3ヶ月前に地球接近と近日点通過を終え、減光しつつあるラヴジョイ彗星(C/2014 Q2)が驚異的な粘りを見せています。先日12日には7.0等級と観測しました。近日点通過前の観測では、logrの係数kが25程度の急な増光だったため、減光も急激に進み今は9等級でもおかしくありません。近日点通過後はlogrの係数でいうとk=0~5で、「太陽から遠ざかっているのに同じ光度を保っている」という状況でした。k=0なら彗星自体がまったく減光していない(遠ざかるにつれむしろ発光している)、k=5なら固体天体同様、太陽反射光の分しか減光してないことを意味しています。
ただ、これは(Comet for Windowsで解説されている手法を用いて)光度のピークが近日点通過24日後に来たとして見直すと大体説明が付きます。
上のグラフで赤の丸は私の観測、薄い青の丸はCOBSのサイトから引用した観測です。近日点前は薄い赤の曲線、近日点後は薄い青の曲線で近似出来ます(どちらも目分量で適当にパラメーターを決めています)。
そして赤い曲線は、絶対光度のピークが近日点後24日にくるとした場合の光度曲線で、私の観測と、COBSの(CCDを除く)すべての観測から算出したものです(私の観測のみからでも、25日後にピークを迎えるほぼ同じ光度式が算出出来ます)。
5月末に彗星は天の北極付近を通過します。もし、赤い曲線のように今後急減光するなら、5月末の「北極彗星」は10等級以下になるでしょう。そして、7月には12等級まで減光して、眼視観測の視界外に出てしまうことになります。
一方、光度が今後もk=5に沿って減光するなら5月末には8等級の「北極彗星」として輝き、12月になっても11等級で見えていることになります。4月以降は、赤い曲線よりもk=5の薄い青の曲線に乗っているようにも見えます。k=5に沿った減光がずっと続くとは思えませんが、いつまで続くのか注目ではあります。
続きに、縦軸を絶対光度(1auから見た明るさ)に取ったグラフを掲げておきます。こちらの方が彗星本体の光度変化が分かりやすくなっています。