144P/Kushida 串田彗星

概要。

1994年に発見された短周期彗星です。発見の時は遅れて情報を知って見逃してしまったので、2009年の回帰が初めての観測になりました。

2009年の回帰では、なかなか明るくなってくれず本当に見られるのか心配でしたが、2008年11月に入って急増光しているとの情報が入って、ようやく12等以下の微光彗星として見いだせました。急ピッチで増光したものの、非常に拡散していて光度ほどの明るさは感じませんでした。冬の透明度がなければ観測自体が難しかったかも知れません。光度式は、m1 = 2.3+5logΔ+52 log という極めて急激な増減光をするタイプの式が求められましたが、系統的なズレが見られ、光度の極大を近日点24日後にずらしたm1 = 3.4+5logΔ+43 log r(t-24)の方が良く一致しています。

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観測記録一覧

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昨日月明かりのため観測に失敗したのでそのリベンジ。

彗星近くに微星が点在するため紛らわしいが、77倍以上のどの倍率でも何とか見える。拡散して小さい。光度は近くにある13等の等光重星の合成等級か、それ以上。

20センチ100倍で、m1=12.5、dia=1'、DC=3~4

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前回の観測から、それほど明るくなっているわけではなさそう。ただ、少しだけ見やすくはなった。倍率は高い方が良いが100倍でも分かる。やや拡散気味。

これ以上の大幅な増光は期待できないか?

20cm133倍で、光度は12.2~12.3等級ぐらい。DC=4、dia=1'

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一気に大きくなったが、集光度は逆に下がった気がする。拡散したため、62倍でも見える。光度は100倍の方が高く感じ、62倍では11等級程度。

20cm100倍で、m1=10.5等級、DC=4、dia=2'

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拡散しつつ、やや明るさも増している感じ。62倍ぐらいでちょうど良くなった。ただ、集光が弱いため見やすいとは言えない。

20cm62倍で、m1=10.5、DC=3、dia=3'

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実に久しぶりに8cm屈折で観測してみた。彗星は、意外にも23倍で見やすい。非常に拡散してはいるが、存在ははっきりしている。コマが大きい。彗星の近くに、同じ光度の10等星がある。

8cm46倍で、m1=10.0、DC=2~3、dia=4'

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曇ったり、微星が近くにあったりと、なかなか好条件が巡ってこなかったので意外に久々の観測になってしまった。

かなり拡散していて、62倍でもかすかだが、100倍でも意外によく見える。集光はほとんどないが、コマは大きい。そのコマには12等星が接している。5センチ双眼鏡ではわからない。

20センチ62倍で、m1=9.8、DC=2、dia=5'

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1ヶ月上経ってもうムリかと思ったが、星図の位置と若干違う場所に雲状のものがあり、彗星の位置を今の時刻で再計算して確認したら、確かに144Pであった。もう痕跡しかないが、それでも62倍で集光している様子がわかる。光度は11等級程度。

20cm62倍で、m1=10.8、DC=1、dia=4'

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  • 0144P-2024_002.jpg
  • 12.53UT m1=10.5, DC=3, dia=3' (20.3cmシュミットカセグレン 100倍)

(20cmで)ほとんどわからなかったが、口径の半分が屋根に隠れているようだったので、三脚を傾けてみたら、淡いがはっきりわかるようになった。100倍で非常に拡散した大きいコマ。集光は弱い。167倍で小さい中央集光のみ。62倍でも淡いがはっきりわかる。