273P/Pons-Gambart ポンス・ガンバール彗星

まとめ

ロストコメットの2世紀ぶりの回帰。

C/2012 V4が1827年に出現して行方不明となったD/1827 M1ポンス・ガンバール彗星かもしれない、と最初に聞いた時は、聞き覚えのある有名な彗星がついに帰ってきた!と思った。周期が数十年に及ぶ行方不明彗星の回帰は、一生の間でもそうそう見れるものではない。昔買った本にもポンス・ガンバール彗星の情報は書いてあった。

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右が「彗星を追う」(1971年)、左が「ギネスワールド・天文と宇宙」(1981年?)。どちらにも周期64年とある。2回の回帰が見逃されたのだろう。

ともかく、近日点通過前の12月の末に夕方の空低く見えるチャンスがあり、1度挑戦したが、残念ながら低空かつ10等級以下の明るさで見えなかった。その間に軌道が決定され、実は周期188年で、185年ぶりの初回帰であったことが判明した。なんと109P/スイフト・タットル彗星並みの大彗星(周期的な意味で)だった!軌道決定の難しさを改めて知る。

これはなんとしても期待せざるを得ない。前回は5等級ぐらいにはなったらしいし、今回帰も条件が悪いとは言え、計算上は8等級ぐらいになってもおかしくない。そう思って1月になってから明け方の空に姿を現すのを待ち構えた。

幸い、明け方の低空に姿を現した彗星を確認できた。しかし、淡い。もう少し高度が上がれば見やすくなるかもしれない・・・そう期待して何度も早起きして彗星を観測したが、どんどん拡散して光度が下がる一方。結局10等級よりは明るい姿としてはみることは出来なかった。1月末から2月始めにかけて条件の良い夜には、5分以上のかなり拡がったコマが見えたような気がしたが、あまり自信は持てず。

ともかく、回帰条件が悪く微光彗星の印象のままで去って行ってしまったのは残念。次回は2191年6月に近日点を通過して、地球に0.5auまで接近するらしい。さすがにこの時まで生きている自信はないが、2191年の人たちに観測記録が残ればいいなぁ・・

この文を書いている時に発見したが、60年以上のロストコメットでは、ドゥビアゴ彗星の他に、C/1884 A1 ロス彗星も行方不明で、しかも予報の近日点通過が2011年!これは期待せざるを得ない。

観測で得られた6個の光度より。光度式は m1=9.0 + 5 logΔ + 16.3 log r だった。

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観測記録一覧

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19.85UT m1=10.3, DC=4, dia=1.5' (20.3cmSCT 100x)

ジャマしていた木の枝がなくなり、薄明の少ない少し早い時間から観測できたが、かなり淡い。近くの10等星並みの明るさ。集光はあるが、昨日より弱まっているようにも思える。62倍~133倍どの倍率でも見える。

0273P-2012V4_003-editPosi.png

22.85UT m1=10.3, DC=4, dia=1.5' (20.3cmSCT 77x)

3日前より条件が良くなった。一見して恒星状の核がある・・・と思ったが、133倍で近くの12等星だとわかる。コマの集光は強くない。高度が上がったわりにはあまり見え方は改善されず。減光しつつあるのかもしれない。

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10.84UT m1=11.6, DC=3, dia=1.5' (20.3cmSCT 133x)

完全に淡くなってしまった。63~77倍でも辛うじてわかるが、厳しい。観測条件は今までで一番最良だが。100倍よりも、133倍、200倍の方が見やすく、やや集光しているのはわかる。コマ直径もある。もしかすると、あと数倍大きいのかもしれない。おそらく最終観測になろう。