1P/Halley ハレー彗星

ハレー彗星から30年。

ハレー彗星は1986年2月9日に近日点を通過しました。最も有名な周期彗星で、ここで改めて説明するまでもないでしょう。私が初めて彗星を見たのは1985年12月2日、まさに今から30年前の今日です。

私が彗星の存在を知ったのは、確信はありませんが1982年に彗星が検出されたことをテレビニュースか何かで見た記憶があるので、その時かと思います。とはいえ、当時小学3年生だったので後付けの記憶かもしれません。

1985年頃になると、世の中でもハレー彗星が注目され始めました。テレビでも特番が組まれ、多くの関連書籍が出版されて望遠鏡も品薄になったほどです。1986年4月の最接近時はさそり座の南にまで南下した(日本で南中時に高度10度、欧州では地平線下に)ので、オーストラリア行きの観光客が殺到しました。

IMG_9946.JPG今も現役の5センチ7倍双眼鏡を買っ(てもらっ)たのは、この1985年の夏で、もちろんハレー彗星観測を念頭に置いていました。まだ彗星ブームは到来していなかったので、店員には「星座を見たい」といって選んだ記憶があります(「彗星を見たい」と言ってたら無知なカメラ店員に望遠鏡を押しつけられていたかもしれません)。実際に彗星を観測し始めてみると、双眼鏡では飽き足りず、結局翌1986年2月に8センチ屈折望遠鏡を買ってもらうことになります。

ところで、1986年のハレー彗星の回帰は条件が悪く、1985年11月末にほぼ衝の位置で地球に接近(第1次地球最接近と呼ばれた)した後、翌86年2月に太陽の向こう側で近日点通過を迎え、4月に南天低い位置で地球最接近(第2次最接近)を迎えました。

彗星の観測に初めてチャレンジしたのは、1985年の11月上旬。東の空に見え始めたおうし座の方向に、星図をたよりに双眼鏡を向けてみましたが、残念ながら見つけることは出来ませんでした。記録を残していなかったので、11月の何日かわかりませんでしたが、当時の雑誌の書き込みや天気から推測すると、11月10日頃だったようです。当時の光度は7~8等で、しかも彗星を見たことはなかったので手持ちの5センチ双眼鏡で見ることは困難だったようです。

IMG_9943.JPG彗星は、11月16日頃にプレアデス星団に接近しました。この頃は予想で7等。前週の観測失敗から1等級程度増光してるはずでしたが、まだ暗くて見えないだろうと勝手に判断して(さらには、天頂付近にある彗星をベランダから身を乗り出してみるのは面倒だったので)晴れていたのに、コタツでぬくぬくして結局見ることはありませんでした。翌月の天文雑誌に掲載された見事な星団とのツーショット写真を見て「あの時見ておけば良かった!」と、30年経った今でも後悔しています。

11月27日には一度も彗星を見ることなく第1次地球接近を迎えます。この日は晴れたので、双眼鏡片手に観測挑戦しましたが、強い満月光と低い透明度のために見ることは出来ず。またしても初観測は持ち越されました。

そして迎えた1985年12月2日。満月が去り、冬空で透明度は良好でした。星図をたよりに双眼鏡で頭上のうお座の方向の星空を探すと・・・「!!」ものの1、2分で丸い雲が見つかりました!人生で初めて見る彗星です。ほんの数日前まで見えなかったのが信じられないぐらいはっきりしていて、中心には恒星状の核があります。既に6等級に達していました。

IMG_9945.JPGこの時の彗星の姿は今でも脳裏に焼き付いていますが、観測から数年後に手に取った「彗星ガイドブック(関勉著)」の裏表紙に掲載されていた彗星の写真が、まさにこの時のハレー彗星の姿にそっくりで驚きました(1975年の小林・バーガー・ミロン彗星です)。

12月以降は冬晴れに恵まれ、特に1月はほぼ連日彗星を見ることが出来ました。晴れている日は透明度の善し悪しにかかわらず毎日ベランダ越しに見たので、うお座からみずがめ座に至る彗星経路の星の配列は今でも覚えていて、星雲星団や彗星を見る際、この付近に双眼鏡を向けるとハレー彗星のことを思い出します。

