1965年11月1日、中国・紫金山天文台の张钰哲により発見された周期彗星です。発見者名でなく天文台名が付けられたのは、当時の中国が文化大革命直前で、アメリカの天文電報中央局に発見者名などの詳細な情報が伝わってこなかった事情が挙げられます。今でこそ天文台名の彗星は珍しくはありませんが、(事情の違いこそあれ)これが天文台名が付いた初めての彗星だと思われます。同月11日には別の周期彗星・60P/紫金山第2彗星も発見され、第1彗星と同じような軌道で公転しています。
私がこの彗星を初めて見たのは2004年の回帰。近日点を衝の位置で迎える絶好の条件でしたが、極めて淡く、とにかく見るのが大変だった記憶があります。20cm望遠鏡を購入した直後で、それ以下の小口径だったらまず見えなかったでしょう。春の銀河の間を縫って行って写真映えしたようで、画像検索するとたくさんヒットします。2枚目のスケッチでも銀河が入り込んでいます。
2017年の回帰はかならずしも好条件ではありませんが、明け方の東の空で比較的明るく見ることができました。拡散していたため非常に淡い姿でしたが、同時に見えていた24P/ショーマス彗星よりは見やすい印象でした。私の6個の観測から無理やり計算するとk=55の極めて変化の激しい光度式が得られますが、COBSの報告値からも、近日点前の増光が極めて急であることがわかります。
次回の近日点通過は2023年12月で、(北半球で)深夜の空高く見ることができます。計算によれば、木星の摂動により近日点距離が0.1au以上小さくなるため(過去数世紀で最短)、未知の明るさの変化が起きるかも知れません。近日点前の光度式を適用すると、計算上は肉眼彗星に達します。現実にはそこまで明るくならないでしょうが、この彗星としては過去最大の明るさになりそうです(5~8等?)。