ジャコビニ・ツィンナー(ツイナー/ジンナーとも)彗星は、典型的な木星族の周期彗星で、彗星よりは関連流星群のジャコビニ流星群(10月りゅう座流星群)の方が圧倒的に有名でしょう。
この彗星の存在は、自分が小学生だった頃にハレー彗星が接近する少し前、何らかの情報源(たぶん天文雑誌や図鑑等)を元に、1985年に回帰することや探査機が接近することも知っていました。ただ、当時は5センチ双眼鏡(未だに現役!)しか持っていなかったため、8等程度と予報されていたこの彗星を見ることはできず、指をくわえるしかありませんでした。しかもこの時はジャコビニ流星群の大出現も見のがして、これも長らく心残りでした。
その後の回帰は地球からの条件が悪く見ることはできず、この彗星をいつか見てみたい!という願いは13年後の1998年10月になってようやく叶えられました。しかも(記憶にはありませんでしたが、スケッチを見返して)、彗星の初観測と流星群の出現は同じ日に起きたようです。この日は小惑星による恒星食もあって忙しい夜となりました。流星群の方は、まるで花火や雪片のように痕を残しながらゆっくりと舞う流れ星が特徴的で、今でもよく覚えています。
1998年の回帰では、8センチ屈折で9月16日以降2度の失敗ののち、10月8日にようやく小さい姿をとらえることができました。当初は集光が強い小さい姿だったのが、次第に大きくなり拡散していったようです。私が観測した限りでは光度式は近日点の前後で対称的でした。しかしより多くの観測からは近日点前の方が明るかったらしく、これは集光度の変化と関係しているのかもしれません。
続く2005年の回帰は明け方にあり、2012年の回帰は暗かったためか、観測はしていません。
そして2018年。この年の回帰は地球に0.4auまで接近するため期待されていました。夏の天候の良くない時期でしたが、北天で順調に7等まで増光しました。小彗星ではありますが、眼視でも尾の伸びる姿も楽しめました。9月の近日点後は急激に減光、冬の天の川に沿って急速に南下して視界から去っていきました。
光度式を求めてみると、私だけからの観測でも、COBS全体から求めた式でも、近日点通過前(12日前)に光度のピークを迎えていることがわかります。
将来は、2031年、2051年、2058年などが好条件なようですが、近日点距離は今よりやや大きくなるようです。