本来なら特筆することもない微光の短周期彗星ですが、2016年の回帰ではたまたま地球に大接近するために明るくなると予報されていました。天文年鑑2016年版には、南天で0.04auまで接近し9等級まで明るくなるものの、北上して日本から見える頃には11等まで減光するだろうとの記述が。そのため、一応期待はしつつも拡散して実際の観測は難しいだろうと思い、一度でも見えれば幸運という感じで構えていました。
ところが、3月に南天で見えだすと、南半球からは予報の10等を上回る観測報告が続々と寄せられ、近日点通過の3月15日を過ぎる頃には6等級をも上回り、肉眼での観測報告さえ寄せられるようになりました。
4月に入ると彗星は北上し、いよいよ日本でも射程に入ってきましたが、なかなか天候に恵まれず、満月すぎということもあって突如肉眼彗星が現れた!という感じには行かず、最初はかすかな小彗星のイメージでした。しかし北上して観測条件が向上すると、大きなコマの双眼鏡彗星として楽しむことができました。軌道面が黄道に近く、qが1auに近い短周期彗星だったため、地球と並走する形をとり、長らく地球と0.1au程度の接近した状態が続きました。これは百武彗星の最接近時よりも近い距離です。しばらく6等級前後の光度を保ち、その後は急減光してしまいました。
私の観測だけから光度式は求めにくく、H10=10.2、H20=9.7でしたが、COBSのデータベースでは光度のピークを近日点後40日に持ってくると暗い時期も含め、比較的良く光度を表現できます。標準等級がどの式でも10等前後なのは精度が良いわけではなく、単に近日点距離(=観測された時期)が1auに近いためです。
コマの実直径を調べてみると、3月初旬を原点として直線的に増大していることがわかります(CCD観測で0.003~4au/月の割合)もしかすると、この頃を境に彗星の活動が突如活性化したのかもしれません。
(蛇足)似たような番号の彗星が多いので、この252P/リニア彗星は「にこにー彗星」と覚えました。
252P/LINEAR (2016) m1 = 10.46+5logΔ+5.55 log r n=8 IIIYYYYMnL YYYY MM DD.DD eM/mm.m:r AAA.ATF/xxxx /dd.ddnDC /t.ttmANG ICQ XX*OBSxx 252 2016 03 30.80 xS 9.6:TJ 20.3T10 100 > 1.5 1/ AIKxx 252 2016 04 05.79 xB 7 :HV 20.3T10 36 17 1/ AIKxx 252 2016 04 05.77 xB 5.8 HV 5.0B 7 25 1 ICQ XX AIKxx 252 2016 04 07.78 xB 5.7 HK 5.0B 7 35 1 ICQ XX AIKxx 252 2016 04 11.77 xB 6.5 HV 5.0B 7 20 1 ICQ XX AIKxx 252 2016 04 11.78 xB 10 :TJ 20.3T10 62 + 3 1/ AIKxx 252 2016 04 17.77 xB 6.3 HV 5.0B 7 25 1 ICQ XX AIKxx 252 2016 04 29.63 xB 8.0 HV 20.3T10 36 7 1 AIKxx 252 2016 04 29.64 xM 7.6 HV 5.0B 7 15 1 ICQ XX AIKxx 252 2016 05 04.66 xB 8.0 TJ 5.0B 7 12 1 ICQ XX AIKxx 252 2016 05 04.69 xB 9.5:TJ 20.3T10 62 5 1 AIKxx 252 2016 05 11.72 xB 8.6 HV 20.3T10 36 8 1/ ICQ XX AIKxx 252 2016 05 11.73 x 8.5:HV 5.0B 7 10 AIKxx 252 2016 06 02.71 x [11 TJ 20.3T10 77 ! 2 ICQ XX AIKxx