1月下旬、いったん西空低く彗星は姿を消します。その後8センチ屈折望遠鏡を手に入れて、2月下旬、9日に近日点を通過した彗星が明け方の東の空に姿を現すのを待ちかまえました。2月25日早朝、冬晴れの透明度の空の元、既にオレンジ色になった地平線付近の空を双眼鏡で探すも、明瞭な姿を見いだすことは出来ず(彗星状の雲があった)、翌26日に彗星と再会します。

3月に入ってからは毎朝早起きして天気を確認するのが日課となりました。いよいよ彗星らしい尾を引いた姿で楽しむことが出来ましたが、それも双眼鏡あっての観測で、肉眼では一度だけ目をこらしてようやく見れたという程度でした。4月以降は天候も悪化し、思うような観測は出来ず、数少ない晴天をぬってなんとか観測数を稼ぎました。既に彗星ブームが去った6月をもって彗星を見送りました。

この年の夏休みは(ほかにアイデアが浮かばなかったので)ハレー彗星の観測を夏休みの自由研究の宿題に決めました。夏休みにはもう見えてなかったものをテーマにするのは如何なものかと思いましたが、意外にも市内での賞を取って県レベルまで行ってしまいました。

半年以上に渡って、約50回も彗星を見ましたが、まだちゃんとした光度観測の知識もなかったし、写真を1枚も残さなかったので(家には一眼レフもあり、三脚さえ買っていれば撮れたのですが、天体写真を始めたのはその半年後でした)今にして思えばいろいろと心残りもあります。しかし、もしあと2年生まれるのが遅かったら、自力で彗星を見つけることは出来なかったでしょうし、逆に2年早く生まれていたら次の2061年の回帰まで生き抜くことはできないかもしれません。

光度観測のまねごともしました。「全光度」「集光度」の区別も付かない程度の知識しか持ち合わせていなかったので、かなり適当に決めていましたが、それでも近日点前の急増光と、近日点後の光度変化は追えました。彗星が去りゆく5~6月になってようやく光度観測に慣れてきた気がします(グラフ中、薄い青のプロットはCOBSに掲載されている観測値)。

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一応、近日点前はm1 = 4.9+5logΔ+13.9 log r、近日点後はm1 = 3.6+5logΔ+9.2log rの光度式が得られました。

ちなみに、この光度式を元に2061年の回帰条件を予想すると、2061年の4月に11等級(5月頃に太陽と合なので、夕空低い)、6月半ばには6等級に達し、近日点通過の7月末頃には0等級まで明るくなります(太陽離角は20度しかありませんが、太陽の北側を回り北半球で朝晩に見ることが出来ます)。9月までは6等級以上、さらに年をまたいで2062年始めまでは10等級以上を保ち、望遠鏡で観測できることになります。

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観測記録一覧

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0001P-1982U1_000a.jpg 0001P-1982U1(pre)_001.jpg

  • 02.49UT m1=6.5, DC=-, dia=10' (5.0cmB 7x)

初めてハレー彗星を確実にとらえる。さがし始めてから1~2分で見つけた。尾は見えたようだが不確実である(10%)。光度測定は初めてなので不正確だ。

(2015年7月12日付記)人生初の彗星観測・スケッチです。最初のスケッチは「ハレー彗星観測ガイド」の冊子のページに直接描いていたみたいです(※小学生なので本の扱いは雑です)。そのあと、B5のノートに書いて(描いていたことを忘れていて、最近発見した)、さらに、体裁を整えるために、A4サイズのコピーした紙に2日単位でスケッチを描き写しました。

ほぼ天頂付近に彗星があって、首が疲れた記憶があるのですが、当時の観測条件を再計算すると、高度は60度ほどでそれほどでもなかったようです。ただ、満月過ぎの月の出直後であり、この日になってようやく彗星が好条件で観測できるようになったことが分かります。

