バーナード第2周期彗星といえば、100年以上前に発見され、過去に出版された本にも周期128年の彗星として掲載されている、知る人ぞ知るマイナーだが有名な彗星である。ポンス・ガンバール彗星のまとめを書いた時に掲載されている本の写真を載せたが、そこにもちゃんとこの彗星は載っていた。1889III彗星。またはD/1889 M1で、予報による検出が出来ない(行方不明)彗星の扱いであった。
その彗星が2006 M3として再発見されたと聞いて黙ってはいられない。しかも周期119年。本当に戻ってきたことも驚きだし、それを偶然キャッチできたリニアすげぇ(バーナード・リニア彗星にならなくて良かったけど)。何としても観測したい。しかし、当初は17等級で本当に増光するのか若干の不安はあった。
そんな心配をよそに、発見1ヶ月を待たずに急増光。8等級までになった。7月に地球に0.3auまで接近したことも幸いしたようだ。とはいえ、一応8等級とはいわれているが実際には非常に拡散して簡単に見える代物ではなかった。スケッチを見るまでまったく忘れていたが、初観測に成功するまで2回見逃していたらしい。観測時の測光も10等級で、DC=1-2という淡さ。おそらく大口径双眼鏡の低倍率では非常に大きく拡がったコマが見えたのだろうが、条件が悪いと途端に見えないようだ。結局天候の悪さも手伝って2回しか見ることが出来なかった。夏の湿った空気の夜に望遠鏡を持ち出したことは覚えている。この淡さはポンス・ガンバール彗星を彷彿とさせるが、それ以上に厳しい。長周期彗星の特徴なのか?
2127年の人類には「明るいと思って油断するな!」と伝えておくことにしよう。