タットル・ジャコビニ・クレサック彗星(クレサク・クレサークとも)・・・長いですが、この名前だけでも歴史を感じさせてくれます。私がこの彗星の存在を知ったのは「彗星ガイドブック」に紹介された、1973年に14等だったものが4等までバーストして見えたという記述だったと思います(本の出版は1976年ですが、読んだのは1980年代後半か90年代)。
1995年にバーストを起こし8等級まで増光したそうですが、そのニュースを知ったのは1ヶ月遅れの天文雑誌で、天候も悪い時期で観測は間に合いませんでした。2000-1年に8等まで増光した回帰は、PCを購入してネットが繋がる直前だったので、情報を得られず見るチャンスに恵まれませんでした。9等まで増光した2006年の回帰も、夕方で、かつ天候が悪い時期だったので見逃してしまったようです。
そんな事情もあり、30年近く見逃し続けてきたこの彗星が、2017年春に地球に大接近し、今度こそは見える!と期待して臨み、ようやくその姿を拝むことが出来ました。
毎回のようにバーストを起こすため、今回は間近からその様子が見られるかもしれないと期待されましたが、結局バーストは起きなかったようです。0.14auまで接近したおかげで7等級(COBSでは6等)まで明るくなり、5cmクラスの双眼鏡でも見ることが出来ました。しかしながら非常に拡散していたため、空の条件に見え方は左右され、透明度が悪いと7等でも全く見えないほどでした。直前に接近した45P/本田・ムルコス・パジュサコバ彗星を連想させる姿でした。
拡散していたおかげで光度測定は難しく、1等以上のばらつきがありますが、近日点に急増光するタイプらしいことはわかります。私の観測値からはm1 = 11.05+5logΔ+26.9 log r(一部の値を除く)が得られました。
今世紀中は、2017年を上回る接近は残念ながら起きないようです。