1985年12月2日20時40分(TZ=+9)の小数表記:02.48611UT = 02.48675TT (ΔT=54.8s)
r=1.460au Δ=0.641au
α=0h52.8m δ=+12°42'(2000.0)
α=0h52.0m δ=+12°37'(視位置)
高度 alt=64.0°/方位角 A=209.3°(南南西)
太陽離角 Elong=126.4°
位相角 β=32.9°
太陽の方向角 =251.9° 太陽の反対方向(尾の方向)=71.9°(2000.0)
天文薄明終=2日17時59分 太陽高度 alt=-50.3°
天頂方向角 V=24.0°(北から東回り) / V+180=204.0°(天頂が下の画像は、この数値を反時計回転で北を上にできます)
月齢☽=19.89 月離角 Elong= 108°(地心) 月高度 alt=3.7°
軌道の元期:19860219 (観測日は元期から-78.5日経過)

絶対等級M1 = 7.5等(1auからの光度)
10'のコマ実直径 = 27.9万km(月軌道円の0.4倍)
参考:彗星の位置における1秒角の大きさ=465km

0001P-1982U1_002.jpg

  • 05.51UT m1=6, DC=-, dia=15' (5.0cmB 7x)

おとといより明るい?尾は不確実である(15%)。図では彗星の位置は変わらないように見えるが実際には動いている。

  • 12.49UT m1=6.2, DC=-, dia=10' (5.0cmB 7x)

7日ぶりのハレーである。彗星自体はすぐ見えたが、ハレーとは気づかなかった。尾の存在は50%の確率。核が右寄りにあることに注意。核光度はのちのテレビでの値とぴったり一致!(コマの方はわからん)

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  • 18.50UT m1=6.0, DC=-, dia=5' (5.0cmB 7x)

彗星は30秒ぐらいで見つけた。それも星図なしで。慣れると見つけやすい。月夜なのでたいへん見にくい。

  • 29.39UT m1=5.5, DC=-, dia=5' (5.0cmB 7x)

満月を過ぎたのでハレー彗星をさがしてみた。コマは楕円形のようにも見えた。核光度をはかるのが、光害、天候不順のため20分くらいかかった。光度に自信はないが、増光ぶりはめざましい!

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  • 02.40UT m1=4.7, DC=-, dia=10' (5.0cmB 7x)

ハレー彗星はすぐ見つけられた。光度は今までの観測結果が少し暗すぎたらしい。尾の方は80%以上の確率で見えた。尾は、意外と長く見えた。図のようにあまり長くない部分は確実なところ。

(2015年7月13日付記)1月1日に日心距離が1auを切り、彗星としての活動が活発になり始めました。空の透明度の記録は残していませんが、おそらくこの1月2日は冬晴れであっただろうと推定されます。観測を始めた頃は、「全光度」という概念がなく、核光度(あるいは内部コマの光度)を比較星と比べていました。とはいえ、この時点でもピントをぼかして測定するわけでもなく、何となく雰囲気で光度を見積もっていました(いわゆるフィーリング法)。スケッチの「γ」はみずがめ座γ星です。また、このスケッチに限らず視野円は双眼鏡の7度の視野ではありません。

1986年1月2日18時30分(TZ=+9)の小数表記:02.39583UT = 02.39647TT (ΔT=54.9s)
r=0.985au Δ=1.186au
α=22h14.3m δ=-2°38'(2000.0)
α=22h13.5m δ=-2°43'(視位置)
高度 alt=29.3°/方位角 A=241.7°(西南西)
太陽離角 Elong=53.0°
位相角 β=52.9°
太陽の方向角 =243.1° 太陽の反対方向(尾の方向)=63.1°(2000.0)
天文薄明終=2日18時11分 太陽高度 alt=-21.7°
天頂方向角 V=45.6°(北から東回り) / V+180=225.6°(天頂が下の画像は、この数値を反時計回転で北を上にできます)
※月は地平線下。月齢☽=21.36 月離角 Elong= 158°(地心) 月高度 alt=-40.7°
軌道の元期:19860219 (観測日は元期から-47.6日経過)

絶対等級M1 = 4.3等(1auからの光度)
10'のコマ実直径 = 51.6万km(月軌道円の0.7倍)
1°の尾の実長 = 0.02633au (394万km)
参考:彗星の位置における1秒角の大きさ=860km

