97P/Metcalf-Brewington メトカーフ・ブルーイントン彗星

観測記録一覧

1991年に発見された彗星が、後に、1906年の唯一の出現を最後に行方不明だったメトカーフ周期彗星(1906Ⅵ=97P/1906 V2)の再来だと分かったもの。当時の仮符号は1991a。

この時は、見ることが出来たのは1回だけだが、経緯はよく覚えている。スケッチのコメントにも書いているが、観測事情を補足すると、最初「赤旗」に掲載された記事で彗星発見を知り(写真付きで、周期彗星の再来かもしれない、という内容だったと思う)、詳しい軌道情報を知るために、月刊天文ガイドの編集部に直接電話で問い合わせて位置を教えていただいて、観測に至ったというもの。

当時はネット普及以前のため、最新の天文情報は、たまにマスコミに流れるもの以外は、ほぼ天文雑誌に限られていた。速報を知る手段自体はあったが、パソコン通信だったり天文電報(の情報を共有出来るサークルに所属するとか)だったりと、かなり限られていて自分は知る機会がなかった。

結局、(再)発見後1週間で見ることが出来たが、いつものように天文雑誌の掲載を待っていたら、1ヶ月以上経って見ること自体出来なかっただろう。ちなみに、この2日前の13日(小惑星ミルラによる2等星γGemの食の日)にも観測を試みたが(透明度が悪かったためか?)見つけることが出来ていない。

バースト後の発見だったようで、この後急速に減光していき、二度と観測する機会はなかった。しかもこの回帰の後、近日点距離が1.6auから2.6auに遠ざかり微光彗星となってしまったため、(メートル鏡でなければ)もう二度と眼視観測は出来ないかもしれない。

(2014年12月8日記載)


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m1=9.5: , DC=2 , dia=2' (8.0cm屈折F11 73x)

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今年最初の彗星。「赤旗」と「天ガ」編集部のおかげでかなり早い時期に観測することができた。期待していたよりはかなり光度が低い(急に減光しているのか?)。西にある星と同程度の光度。コマはまあまあの拡がり。集光度は弱い。核は分からなかったが、あると思われる。周辺に微星多い。この彗星は、18時にも一度見たので、移動が確認出来た。この1991a、もしかするとP/Comet Metcalf-Brewingtonになるかも(※80年ぶりの検出になる。'91/2/5記)

(付記)この時の高度は25.6°、スケッチから最微星光度=11.2等のようだ。集光度が5段階表記なのは10段階のDCを知らなかったから。3/5がDC=5に相当。コメント中「W(西)にある星」が不明だが、そのまま解釈すると11.04等の微星、「東」の間違いなら9.42等の星。最後の一文の意味だが、スケッチ用紙をよく見るとタイトルに「Comet Brewington」と書かれていたものを消しゴムで消した跡があった。(2014-12-08)