ブラッドフィールド彗星を思う。

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6月9日、オーストラリアの彗星ハンター・ウィリアム・ブラッドフィールド氏が亡くなられたとのこと。1972年から最後の発見となった2004年の間に18個の彗星をすべて眼視で発見されたそうで、そのうちの3個の彗星は私も見たことがあります。

一番思い出深いのは、C/1987 P1。というよりは旧仮符号1987s。(人生初彗星となった)ハレー彗星が1986年夏に去った後1年以上明るい彗星が現れない中、ようやく明るくなってくれた彗星で、私にとっては実質2番目に見た彗星です(一応その前にウィルソン彗星があったのですが、微光でほとんどわかりませんでした)。

当時中2だった私は、晴れれば必ず望遠鏡や双眼鏡を向けてスケッチし、その数は70枚以上にのぼりました。8センチの小望遠鏡でも尾が見え、覚えたての写真撮影もしました。同じ時期にはボレリー周期彗星やマックノート彗星(C/1987 U3=旧仮符号1987b1)も見えて、それまでの彗星不作がウソのように賑やかだったことを覚えています。

次いで見たのはC/1995 Q1。正直、この記事を書くまで忘れていましたが、彗星の新符号制度が始まって以来初めて見た彗星でした(122P/1995 S1や、C/1995 O1の観測はこの後)。減光する一方で9等級よりは明るくならなかったようです。

そしてC/2004 F4。天候に恵まれず1回しか見ることが出来ませんでしたが、薄明が強まる中、明け方の超低空にすっと尾を伸ばした姿は今でも鮮烈な記憶として残っています。今からちょうど10年前の春でした。せっかくなので、この時のスケッチを上げてみました。

残念ながら、一番話題に上がるC/1980 Y1は見たことはありません。

もう二度と「ブラッドフィールド彗星」を見ることは出来ないかというと、そうでもないようで、周期彗星も2つあります。ただ、短い周期のC/1989 A3でも回帰は2070年頃のようです。

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