0001P-1982U1_005.jpg

  • 04.41UT m1=4.7, DC=-, dia=10' (5.0cmB 7x)

日中は雨だったので不安になったが、夕方見事に晴れた(多少のモヤはあった)。尾の存在はほぼ確実(90%以上)。尾の長さはコマの2倍。

  • 05.39UT m1=4.6, DC=-, dia=10' (5.0cmB 7x)

ハレー彗星はすぐ見つけられた。尾の方はちょうどウエスト彗星のように2つに分かれていた(真ん中に濃い尾がある)。左側の方が明るい。右側はやや不確実(真ん中98%、左70%、右50%)

(2015年7月13日付記)実際にはこの時期の彗星は細い尾が伸びていただけで、幅広い分かれた尾は観測されていません。彗星写真の先入観で、「心眼」で余計なものまで見てしまったようです。当時の予報で尾がタイプⅠとⅡの尾が見える、というシミュレーションがあったようにも記憶しています。この後のスケッチでも「心眼」の傾向があります。

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  • 06.40UT m1=4.6, DC=-, dia=15' (5.0cmB 7x)

0001P-1982U1_006.jpgハレーの尾は確実に見えた。中心にいちばん濃い尾があり、それを中心に広がった感じ。幅が広い。左が濃い。真ん中100%、左70%、右55%。

  • 07.40UT m1=4.5, DC=-, dia=15' (5.0cmB 7x)

尾は確実に見えた。ハレーの前方へジェット噴射が見えたようだがほとんど不確実である(0%)。ハレーとは関係ないが4等ぐらいの流星が見えた。真ん中100%、左50%、右45%、ジェット1%以下。

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0001P-1982U1_009.jpg

  • 14.39UT m1=4.3, DC=-, dia=15' (5.0cmB 7x)

ハレーはかなり明るくなり、もしかすると全体光度はAqr-γと同じ(3.8等)かもしれない。光度は正確ではないといわざるを得ない。尾は長い(98%)。ハレーが見えるのも20日ぐらいまでだろう。

  • 15.37UT m1=4.6, DC=-, dia=10' (5.0cmB 7x)

薄曇りなので有効なデータはあまり得られず。尾は見えず。

0001P-1982U1_010.jpg

  • 18.39UT m1=4.4, DC=-, dia=10' (5.0cmB 7x)

低空なので、場所を知らないとほとんど見にくい。光度は正確ではないが、近くにあるはずの星がAqr-βを除き見えないので、かなり明るいことは確か。尾は見えない。

  • 19.40UT m1=4.3, DC=-, dia=' (5.0cmB 7x)

大気減光と月明が重なって(光害あり)最悪!十数分探した末ようやく見つけた。有効なデータはなし。

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  • 23.38UT m1=4.0, DC=-, dia=5' (5.0cmB 7x)

予想に反し(かえってよいが)今日もハレーが見えるとは思わなかった。データは多少の誤差はあるだろうが、それでもハレー自身はかなり明るいようだ。尾は見えない。


1986年1月23日18時10分(TZ=+9)の小数表記:23.38194UT = 23.38258TT (ΔT=54.9s)19

r=0.695au Δ=1.506au
α=21h34.6m δ=-6°40'(2000.0)
α=21h33.8m δ=-6°44'(視位置)
高度 alt=7.3°(大気差を補正した見かけ高度=約7.4°)/方位角 A=256.2°(西南西)
太陽離角 Elong=21.7°
位相角 β=31.6°
太陽の方向角 =232.3° 太陽の反対方向(尾の方向)=52.3°(2000.0)
天文薄明終=23日18時28分 太陽高度 alt=-14.4°
天頂方向角 V=52.3°(北から東回り) / V+180=232.3°(天頂が下の画像は、この数値を反時計回転で北を上にできます)
月齢☽=12.87 月離角 Elong= 128°(地心) 月高度 alt=44.4°
軌道の元期:19860219 (観測日は元期から-26.6日経過)

