C/2013 US10 (Catalina) カタリナ彗星

明け方の空に6等級で姿を現し、アンチテイルが発達した彗星(まとめ)

2013年に発見され、2015年11月15日にq=0.82auの近日点を通過した彗星です。近日点通過前は南半球でしか見られず、増光する様子をネット情報で知るしかありませんでしたが、近日点後の11月末からは北半球の明け方の低空でいきなり明るい彗星として現れました。

当初は4~5等級まで明るくなると期待されていましたが、ピークでも6等級程度にとどまりました。その代わり減光も緩やかで、地球に0.72auまで最接近した2016年1月半ば過ぎまでは6等台を保ち、北斗七星のそばを高速で通過していきました。彗星は初夏までの間、長く楽しむことができました。

近日点後の観測ということもあり、アンチテイルが顕著で、一時はイオンのメインテイルよりも目立って眼視でも見分けることができました。

私の観測からは、m1=5.93+5logΔ+8.54log rという、ゆるい光度変化の式が得られました(グラフ中の薄い青はCOBSの観測より引用)。

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観測記録一覧

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  • 27.84UT m1=6.6, DC=5-6, dia=3' (20.3cmSCT 36x)

昨日は寝坊したため、1日遅い初観測となった。今朝も晴れて助かった。5センチ7倍双眼鏡で、4.5等星のそばにある低空の彗星を確認した。6.5等くらい。20センチ62倍では強い集光が分かる。シーイングで潰れているが、恒星状の核がありそう。尾はかすかで、痕跡のみ。(強烈な満月の)月がなければ見やすいかも。光度は、離れた位置の6.2~6.8(HV)等星(6.4~6.6HK)と同じか、暗い。6.4~6.6等星とも比較できるが、(望遠鏡の視野では恒星までの)距離が離れていて測光が難しい。6.6~6.7等か。

2013US10_002-editPosi.png

  • 03.84UT m1=6.4, DC=6, dia=2.5' (20.3cmSCT 36x)
  • 03.84UT m1=6.2, DC=7, dia=8' (5.0cmB 7x)

高度が上がったせいか、だいぶ輝きが強く感じる。金星に近い。集光が強い。20センチ36倍の視野では比較星が難しいが、6.4~6.6等か。尾はかすかでよく分からない。見えないと思ってあまり注視していなかったが、視野の上方に伸びる筋がある気がして、後に確認して確かにアンチテイルと分かった。ダストのアンチテイルの方が(イオンのメインテイルより)かえって見やすい感じ。

5センチ7倍双眼鏡では、先週よりも明らかに見やすく、ほぼ6等の恒星状。わずかに拡散しているのが分かる。

2013US10_003-editPosi.png

  • 04.84UT m1=6.4, DC=6, dia=4' (20.3cmSCT 36x)
  • 04.85UT m1=6.3, DC=7, dia=7' (5.0cmB 7x)

昨日は尾についてあまり注目していなかったので、再度観測。確かに、ごく淡いアンチテイルが上方(※加工スケッチでは下方)に伸びている。20センチ36倍~62倍では見にくく、100倍まで上げた方がコントラストのせいか、見やすい。10'以上ありそう。メインノ尾もかすかにある気がする。

2013US10_004-editPosi.png

  • 08.84UT m1=6.4, DC=6, dia=3.5' (20.3cmSCT 36x)
  • 08.84UT m1=6.4, DC=7, dia=8' (5.0cmB 7x)

月明がほぼ去って(低空で三日月状)条件が良くなり期待したが、透明度はいまいちだった。光度や集光は5日とあまり変わらず。10等程度の星状核が167倍でわかる。ただ、尾はアンチテイルよりメインの方が見やすく感じた。アンチテイルは167倍でわかる程度。金星が近くにあったが「あかつき」が周回していることは観測中はすっかり忘れていた。

2013US10_005-editPosi.png

  • 17.83UT m1=6.3, DC=6, dia=4' (20.3cmSCT 36x)
  • 17.85UT m1=6.3, DC=5-6, dia=7' (5.0cmB 7x)

見え始めて以来最も条件がよい。20センチではすばらしい輝き。集光が非常に強い。36倍ではかすかにイオンの尾がわかるが、ダストのアンチテイルはあまりよく分からなかった。しかし、100倍では逆にダストの方が見やすく、イオンテイルが見にくくなった。光度はちかくの6.2等星とほぼ同じ。5センチ双眼鏡でもわずかに拡散した星状で、恒星と区別が付く。尾は不明。

2013US10_006-editPosi.png

  • 02.83UT m1=6.4, DC=5, dia=7' (20.3cmSCT 36x)
  • 02.84UT m1=6.4, DC=5, dia=10' (5.0cmB 7x)

約2週間ぶり。視野に入れて、まず大きくなっていることに驚く。集光は依然強いまま。注意すると恒星状の中心核がある、12等?また、コマ内に12.7等星が埋もれている。尾は不明瞭。高度が上がって逆に(首が)辛くなってきた。5センチ7倍双眼鏡ではオレンジ色のアルクトゥルスと同一視野に入る。コマが大きくなっているのがすぐにわかる。

2013US10_007-editPosi.png

  • 08.84UT m1=- - , DC=5, dia=10' ,tail=20'/285°? (20.3cmSCT 36x)
  • 08.83UT m1=6.3, DC=5, dia=15' (5.0cmB 7x)

