倍双眼鏡では、輝きがなく弱いが、まだ集光は強い。5.54等(HIP7617)より暗く5.71等(HIP7251)と同じかやや明るい。第一印象的にはφCas(5.0)に近かった。尾もあるような?20センチ62倍ではやや輝きが衰えただけでまだ明るい。62倍で10等星の恒星状核。コマがわずかに変形して尾の痕跡がある。コマはちかくの11.1等星に接しかかっている。317倍に上げても、恒星状の核が残る。11.1等星並みの光度。

2014Q2_028-editPosi.png

  • 10.42UT m1=5.8, DC=5-6, dia=9' (5.0B7x)
  • 10.45UT m1=6.0:, DC=5-6, dia=6',tail=-/40°? (20.3cmSCT 62x)

5センチ7倍双眼鏡では、いい加減6等台に入ってもおかしくない頃だと思っていたが、まだ5.7~5.8等級もある。φCas(5.0)よりはやや暗いが、HIP6486(6.4)よりも明るく、HIP7251、7617、5361(5.7~5.8)に近い光度。ただ、コマは小さくなって尾はわからない。

20センチ望遠鏡ではNGC457が近いため、36倍(1.4°)スケッチを試みてみる。星団と比べても彗星はまだ明るくよく集光している。尾の痕跡があるように思える。星団は36倍では明るい10個程度が見えるだけだが、よく密集している。

付記:NGC457は、両手を伸ばしたように見えることから個人的に「宇宙人星団」と勝手に呼んでいます。「星雲星団スケッチ」にはまだ掲載していませんが、以前8センチ屈折で描いたスケッチがあるので、アップしておきます。 20年前に描いたスケッチですが、NGC457の記事はこちら

2014Q2_029-editPosi.png

  • 19.42UT m1=6.4, DC=5, dia=7' (5.0B7x)
  • 19.44UT m1=-, DC=5, dia=4.5', (20.3cmSCT 62x)

夕方まで雨が降り、予報でも曇りだったが、日没後に急に晴れてきた。透明度が良いが無風で結露・モヤがひどい。スケッチは10分で仕上げざるを得なかった。彗星はついに6等台を下回った。いよいよ急減光に入ったかも?

5センチ7倍双眼鏡では6.3~6.5等星と同程度。5.8、6.0等星よりは暗い。ちいさく見えにくくなってきた。20時頃(高度27°)には存在すらかすかになった。

20センチ62倍では依然として集光。星状の核が弱くなったがまだ見える。小ぶりになったとはいえまだ明るい。317倍ではコマ内の12等星と同じ光度。尾はどの倍率でも不明。36倍(1.4°)の視野でδCas、M103とそれぞれ同視野に入る。ただし、M103とは完全に入らず中心のみ、端は視野から外れる。

2014Q2_030-editPosi.png

  • 24.44UT m1=6.6, DC=5, dia=8' (5.0B7x)
  • 24.45UT m1=-, DC=5, dia=4.5', (20.3cmSCT 62x)

5センチ7倍双眼鏡では、さらに小さく見にくくなった。減光よりは高度の低下が大きいかも。6.72(6.86HK)等星よりは明るいが、6.5等星並み、6.3等星よりは暗い。暗いせいか集光も弱く感じる。20センチ62倍では逆に集光の強い、星状の核が目立つ。尾はわからないが核付近の集光も強い。317倍では、コマに埋もれるが小さい12等程度の星状の核がキラリと光る。(1°の距離にある)NGC559は62倍でかすか。低空になって視野の星数が減ってきた。

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  • 11.67UT m1=7.0, DC=4-5, dia=4', (20.3cmSCT 36x)
  • 11.68UT m1=7.0, DC=4, dia=7' (5.0B7x)

実に2週間ぶりとなった。下方通過で条件は悪いが、明け方には曇るかもしれないので観測。さすがに衰えはしているが、高度低下による分が大きい。集光もある。20センチ36倍で、光度は付近の6.8~7.0等星とほぼ同じ。コマ内に10等星があり、核のように見える。わずかに中心から外れている。167倍まで上げても恒星状の核は不明瞭。5センチ7倍双眼鏡でも、面積のある光斑として見える。集光は弱い。

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  • 17.68UT m1=7.0, DC=3-4, dia=8' (5.0B7x)
  • 17.68UT m1=7.2, DC=4, dia=5', (20.3cmSCT 36x)

集光の低下はあるが目が慣れるとまだ明るい。恒星状も核も認められる。250倍では11等以下でかなり暗い。コマは意外に拡がっている。光度は36倍でちかくの7.20等星に近い。5センチ双眼鏡では集光の弱い光斑として見える。目をそらすとコマはまだ大きい。6.86等星と比較してもほぼ同じか明るいと目測出来る。他の7等星と比較しても同様。

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  • 30.48UT m1=7.7:, DC=4, dia=3.5' (20.3cmSCT 36x)

上弦過ぎの月明かりがひどいが、透明度は良好なので試みてみた。明け方の方が条件は良くなるが晴れてくれるかわからない。全体的に弱くなった印象。集光は弱いが、167倍でまだ星状核がある。光度は7.2等星より暗く、7.7等星にちかい。7.4~8.0等程度か。

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  • 30.76UT m1=7.3, DC=4, dia=9' (5.0cmB 7x)
  • 30.76UT m1=7.4, DC=4-5, dia=5' (20.3cmSCT 36x)

