C/2012 X1 (LINEAR) リニア彗星

まとめ。

前年に発見されていた彗星のバースト。ちょうど太陽の向こう側にいた時にバーストを起こし、東の空に見え始めた頃に増光が発見された。最初ネットに上がってきた画像を見て、英文を斜め読みしていたこともあって「なぜ今ごろホームズ彗星のバースト画像を上げてくるのだろう?」と素で思ったほど、ホームズ彗星によく似ていた。バーストする彗星は大体こんな感じのクラゲのように見えるのかも知れない。2013年秋当時は、接近しつつあるアイソン彗星とラブジョイ彗星、そして久しぶりの好条件のエンケ彗星が明け方の空に見えていて、ただでさえ忙しいのに!とまさにうれしい悲鳴の中でのバーストであった。

当初は日に日に拡散してゆく姿を見てこれまでかと思っていたが、次第に中央集光が強まり、結局普通の彗星としての性格が強まっていった。近日点通過は2014年2月下旬に1.6auであった。このバーストがきっかけで彗星表面が活性化したのかも知れない。

光度は近日点通過後もほぼ同じ水準を維持していたが、高度が次第に東の空低くなり、しかも天候の悪化する夏場に差し掛かってしまったので、まだ9等級を維持していた5月の観測が最後になってしまった。それでも半年間も同じような光度で見え続けていたことになる。

光度は、バーストを起こした直後は当然高いが、観測の取捨選択を試行錯誤すると、2013年12月半ば頃以降のみの光度を選択するとlog rの係数が10前後で安定するようになる(すべての観測を選択すると係数はマイナスなどの異常な値を取る)ので、この頃以降、バーストの影響が収まり通常の彗星活動が卓越しだしたと思われる。確かに、過去の観測を振り返ると12月半ば頃から中央集光が強まっている。

2013年12月27日以降の光度式は m1 = 4.8 + 5 logΔ + 11.3 log r

2012X1mag.jpg

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観測記録一覧

この日は4彗星を観測したが、スケッチはこのリニア彗星だけ。

バーストを起こし8等級に達したこの彗星をようやく観測することができた。薄明が迫り、低空でなおかつ透明度が悪い中、小口径での観測。日にちが経ち、既に拡散しているようだ。

2012X1_001.png

C/2012 X1
IIIYYYYMnL YYYY MM DD.DD eM/mm.m:r AAA.ATF/xxxx /dd.ddnDC /t.ttmANG ICQ XX*OBSxx
   2012X1  2013 10 30.83 &B  8.5:HV 11.0M 9  40   5    3            ICQ XXxAIKxx

非常に淡い。望遠鏡を向けたものの見えず、一旦はあきらめようと思ったが、ちらっと微かに小さい光斑が見えた。ごく小さい集光はあるようだが、とにかく淡い。このまま拡散しそう。高度が上がれば20センチで見えるかもしれない。

2012X1_002.png

C/2012 X1
IIIYYYYMnL YYYY MM DD.DD eM/mm.m:r AAA.ATF/xxxx /dd.ddnDC /t.ttmANG ICQ XX*OBSxx
   2012X1  2013 11 04.83 &M  8.5:HV 11.0M 9  40   5    2            ICQ XXxAIKxx

久しぶりで、今まで11センチでの観測だったので、20センチでは初。あまり期待していなかったが、すぐに見つかりC/2013 V3のような拡散した見え方。弱い中央集光がある。コマは大きいが薄明が迫って外端はよくわからない。

2P/エンケ彗星は、残念ながら木陰になって確実な姿としては見えなかった。

2012X1_003.png 15.837UT m1=9.2, DC=2, dia=4' (20.3T10 x62)

コマは大きく、淡く拡散しているが、核付近はよく、鋭く集光している。明るい。尾はあるようにも思えるが不明。

2012X1_007.png

C/2012 X1 ( LINEAR )
IIIYYYYMnL YYYY MM DD.DD eM/mm.m:r AAA.ATF/xxxx /dd.ddnDC /t.ttmANG ICQ XX*OBSxx
   2012X1  2013 12 27.84 xB  9.5 TJ 20.3T10  62   3    4            ICQ XX AIKxx

100倍(視野31分)でのスケッチ。数日前に比べると、明らかに明るくなっているように思える。コマの拡がりが大きい。コマの中には11等星が内包されており、短時間でも核との相対位置の変化がわかる。尾は不明。光度は8.8等としたが、内包分の11等星を補正した。

κOphの輝きがまぶしく、62倍では同一視野に入って彗星が見にくいほど。

2012X1_009.png10.840UT m1=8.9, DC=4-5, dia=3' (20.3T10 x62)

C/2012 X1 ( LINEAR )
IIIYYYYMnL YYYY MM DD.DD eM/mm.m:r AAA.ATF/xxxx /dd.ddnDC /t.ttmANG ICQ XX*OBSxx
   2012X1  2014 01 10.84 xB  8.9 TJ 20.3T10  62   3    4/ ?         ICQ XX AIKxx

前回は薄明後の観測だったので、今朝はこちらを(ラヴジョイ彗星より)先にした。

非常によく輝いている。前回が薄明中だったからなおさら感じる。集光が強く見やすい。コマは明るい部分は1分角程度だが、その外にかなり広がっているよう。尾もあるようだが、自信はない。

2012X1_012.png

7.823UT m1=8.3, DC=5-6, dia=3.5' (20.3T10 x62)

この彗星も1ヶ月ぶりの観測。直前に見た(星図を用意しなかったのでスケッチ・測光はせず)同じ高度の2012 K1よりは暗い。以前より淡くなって2014 E2ジャック彗星に近い印象。集光はある。近くの8.67等星より暗く9.0等星とほぼ同じ。

2012X1_015.png