2014年7月28日21時31分頃に予想されていた現象です。小惑星Erosと言えば、細長い形をした小型の小惑星として非常に有名。史上初めて探査機が(強制)着陸をした小惑星でもあり、その形状等は詳しく分かっています。従って、観測の目的は小惑星の形状を求めることよりも、対象の恒星との相対的な位置や、観測で得られた断面と探査結果との整合性にあるといえるでしょう。
とはいえ、長径30キロ程度の小型の小惑星でもあり、観測成功自体が困難です。それでも、1970年代に起きたこの星の同様の現象の観測結果により、細長い形状が明らかとなり「小惑星による恒星食の意義」が強く印象づけられました。また、今回は、天文年鑑2014によれば自宅の真上を掩蔽帯が通っているようです。今年一番期待した現象でした。
結果から言えば「通過」に終わりましたが、この日は2ヶ月ぶりの好天に恵まれ、観測としては満足いくものとなりました。各地の報告でも残念ながら「通過」報告が相次ぎ、やはり30キロ程度の小惑星の影を捉えること自体が困難だったようです。以下、JOIN報告文より一部抜粋。
今夜(28日)の小惑星(433)ErosによるTYC 6840-01293-1(10.4等)の食は通過でした。 この現象を天文年鑑2014で知って以来(歴史的経緯や、掩蔽帯が自宅を通っていることもあり) 今年一番期待していた現象だったので、通過は残念ですが、半年ぶりに成立した観測が行えて満足です。 約2ヶ月ぶりの透明度の良い星空に恵まれた中での観測で、対象星は明瞭に確認出来ました。 監視時間中、シンチレーション以上の明滅はありませんでした。 ■小惑星(433)ErosによるTYC 6840-01293-1(10.4等)の食 観測地と、観測地の経緯度と標高,測地系 埼玉県坂戸市内 観測開始と観測終了の時刻 2014年7月28日21時29分00秒~21時33分00秒(JST) 減光観測の有無 減光はなし。 時刻保持の方法 固定電話(コードレス)の117時報とストップウォッチによる。 観測方法・機材 ミード製 LX90-20 (20.3cm F10シュミットカセグレン経緯台・自動追尾) +SP9.7mm(206倍)による眼視観測 天候・観測条件 快晴(雲量0/10)、透明度3/5。[JOIN:15181] (433)Erosによる10等星の食(通過@坂戸)2014/07/28 21:47