文献によっては「ハートリー」「ハートレイ」とも。正式名称に「第2」はつきません。近日点付近で地球軌道まで近づく典型的な木星族の彗星です。かつてはq=2auを超える軌道だったものが、1947年と1971年に木星に接近してq=1.0となって地球付近まで降り、1986年に発見されたようです。1985年の回帰までは観測条件が悪く、1991年の回帰がこの彗星として初めての好条件の回帰となったようです(参照)。
集光の弱さと、近日点前後での光度変化の非対称性が特徴です。コマの実直径は3回の回帰でほぼ同じで、0.002au程度でした。2010年の回帰では探査機が接近し、2つの塊がくっついたような核の姿が捉えられました。(2015-05-02記)
2010年の回帰
2010年10月20日に地球に0.12auまで接近した回帰です。この接近はかなり以前から何かの書籍で知っていたので、待ち望んだ回帰でした。地球に接近したので、双眼鏡でも大きなコマが見えましたが、拡散していたため望遠鏡との光度の見積もりにかなりの差が出てしまいました。コマ視直径は20'にも達しましたが、実直径は過去の回帰と同じ0.002au程度だったようです。肉眼では視力の限りを尽くしてなんとか1回見ることが出来ました。短周期彗星を肉眼で見る機会はそうそう無いでしょう。
光度は過去2回同様「近日点前は急激に増光し、通過後にピークを迎えると緩やかに減光」するパターンでしたが、以前よりは近日点の前後での光度変化の差が小さくなって、対称的な変化に近づいているようにも見えます。観測数が少ないので確証はありませんが。
1997年の回帰
1991年同様、集光の弱い姿が特徴でした。観測数が少なく、かつ光度変化幅が小さいため精度は良くありませんが、光度は1991年と同様近日点前急激に増光し、通過後にピークを迎えてから緩やかに減光したようです。
1991年の回帰
初めての好条件での回帰でした。降りてきたばかりの新鮮な彗星だったため、どこまで明るく見える不安でしたが、ほぼ予想通りに増光し、集光の弱い大きなコマが特徴でした。新発見の周期彗星の観測は、当時の私にとってはほとんど初めてだったので非常に印象深かったことを覚えています。
光度をグラフ用紙にプロットすると、近日点前後で光度が非対称になっており、近日点後の方が光度が明るくなっていました。単純な光度式では表現出来ず、当時いろいろ考えた結果、標準等級(H)自体を近日点通過からの日数で(1次式で)スライドさせると1つの光度式ですべての観測をうまくフィットさせることができました(式自体は忘れてしまいましたが)。
近日点前の観測はm1 = 9.7+5logΔ+27log r、近日点後はm1 = 8.8+5logΔ+9.4log r。光度ピークをずらした場合は、m1 = 9.08+5logΔ+15.36 log r(t-20)で、近日点通過20日後にピークを迎える光度式が求まりました。近日点前は急激に増光し、通過後にピークを迎えると緩やかに減光したようです。