夕方から一転して良い透明度に恵まれた。彗星は天高く、首が痛くなる高さ。5センチ双眼鏡で適当に探しても見つかる。球状星団のよう。双眼鏡での光度は、6.1等星以下で6.3等星と同じ。20センチ36倍ではコマが大きく、恒星状の核が目立つ。167倍で11等の恒星状。注視すると、36倍でごく淡い尾が上方(天頂ミラー使用時)に伸びているのがわかる。幅広く見えるので、アンチテイルかと思ったが、方向を調べるとイオンテイルの方らしい。もう1本のアンチテイルは探してもよくわからなかった。寝坊してC/2014 S2のスケッチは間に合わなかった。肉眼で金星は見たが、金星・土星の接近は気づかなかった。

2013US10_008-editPosi.png

  • 09.82UT m1=6.3, DC=5, dia=12' (5.0cmB 7x)

5センチ7倍双眼鏡で、アルクトゥルスと北斗七星の柄の間を適当に振っても見つかる。球状星団のようだが、中天にあるM13と比較するとコマは大きいが集光は弱い(1985年12月のハレーはこれよりさらに大きく、核が明瞭だった気がする)。高度が高すぎて見るのは辛い。スケッチもかなり雑になってしまった。尾はあるような気はするが、イオンの尾とアンチテイルの中間に伸びているような??不確実。

2013US10_009-editPosi.png

  • 18.80UT m1=6.3, DC=4-5, dia=13' (5.0cmB 7x)
  • 18.83UT m1=-, DC=4-5, dia=8' (20.3cmSCT 36x)

空の半分が雲で覆われていたが、なんとか彗星の方向は晴れてくれた。既に南中(子午線通過)ちかい。一時期に比べれば輝きが弱く感じられるが、コマは大きい。集光も強く20cm100倍で近くの11等星並みの明るさの核。36~62倍で周辺を注視すると上方(位置角200°)にコマの外端が広がっているような気がする。この辺がダストの尾なのだろうか。非常に淡く形状は不明瞭。右(位置角275°)へ細い尾がある気がするがまったく自信がない。

5センチ7倍双眼鏡では、丸いコマ。やや集光が弱まった?コマは、ミザール・アルコルの離角とほぼ同じか、やや大きい程度。

2013US10_011-editPosi.png

  • 04.58UT m1=7.9:, DC=4-5, dia=5' (20.3cmSCT 36x)

1週間ぶりの観測だが、一気に夕方の空に映った。透明度は悪くあまり良好な条件ではない。高度も低くなった。彗星は一気に暗くなった。5センチ双眼鏡では、ほとんどわからず、かろうじて光斑としてわかる程度。20センチ62倍では依然としてコマは大きい。集光も維持しているが、光度はちかくの7.9等星並みまで減光している。7.30等星の方が明るく見える。南天から雲が迫ってきたため、大急ぎでのスケッチとなってしまった。

2013US10_012-editPosi.png

  • 09.58UT m1=8.2, DC=4-5, dia=6' (20.3cmSCT 36x)

前回、かなり光度が落ちて驚いたが、(その時より条件の良い)今日はさらに淡くなってしまっている。ただ、目が慣れると中心部の輝きはよくわかるようになった。20センチ36倍~62倍~317倍どの倍率でも微星状の星状核がわかる。集光自体はあまり衰えていない。コマは大きめ。尾はわからない。光度はちかくの8.1~8.2等星並み。5センチ7倍双眼鏡でも、光斑として見える。ちかくの8等星並み。

2013US10_014-editPosi.png

  • 01.60UT m1=9.6, DC=3, dia=4' (20.3cmSCT 62x)

この時間まで雲が多く、晴れた頃には低空になってしまった。半月ほど見ない間に、一気にかすんでしまった。以前のような輝きはまったくない。注意しないと気づかないかも。集光はややあるように思える。62倍では集光しているが、100倍では拡散してしまう。光度は9.5-9.6等。

2013US10_015-editPosi.jpg

  • 15.50UT m1=10.8, DC=3, dia=2.5' (20.3cmSCT 62x)

また半月ぶりの観測。上弦の月が輝くが透明度はよい。かなり拡散したが、まだ62倍で明瞭にわかる。100~167倍では中心部のみが見える。12等星がいくつか点在して、コマに12.0等星が1個接する。核は不明。62倍で目をそらし気味にするとかなりコマが拡がる。尾はわからない。光度は(10.3~)10.5等と見積もったが、12.0等星の寄与分を除外して、10.8等とした。

※この後、観測予定だったC/2014 S2パンスターズ彗星は雲に覆われスケッチを取ることは出来ませんでした。光度は9.5~10等程度。

2013US10_016-editPosi.jpg

  • 11.47UT m1=11.5:, DC=3, dia=1' (20.3cmSCT 167x)

雲の通り道になって、月が出る中での観測。空は澄んでいるはずだが、最微星等級は12等程度であまり良くない。彗星はいろいろな倍率を駆使してなんとなくあるような、判然としない。206倍でややはっきりした気はする。集光はありそう。あまりに淡く、観測自体に少々不安がある。

81Pは12.6~8等の微星状?