38P/ステファン・オテルマ彗星は、1867年にフランスのコッジア(Jérôme Eugène Coggia)が未知の銀河として発見、ステファン(Édouard Jean-Marie Stephan)は彗星として独立発見しました。約40年の周期が計算されましたが、次回の回帰には検出されず、もう1周した1942年にフィンランドのオテルマ(Liisi Oterma)が再発見しました。現在では第1発見者のコッジアではなく、ステファン・オテルマの連名で呼ばれる彗星となっています。
1925年版「理科年表」では「1867Ⅰ(コッジア彗星)」として記載されていますが、再発見を報じる1943年発行「天界」では「ステファン星」とされているので、当時は学者の間で統一的な名称が定まっていなかったのかもしれません。なお、この時の天界に記載されている"天王星族の彗星として2回以上の再歸が發見されたものは,ボン・コジャ星1818Ⅰと"の「ポン・コッジア彗星」は、のちの「27P/クロンメリン彗星」です。
前回の近日点通過は1980年で、私がまだ小学生だったので見ることはできませんでした。図鑑などで、かに星雲M1に接近するこの彗星の写真などを見ながら、いつか見られるかもしれないこの彗星に思いを馳せることもありました。
そしてついに訪れた2018年。この回帰も条件が良く、夜半の空高く9等級の明るさで見られる予報です。同じ時期に46P/ウィルタネン彗星も大接近する予報でしたが、個人的には38Pの方を期待していました。
初観測は9月。12等の微光でかろうじて光斑として確認できる程度でした。これからもっと増光して見やすくなる・・・と期待しましたが、結果的には10等止まりの小ぶりな姿に終わりました。それでも、条件の良いときには短い尾が伸びる様子は楽しめました。
最終観測は1月末。2月以降も光度的には見られたはずですが、天候の悪い日が多く、「まだ見られる」と思って観測をサボっていた間に視界から去ってしまい、尻切れトンボのような形で最終観測を迎えてしまったのは少々心残りです。
予報より光度は1等ほど暗めでしたが、COBS報告値でもほぼ同じ傾向でした。私のみの観測値とCOBS全体の値から導いた光度式は、数値上では大きく違いますが、グラフに描画してみるとほぼ同じです。
次回の回帰は2056年8月。今回ほど条件は良くなく、近日点通過後に明け方の空低く11等で見られる程度かもしれません。5年後にはハレー彗星も控えているので、病気と事故に気をつけながら長生きしたいと思います。