C/2017 O1 (ASASSN) アサシン彗星

天空を駆け抜けた刺客彗星

超新星や新星を発見しているグループASAS-SNによって初めて発見された新彗星です。近年の新彗星にしては珍しく、7月の発見直後から11等級の明るさで観測されたため注目されました。2017年10月14日にq=1.5auの近日点を通過しました。発見後、彗星は北上し、くじら座からおうし座、ペルセウス座、きりん座へとほぼ衝位置を移動し、好条件で見ることができました。

私の観測では9等台(各地の報告では8等台)まで増光しましたが、非常に拡散していて光度ほどには見やすくはなりませんでした。光度のピーク自体も近日点前に来てしまい、近日点通過後は急速に暗くなってしまいました。

2017O1mag.png

グラフ中、私の見積もりが赤、COBSによる他の観測者の見積もりが薄い青です。光度のピークを近日点通過の約60日前とすれば、うまく光度式を組むことができます(考慮しないと系統的なずれが出る)。私の光度が暗めになったのは、外側の淡いコマを見られなかったためと思われます。

2017O1coma.png (参考)コマ視直径のグラフ。

彗星名が「ASASSN」に決まるまで1ヶ月以上という異例の期間を要しました。当初、発見グループが提案していた「ASAS-SN」が、ハイフンが認められないとの理由で却下されたことなどにより、決定が遅れたようです(「天文ガイド」2017年11月号・P.26の記事による)。和名は「エイサスSN(エスエヌ)」「アサシン」(発見グループが自身の通称で用いている)と表記することが多いようです。なお、C/2004 R2(ASAS彗星)の発見グループASASとは別組織だそうです。

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観測記録一覧

2017O1_001-editPosi.jpg

  • 06.76UT m1=10.3:, DC=3, dia=2' (20.3cmSCT 100x)

発見以来晴天がなく、今夜も曇りかとあきらめていたが、2時過ぎに晴れ、急遽望遠鏡をセット。しかしまたすぐ曇り。撤収しかかったところで、わずかな晴れ間が戻ってきた。月があり、透明度も悪いがそれでもなんとか、かすかに見える。20cm100倍で集光の弱いかすかな光斑。167倍でもわかる。62倍では時間がなかった。コマはある程度大きい。ちかくの10等星なみの明るさか。見えたのは正味5分程度だった。

(追記)7月19日に発見された新彗星です。22日頃には情報が伝わって、いつでも観測できる状況でしたが、なかなか星空に恵まれず2週間以上も待たされました。近年では珍しく、発見直後から11等前後と明るく観測されています。

8月7日現在、まだ通称が決まっていません。観測チーム名から、「ASAS」「ASASSN」「ASAS-SN」のいずれかになる可能性があります。「ASASSN1」は、発見が認められる前のNEOのページに掲載されていた仮称でした。

2017O1_002-editPosi.jpg

  • 08.76UT m1=10.4, DC=2, dia=2' (20.3cmSCT 100x)

おとといに比べ、空の透明度がよく満月がまぶしかったが、彗星方向の薄雲がなかなか取れず、おととい並みのごく淡い姿にとどまった。20cm62倍で辛うじてわかる気がする。100倍で集光がない姿。目をそらして辛うじてわかる程度。167倍でも同様。

2017O1_003-editPosi.jpg

  • 22.76UT m1=9.7, DC=2-3, dia=3' (20.3cmSCT 36x)

彗星自体は2週間ぶりだが、まともな晴天は1ヶ月ぶり。彗星はだいぶ高い位置にきて、条件は良くなったがきわめて淡いまま。すぐには見つからないが(前回は見えなかった)20cm62倍や36倍でも見える。非常に拡散していて大きい。一見すると10等以下だがもう少し明るそう。9.7~10.2等か。100倍以上ではやや集光しているのがわかる。

(追記)彗星名は21日に"ASASSN"彗星に決定しました。和名は定着していません。「エイサスSN彗星」は仮名です。

(追記・2017-08-29)和名は(半ば冗談で言っていた)アサシン彗星になりそうです。

2017O1_004-editPosi.jpg

  • 02.73UT m1=9.9, DC=3, dia=3' (20.3cmSCT 62x)

11日ぶり。カシオペヤ座の天の川がわかるぐらいの空。多少見やすくなったが、条件によるもので増光している気配はない。やや集光していて20cm100倍がもっとも見やすい。10等星に接近し、4時頃には反対側に移動していた。光度はその10.9等星(U4。10.4TJ)よりは明るく、10.1(U4。10.4TJ)とほぼ同じ。9.4(U4。9.3TJ)よりは暗い。9.9~10.1等ぐらい?淡いので、11等と言われても違和感がない。後で見たNGC772より淡く感じる。

2017O1_005-editPosi.jpg

  • 30.69UT m1=9.6, DC=3, dia=4' (20.3cmSCT 36x)
  • 30.70UT m1=[9.2 (5.0cmB 7x)

視野内に入れてもすぐには見つけられなかった。1ヶ月前からほとんど増光していない?ただ、目が慣れると見やすくなった。やや集光が目立ってきたように感じる。(恒星状の)核はない。淡く拡散したままだが、光度はちかくの9.7等星と同程度。9.2等よりは暗い?5cm7倍双眼鏡では見えず。9.2等星まで確認(1時50分)。

2017O1_006-editPosi.jpg

  • 25.78UT m1=10.0, DC=2, dia=3' (20.3cmSCT 62x)

約1ヶ月ぶり。近日点も過ぎてしまった。すぐには見つからず、少し別の場所をさがしていたことに気づく。見つけてもかなり淡かった。前回よりも暗い。20cm36倍ではなんとなく存在のみがわかる程度。62倍で小さくわずかに集光。光度はちかくの10.2等星に近い。9.4等星よりは暗い。