湿度が高くあまり期待していなかったが、いざ向けてみると夕方とはまったく違う!よく輝いて夕方の弱い姿がウソのよう。核も明瞭。光度は7.2等星よりわずかに暗く、7.3等星並み。7.7等星よりは明るい(36倍)。62倍で、尾らしい痕跡がわかる、コマはごく淡い部分がかなり拡がりを持っている。双眼鏡でも光斑として認められる。

C/2015 F3(SWAN)は、12等のごく淡い光斑として見えたと思うが、じっくり観測する時間がなかった。

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  • 10.62UT m1=7.8, DC=4-5, dia=6' (20.3cmSCT 36x)
  • 10.65UT m1=7.6, DC=4, dia=7' (5.0cmB 7x)

10日ぶり。ゆっくり減光しているようだが、変化はわずか。依然として12等の星状核が見え、コマも集光を保っている。わずかに尾もある?光度は36倍で上の7.5等星と同じかやや明るいが、下の7.6~7.9等星よりは暗い。双眼鏡でも見えるが、近くの8等星を巻き込んで7.1~7.3等くらいの光斑として微かに見える。

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  • 21.72UT m1=8.0, DC=4, dia=5' (11.0cmM 31x)
  • 21.73UT m1=7.9, DC=3, dia=8' (5.0cmB 7x)

約10日ぶり。11cmでの観測。口径差もあってやや淡く感じるが、まだ依然として恒星状の中央集光がある。コマは意外と拡がっているかも。光度は近くの7.88等(7.97TT)と同じとしたが、8.10等星(8.26HK)とも近い。双眼鏡では拡散した集光のない雲状に見える。大きく淡い。

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  • 04.60UT m1=8.4, DC=4, dia=6' (20.3cmSCT 36x)

強烈な満月の月明があるが、真冬並みの透明度で4等星も見える。ただ、シーイングも真冬並み。2週間ぶりの観測。やや淡くなったが、目が慣れるとまだ中心付近の集光は鋭い。206倍で12等程度の星状核。コマはかなり大きく拡がる。36倍で7'近い。コマの外側に12等星が接する。近くの8.1等星よりわずかに暗い。

土星のリングは空隙が辛うじてわかるぐらいシーイングが悪かった。

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  • 23.73UT m1=9.2, DC=3, dia=4' (20.3cmSCT 36x)

深夜1時30分に腹痛で目が覚めたら見事な雨上がりの星空。急いで準備して出かけた。3週間ぶりでさすがに淡くなったが、それでもコマはまだ大きく拡がっている。36倍では拡散した雲状だが、100倍→167倍とあげていくと中央集光が目立ってくる。12等星程度の恒星状。光度はちかくの8.98等星よりやや暗く9.22等星並み。9.1~9.4等級か。

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  • 10.65UT m1=9.8, DC=3-4, dia=2' (20.3cmSCT 62x)

また2週以上の間が空いての観測。かなり透明度は悪い。20センチ62倍ですぐにはわからないほどに淡くなってしまった。近くに8等星があるせいもあるが。なんとか、小さく弱い集光はわかる。光度はちかくの9.8~10.1等星並み。ただ、一見するとコマに接する10.9等星よりも暗く見える。100倍以上ではやや見やすくなる。集光もわかる。

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  • 14.62UT m1=10.0, DC=3, dia=2.5' (20.3cmSCT 62x)

一旦雲が広がってしまい、あきらめかけたが23時頃に晴れ間が再び広がってきた。10日より透明度は良く期待したが、あまり見やすくはない。20センチ62倍で位置がわからないと見えない。ただ、一度見つけるとやや見やすい。100倍以上で明瞭。光度は9.7等よりは低いが10.2等以上はありそう(9.8~10.1)。

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  • 21.57UT m1=9.6, DC=3, dia=4' (20.3cmSCT 62x)

久々の良好な透明度。20センチ62倍ですぐに見つかった。かなり拡散しているが、コマは大きい。10.7等星を内包している。注意すると弱い中央集光がある。光度は10.7等星との合成等級で9.6等星より0.3等明るく、8.8等星より0.5等暗いとした(9.3等)。10.7等星の寄与分を除くと9.6等級。予想よりは明るいが、感覚値の9.7~9.8等級に近い。以前の観測の10.0等は、コマ中心しか見えずやはり暗めだったようだ。

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  • 11.46UT m1=11.0, DC=2-3, dia=1.5' (20.3cmSCT 133x)

実に2ヶ月ぶりとなってしまった。透明度もいまいちで、非常にかすか。位置がわからないとまず見えない。20センチ62倍ではわからず、100倍以上で確認。非常に拡散した大きさのある姿。わずかに集光している気がする。光度は難しいが、11.0~11.5等か。雲が通過し、観測時間の半分以上が無駄になった。

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07.46UT m1=11.6, DC=3, dia=1' (20.3cmSCT 167x)

約1ヶ月ぶりとなった。空の透明度は良好だが夕方の光害はひどい。彗星は極めて淡くほとんどわからない。かろうじて20センチ167~206倍でわかる。206倍ではやや見やすくなるが、ごく淡い光斑としてのみわかる。317倍でも一応見える。集光はあるようだ。これで最終観測になりそう。