絶対等級M1 = 3.1等(1auからの光度)
5'のコマ実直径 = 32.8万km(月軌道円の0.4倍)
参考:彗星の位置における1秒角の大きさ=1092km

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  • 25.85UT m1=3.1, DC=-, dia=20' (5.0cmB 7x)

(今日の観測を正式の観測開始日にするべきだろう)ハレーはすぐ見え、やぎ座β位のあかるさだった。尾も一目ですぐわかった。これは薄明中なので、かなりハレーが大きくなったといえる。

1986年2月26日5時30分(TZ=+9)の小数表記:25.85417UT = 25.85480TT (ΔT=54.9s)
r=0.687au Δ=1.331au
α=20h34.7m δ=-15°04'(2000.0)
α=20h34.0m δ=-15°07'(視位置)
高度 alt=9.4°(大気差を補正した見かけ高度=約9.5°)/方位角 A=116.5°(東南東)
太陽離角 Elong=30.1°
位相角 β=46.3°
太陽の方向角 =81.7° 太陽の反対方向(尾の方向)=261.7°(2000.0)
天文薄明始=26日4時52分 太陽高度 alt=-10.3°
天頂方向角 V=-48.6°(北から東回り) / V+180=131.4°(天頂が下の画像は、この数値を反時計回転で北を上にできます)
月齢☽=16.82 月離角 Elong= 134°(地心) 月高度 alt=21.3°
軌道の元期:19860219 (観測日は元期から6.9日経過)

絶対等級M1 = 2.5等(1auからの光度)
20'のコマ実直径 = 115.8万km(月軌道円の1.5倍)
1°の尾の実長 = 0.03265au (488万km)
参考:彗星の位置における1秒角の大きさ=965km

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  • 24.86UT m1=3.5, DC=-, dia=' (5.0cmB 7x)

やぎ座α、β星付近に2~3つの星があり、それにもやみたいなのがあった。それは尾かもしれないしただの雲かもしれない。実際、ハレーなどは見えなかったかもしれない。観測は薄明中である。

(付記)コメントにもあるとおり、この観測は雲の見間違いのようです。あと少しだけ双眼鏡を左に振ったところに彗星はありました。久しぶりの冬空の好条件の下、高度10度以下の超低空を迫り来る薄明と戦いながら必死に探した記憶があります。幸い、そのすぐ翌日には近日点後の初観測を行うことが出来ました。(2015年7月18日)

r=0.676au Δ=1.350au
α=20h36.4m δ=-14°45'(2000.0)高度 alt=10.4°
太陽離角 Elong=28.7° 薄明始=25日4時53分 alt=-8.6°

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  • 07.83UT m1=3.0, DC=-, dia=20' (5.0cmB 7x)

しばらく見ていると、尾が長いことがわかる。最大3度になる。Ⅱの尾は1の尾と垂直になっているように見えた。コマ、核はあまり区別がない。今日は日本の「すいせい」が接近する。

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  • 02.83UT m1=3.0, DC=-, dia=15' (5.0cmB 7x)

ハレーは明るく、タイプⅠの尾は一目で分かった。幸い薄明が始まっていなかったので、少しよく見るとタイプⅡと思われる尾が見えた。長さは最低1度30分はある。明るさは今にも2等台に達しそうだ。

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  • 02.83UT m1=3.0, DC=-, dia=15' (8.0cm屈折 152x)。天頂プリズム使用。

視野いっぱいにハレーのコマが見えたが、ただ大きな核とその周りに雲がある程度で、双眼鏡の像を引き延ばした感じ。ファインダーで尾が見えた。

(付記)この前月の2月に8センチ屈折望遠鏡を購入したので、この時のスケッチが望遠鏡での彗星初観測になります。視野がコマで埋め尽くされましたが、ギラギラ輝くわけでもなかったので、さほど感動はしませんでした。ファインダーは3センチ6倍程度だったと思います。(2015年7月18日)

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  • 12.83UT m1=3.0, DC=-, dia=20' (5.0cmB 7x)

今日は尾が∈に広がったかんじ。よくテレビで見る姿だ。コマ直径は正確でない。全光度はあまり上がっている感じがしない。地球最接近前の暗い時だからか。コマ自体見にくい。

