2014年暮れには2つの「ボリソフ彗星」が同時に見えていましたが、C/2014 Q3は北天でごく暗く見えていた方。2つのボリソフ彗星を同じ日に初観測しましたが、本当にごく淡く、北天の高い高度と冬の透明度、そして未明の光害の少ない空がなければまず無理だったでしょう。実際、夕方に一度試みた際は光害もあって見ることが出来ませんでした。海外の観測報告でも10等台の明るいものもあれば、13等の微光の報告もありました。非常に拡散していたため、測光のばらつきが大きかったようです。
興味深いのは、この彗星が周期約150年の短周期彗星だったことです。この拡散した見え方は、確かに同じような周期100年超のバーナード第2彗星やポンス・ガンバール彗星を彷彿させるものですし、急増光もこの周期性に由来しているのかも知れません。2160年頃には、やはり微光彗星として回帰するでしょう。彗星符号としてはP/2014 Q3が使用されても良い気がしますが、公式にはC/2014 Q3としてアナウンスされているようです。
20日間の3個の観測から得た標準等級はH10=9.4、H25=6.1、H50(MPC採用値)=0.6でした。
わずか3個の観測でしたが、ラヴジョイ彗星の影に隠れ観測が少なかったせいもあってか、なんと(畏れ多いことに)、天文ガイド中の「彗星ガイド」の記事では私(たち)の観測を元にした予報光度が使用されていました。