1911年に発見された歴史のある彗星で、過去には1951年の回帰でアウトバーストを起こし肉眼彗星になったこともあるそうです。
私が見たのは仮符号1992xとして呼ばれていた1993年の回帰と、四半世紀後の2017年の回帰の2回です(2018年現在)。
このうち、印象的だったのは1993年の回帰。近日点(q=1.2au)の頃にΔ=0.3auまで大接近して非常に好条件だったはずです。しかし、とにかく淡く拡散していて見るのが大変だった、という記憶しか残っていません。8センチ屈折だったので尚更です。最初のスケッチとして掲げた1993年1月のものの以前にも、1992年12月から5回も観測を試みましたが、いずれも暗すぎて観測には至らず。今回この記事を書くに当たりそれらのスケッチと改めて照合しましたが、やはり全部別物でした。
この回帰では近日点を過ぎても10等より明るくは見えず、暗いまま去ってしまいました。ただ、当時の光度目測は半分フィーリングで行っていたので、拡散して大きかったぶん、実際の光度はあと1~2等級高かった可能性はあります。実際、他の人の観測では8等台の報告もあったようです。
当時の観測から求めた光度式は、m1 = 9.1+5logΔ+34 log rでした。上記の事情もあり、標準等級は7~8等程度かも知れません。この彗星のk(log r の係数)はかなり高い(急増光する)ことで知られているので、式は大きく外れてはいないようです。
続く2001年の回帰は初夏の太陽の近くで観測のチャンスがありませんでした。光度も10~14等だったようです。2009年は検出(再観測)すらされず地上で誰一人観測出来ませんでした。
2017年の回帰は近日点通過の頃のΔが1.5au程度もあり、1993年の光度式だとピークは12.6等しかありません。非常に拡散してあまり期待していませんでしたが、辛うじて明け方の空低く、淡い姿を見ることができました。やはり拡散していて、数回観測したのみで終了しました。観測数が少なくlog rの係数を求めるには至りませんでしたが、H20=9等、H35=8等程度の標準等級が得られました。
次回2026年1月の回帰は好条件で、明け方の空高く見られるかも知れません。私の光度式でも9等級に達し、おそらくもっと明るく観測されることでしょう。