174P/(60558) Echeclus エケクルス彗星

大バーストを起こす遠方の遷移天体

2000年に発見され2004年に60558番小惑星として登録されたのが、このエケクルスエチェクラス)です。ところが、2005年に大規模なアウトバーストを起こし、それまでの20等級から14等級まで明るくなったため、彗星としても改めて登録され、現在では174P/エケクルス彗星とも呼ばれています。

エケクルス彗星はその後も数回のアウトバーストを起こし、2017年末には過去最大の13等級まで増光しました。この時は、12月9日に増光のニュースを得て、幸いその日のうちに見ることができました。20cmでは極限等級に近い13等級でしたが、バースト直後の恒星状だったことが幸いして確認できました。ただ、その後は急速に拡散したため1週間ほどで見えなくなってしまいました。個人的には、1995年のヘール・ボップ彗星(r=6.38)を上回り、日心距離では最遠の彗星観測となりました。

2015年にq=5.8auの近日点を通過していますが、2005年のバーストは遠日点と大差ない日心距離で起きているため、今後も目が離せません。

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観測記録一覧

0174P(60558)_001-editPosi-C5px-16-1.0.jpg

  • 09.58UT m1=13.7, DC=8, dia=<0.5' (20.3cmSCT 206x)

バーストを起こしているとの情報で向けてみた。確かに14等程度の微星状の彗星がわかる。20cm206倍~317倍で見える。意識を集中しないと見失う。(微星と見比べると)光点ではなく、わずかに拡散しているようだ。光度は近くの14.2等星よりは明るく、13.6等星なみ。250倍で最も見やすい。彗星のごく近くにも微星がある気がする。高倍率では視野に星がなくなってしまうため、焦点が定めにくい。

(追記)木星軌道と土星軌道の中間にいる彗星・小惑星遷移天体で、小惑星番号が振られた後に彗星活動が確認され、周期彗星番号も割り振られた二重登録天体です。過去にも数回14等級までバーストを起こしたことがありますが、今回は過去最大規模のようです。

私が今まで観測した彗星の中では、1995年10月のC/1995 O1ヘール・ボップ彗星r=6.2au(サイト未掲載)を上回る最遠の彗星となりました。

0174P(60558)_002-editPosi-C10px-0-0.5-n12g.jpg

  • 11.59UT m1=13.8, DC=8, dia=0.5' (20.3cmSCT 250x)

おとといに続いての観測。大きくなっているかと思ったが、それ以前にシーイングが悪く、彗星自体がかすか。シーイング具合を表すため、あえて(20cm)317倍でスケッチ。206~500倍で見える。13.6等星は明瞭に見え、14.2等星がかすかに分かる。206~250倍でやや彗星状(円盤状?)

(補足)眼視で見た雰囲気を表すため、画像をノイズ混じりに加工してみました。

0174P(60558)_004-editPosi-n15-bl-15-0.8.jpg

  • 17.58UT m1=13.6:, DC=5, dia=0.7' (20.3cmSCT 206x)

透明度が良く恒星に接近して見やすいかと期待したが、それに反して見にくい。かなり厳しい。20cm206倍で、意識を集中してやっと光斑がわかる。集光は弱くなりコマが拡散してきている。倍率は低い方が良い。500倍ではほとんど無理。167倍でかすか。拡散してきてこれが最終になるかも。