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  • 15.84UT m1=2.9, DC=-, dia=30' (5.0cmB 7x)

コマ、核は同じ位の明るさ。尾はかなり広がった感じ。全体的に明るい。薄明が始まる前だったらもっと尾が見えたと思う。このまま明るさが持てば2.4等まで明るくなるはず。

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  • 16.83UT m1=2.9, DC=-, dia=15' (5.0cmB 7x)

尾は視界いっぱいに見えた感じである。コマ直径は意外と小さい。薄明が始まったすぐ後だったので、いつもより尾が見えたのだろう。尾を透かして星が見える。

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  • 17.81UT m1=2.9, DC=-, dia=15' (5.0cmB 7x)

薄曇りと尾が天の川に入ったせいか、尾の淡い所が見えなく、短く見える(空自体明るかった)。尾が分かれて見えた。

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  • 24.81UT m1=2.8, DC=-, dia=15' (5.0cmB 7x)

あいにくの月夜だったが、尾は7度にも達し、また、肉眼でうっすらハレーが見えた。尾(の幅)は3度ぐらいに広がった感じ。

(付記)今回、唯一肉眼でハレー彗星を見た日でした。(2015年7月18日)

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  • 20.82UT m1=3.0, DC=-, dia=15' (5.0cmB 7x)

運悪く地平線付近に雲があった。薄曇りの中の一瞬の観測で淡い所は見えなかった。そのため、光度も低い。

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  • 25.81UT m1=2.8, DC=-, dia=15' (5.0cmB 7x)

満月のため尾が短い。尾自体見にくくなった。「?」の所は見えたようだが不確実なところ。核とコマは最近同じような明るさだ。ハレーがチリなどを大量に出しているとも考えられる。尾は少々曲がっている。

  • 26.81UT m1=2.9, DC=-, dia=15' (5.0cmB 7x)

月明がいっそう増してハレー自体見にくかった。尾は少し曲がっているらしい。薄明後だったのも、ハレーを見にくくした原因だろう。

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  • 05.79UT m1=3.3, DC=-, dia=15' (5.0cmB 7x)

ハレー自体は低空のためか、かなり暗い。そのことを考えるとハレーはかなりあかるいよだが・・・。尾もなかなか見えない。明るさは低い方が無難か?

  • 06.79UT m1=3.3, DC=-, dia=20' (5.0cmB 7x)

大きいコマがあった。核らしいものはない。尾は春霞(曇り)のため、ほとんど見えなかった。けれども視野全体が尾だったということもありえる。7度くらいに伸びていたかも・・・

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  • 10.71UT m1=3.3, DC=-, dia=20' (5.0cmB 7x)

春霞のため、ハレーを見つけるのに十数分かかった。ハレー自体、見えたかどうか不安なところ。かなり暗く見える。1月23日の時よりまだ低空。尾は見えない。(望遠鏡だったらハレーが見えたかも・・)

(付記)この「1986年4月11日」は、地球最接近日としてマスコミでも話題になったほどです。透明度の低い空の中、低空まで見える橋まで自転車を走らせて見に行った記憶があります。かろうじて光斑として捉えたのでしょうけど、本当に彗星がちゃんと見えたか、若干怪しくもあります。(2015年7月18日)

  • 29.49UT m1=5.0, DC=-, dia=15' (5.0cmB 7x)

ハレー自身大変見にくかったが、コマは楕円、または尾を引いているように見えた。これは確実だろう。

(付記)この数日前に皆既月食がありましたが、彗星は見ていません。おそらく、相当透明度が悪かったか、月食に気が向いていたからでしょう。(2015年7月18日)

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  • 12.64UT m1=3.5, DC=-, dia=15' (8.0cm屈折 46x)

双眼鏡では結局ハレーが見えなかった。街明かりと低空のためか、暗く見える。中心部は少し濃くしてある。尾はわからない。観測は0時24分に電柱の陰に隠れたので(せこい!)終了。

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  • 30.49UT m1=5.3, DC=-, dia=5' (8.0cm屈折 46x)

