C/2014 S2 (PanSTARRS) パンスターズ彗星

(まとめ)北天で半年間9等台を保った彗星

2015~16年の冬季に見えた3つのパンスターズ彗星のうち、真ん中の明るさの彗星で、長らく9等前後で北の空に見え続けていました。集光が強いため光度のわりには見やすく、最盛期にはかすかな尾もわかりました。

近日点は2015年12月に通過し、q=2.1auと遠めだったためか大きな変化もなく半年以上見続けることができました。自分の観測から得た光度式はm1=4.67+5logΔ+10.2log rでしたが、これには系統誤差があり、光度のピークを近日点後42日頃に持ってきたm1=0.62+5logΔ+21.9log r(t-42)の方が観測をうまく表現できます(COBSのデータベースから拾った観測でもほぼ同じ光度式が得られます)。実際、減光に転じて良い頃(2016年1月頃)になっても、しばらくは増光が続いていました。

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観測記録一覧

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19.65UT m1=10.9, DC=5, dia=0.8' (20.3cmSCT 100x)

夜半前になって晴れてきたので、急いでセットして観測。20センチ62倍でかすかにしかわからななかったが、100倍以上で注視すると集光のある姿が見えてきた。目が慣れると意外と見やすい。133倍~167倍の方が見やすい。光度は11.2等星と10.5等星の中間程度。10.9~11.0等か。観測後にまた曇ってしまった。

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03.54UT m1=9.7, DC=5, dia=1.5' (20.3cmSCT 62x)

夕方の低空になり、条件は悪化したはずだが、透明度と、彗星自体が増光したせいか見やすくなっている。20センチ62倍でも強い集光がわかる。薄いが見やすい。200倍以上だと星状核はわかりにくい。光度はちかくの9.68等星とほぼ同じ。9.98等星とも近い。9.7~9.8等か。下方に尾があるような気もする。

(追記)観測時は、尾の方向が想像していたものと違っていたので自信がありませんでしたが、スケッチの尾の方向と、計算による反太陽方向は一致していました。

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  • 15.46UT m1=9.6, DC=5, dia=3' (20.3cmSCT 62x)

20センチ62倍でなかなか見つからないと思ったら、微星のひとつだった。そのぐらい集光がある。集光は強いものの、輝きはない。光度は8.86等星に近いかと思ったが、他の複数の9.6等星とほぼ同じ。167倍でも11~12等の星状の核があるように思えたが、コマ内に12.7等星があるので、それの見間違いかも?100倍で尾らしいものがある。コマの外側は意外と拡がっているのかも。

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  • 02.82UT m1=9.2, DC=5, dia=2.5' (20.3cmSCT 62x)

月明のため、良好な条件とは言い難いが、それでも20cm62倍でよく集光したコマが目立つ。見やすく、近くに11等星がある。ほぼ円形のようにも見えるが、上方に拡散しているようにも思える。光度は11等星との合成等級で9.0等。8.89等星より暗く、9.32等星より明るい。

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  • 09.81UT m1=9.2, DC=5-6, dia=3' (20.3cmSCT 36x)

7等の輝星に接近していて、20cm36倍ではその星のゴーストのように見えている。懸念したほど接近していなかったので、光度測定はできた。ただ、星の輝きでコマの外周はわかりにくい。光度は36倍~62倍でちかくの9.33~9.27等星とほぼ同じ。100倍→167倍では集光が非常に強く、12等の星状核がわかる。

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  • 27.81UT m1=8.7, DC=6-7, dia=3' (20.3cmSCT 36x)

小惑星(1867)による10等星の食(木陰で見えなかった)のついでの観測。満月過ぎの月明でまったく期待していなかったが、予想以上に明るく、よく輝いている。20cm36倍でたやすい。とくに集光が強く星状核。少なくとも付近の9.5等星よりは明るく、8.98等星、8.81等星と同じか、さらに明るい。8.26等星とも比較できる。プチバーストを起こしている?コマは小さく尾はわからない。

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  • 09.62UT m1=9.1, DC=5-6, dia=2' (20.3cmSCT 36x)

朝方に観測するつもりだったが、(カタリナ彗星のついでに)向けてみたら意外と良く見えたので一応スケッチ。C/2013 X1カタリナ彗星と同じ62倍でスケッチした。強く集光しており、カタリナ彗星よりも中央付近の輝度は高そう。コマは小さい。光度は9.2等星とも、8.5等星とも近い。

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  • 16.81UT m1=9.0, DC=5, dia=2.5' (20.3cmSCT 36x)

明るくよく輝く。20センチ62倍で導入した際、尾が下方に伸びているような気がしたが、あまり自信はない。どの倍率でも星状の核がわかる。167倍では11等の恒星状。光度は、8.5等星よりは暗いが8.9~9.0等はありそう。9.0等星よりは明るい。

W2パンスターズ彗星はわからず(12等以下)。最微星は13.0等程度の条件。

(追記)スケッチの尾の方向は反太陽方向とずれているので、こちらの方は幻影だったかもしれません。

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  • 01.64UT m1=9.2, DC=6, dia=3' (20.3cmSCT 62x)

予定になかったが(星図も用意していなかった)カタリナ彗星よりも高度が高く、ついでに観測。同じ62倍でのスケッチ。カタリナ彗星とは対称的によく輝き、明るい。中心角が明瞭で、100倍で12等の星状。光度はほとんど衰えていない。注意すると、尾が下方に伸びているような気もするが自信はない。

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  • 05.74UT m1=10.0, DC=5, dia=2' (20.3cmSCT 62x)

1ヶ月ぶりの観測。やや衰えた感じはするが、依然として強い集光がある。コマは小さく、あまり輝きはない。尾があるようにも思うがよくわからない。光度は9.4等星にも近いが、それより暗く10.2等星に近い。

時折雲が発生して、全天を覆うかもしれない不安とのたたかいであった。

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  • 01.57UT m1=11.6, DC=2-3, dia=1.5' (20.3cmSCT 100x)

良好な澄んだ空の下、久しぶりの観測。極めて淡くなった。20センチ62倍で見えそう。なんとか100倍~で、目をそらし気味にすると、拡散した大きめのコマがわかる。わずかな集光。低倍率の方がかえって見やすい。光度は付近の12等星よりは明るい。11.4等程度?最終観測かも。