中心部はよく見るとせんす状になったようである。右上へ尾が見える。望遠鏡では彗星はかなり拡がるためか、双眼鏡で見たより暗い感じがする。

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  • 17.48UT m1=7.0, DC=-, dia=7' (8.0cm屈折 46x)

光度については核は1の星と同じ、全体は2の星と同じ明るさなので、その星の光度がはっきりすればもっと正確に光度が求められる。尾が少し見えた。中心にもっとも濃く、下方にも薄くあるようだ。

(2015年8月12日付記)1の星は9.8等、2の星は7.6等の恒星だと思われます。

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  • 09.47UT m1=5.9, DC=-, dia=10' (8.0cm屈折 46x)

核が、意外にも青色でなく赤みを帯びているようだった。これはジオットの映像でジェットが赤~黄色だったことから間違いとはいえないのでは?尾は望遠鏡でわずかに見えただけ(うすく雲がかかっていた)。

(2015年8月12日付記)ジオットの赤い核の画像は疑似カラーなので、それは根拠にはならないようです。ただ、彗星核(内部コマ)が赤く見えることは大彗星ではありがちです。

0001P-1982U1_029-editPosi.png

  • 27.47UT m1=7.5, DC=-, dia=10' (8.0cm屈折 46x)

とうとう尾は見えない。中心部はむらがあった。核はあるか否かわからないくらい。ハレー彗星自身、やっと見えるくらいだ(なにしろ光害がひどい)。しかし、天頂プリズムをはずすと案外よく見えたのでプリズムがどれだけ光を失っているかわかる。

0001P-1982U1_029.jpg

  • 08.49UT m1=8.1, DC=-, dia=10' (8.0cm屈折 46x)

まさかとは思うが、核が2つに見えたような気がした(錯覚だろう)。何分も見てやっと見える程度まで暗い。4月13日のハレーが懐かしい。コマ直径がかなりあるためか、全体光度(の落ち込み)はさほどでもない。なにしろ翌日が梅雨(入り)予想日なので今日晴れてくれて助かった!

0001P-1982U1_028-editPosi.png

  • 27.49UT m1=7.5, DC=-, dia=10' (5.0cmB 7x)

星雲状天体が"なんとなく"あった。核も見えた(昨日は望遠鏡でさがしたが位置がつかめず失敗)。おそらく今日が双眼鏡でハレーの見える最後では・・・。

0001P-1982U1_028.jpg

  • 08.49UT m1=8.9, DC=-, dia=5' (5.0cmB 7x)

27日と同じ"なんとなくある"。双眼鏡で見えたのはいいが、今ではもはや双眼鏡観測は意味をなさない。データも望遠鏡が正確。

(2015年8月13日付記)今回帰での最終双眼鏡観測です。スケッチの星は、詳細は不明ですが、スケッチ上の最微星が7等星の可能性があり、その場合は全光度は7.5等~8程度ではないかと思います(そもそも見えてなかった可能性もありますが)。高度20度で9等は双眼鏡で見るには暗すぎます。

0001P-1982U1_030-editPosi.png

  • 11.50UT m1=8.2, DC=-, dia=10' (8.0cm屈折 46x)

もしかしたら今日はハレーはかなり活発なのかもしれない。8日よりよく見えたし、尾も見えたような気がした。梅雨は、例年の9日より遅く、12~14日になるらしい。

0001P-1982U1_030.jpg

  • 26.52UT m1=9.0, DC=-, dia=7' (8.0cm屈折 46x)

矢印がハレー彗星。暗いでしょう。光度はとうとう9等。彗星の高度も1月15~20日位に低い。そのため、おそろしく見にくい。梅雨の晴れ間で星が透き通る。

(2015年8月13日付記)スケッチ通りの時刻の場合、彗星高度は1度(山の陰に隠れる)しかないため、観測自体が誤りということになります。しかし、時刻が1時間間違って20時台の場合は高度が10度以上あるため、実際に観測している可能性はあります。20時半過ぎの場合は薄明終了の少し前に低空の彗星を見ていることになります。観測条件は透明度が良好だったようですが、高度も光度も低いため、疑問の残る最終観測になってしまいました。