小惑星(426)HippoによるTYC 2921-01190-1の食(減光)

2021年12月27日22時54分頃に起きた、小惑星(426)Hippo(12.9等)によるTYC 2921-01190-1(11.5等)の食です。

11等と明るそうではありませんが、天頂付近で起き、しかも当地での確率が98.7%という「ほぼ確実に起きる」現象のため期待して臨みました。

雲が南の方に広がって不安でしたが、透明度は良好。実のところ、望遠鏡のモータードライブが前日に壊れて(そのため朝の(936) Kunigundeによる食は観測失敗した)モチベーションが下がり気味でしたが、いざ起動させてみると無事に動き、今まで通りの自動追尾で監視することができました。

天頂付近の対象星を導入すると、かなり明るい。これなら難なく監視できそう。ただ、またドライブが壊れることも想定して監視時間を極力短くし、現象の1分前からスタートしました。

そして予報時刻。期待通りに減光。一瞬ではなくやや光度のふらつきを見せて減光しました。その間、小惑星の暗い明かりが見え続けています。結構長い時間暗くなっているなと思っていると、明るさが復活。その際も、一気に明るくなるのではなくやはりふらつきがありました。消えるときよりも明瞭に。星像は比較的安定していてシンチレーションの可能性は低そうです。

1年ぶりの観測で若干手際が悪くなりましたが、なんとかストップウオッチを時報に同期させて測定。その晩のうちにメール報告までこぎつけました。

  • 20211229085857.png
  • 20211229085718.png

ちなみに、この小惑星(426)Hippoによる食は、2012年にも観測しています。この時は雲が広がっていて、かろうじて雲間から減光を捉えたものの、ものの数秒もしないうちに雲に覆われて復光を見逃すというスリリングな現象だったので、忘れている現象も多い中、今でも鮮明に記憶しています。

20211227.jpeg

記事の続きでJOIN報告文(抜粋)

件名:[JOIN:22144] 小惑星(426)Hippoによる11等星の食(減光@坂戸)2021/12/28 0:03

もしかすると、約1年ぶりの報告かも知れません。
今夜(27日)の、小惑星(426)Hippoによる11等星TYC 2921-01190-1の食で眼視で減光を観測しました。

対象星は天頂付近にあるためか、20cmでは明るく見えました。
減光、復光とも、瞬間的ではないように感じ、とくに復光の際は一瞬増減光をした後復活したように見えました。
減光中は、完全には消えず小惑星の微光が残っていました。


■小惑星(426)Hippo(12.9等)による11等星TYC 2921-01190-1(11.5等)の食

観測地と、観測地の経緯度と標高
埼玉県坂戸市(Sakado,Saitama)
北緯 35度56分57.1秒 東経 139度26分50.2秒(35.94919,139.44726) 21.6m
  [経緯度・標高は電子国土Webによる]

観測開始と観測終了の時刻
2021年12月27日22時54分00秒~56分00秒(JST)

減光観測の有無
  確実な減光を観測
  潜入 22時54分50.2秒±0.3秒(個人差0.6秒補正済み)
  出現 22時54分58.6秒±0.3秒(個人差0.6秒補正済み)

時刻保持の方法
  ストップウォッチによる。観測直後に固定電話(IPではない)の、NTTの117時報とのラップタイムの差を計測。
   
観測方法・機材
ミード製 LX90-20 (20.3cm F10シュミットカセグレン経緯台・自動追尾)
  +SP12mm+天頂ミラー(167倍・視野18分角)による眼視観測

天候・観測条件 透明度4/5、シーイング3/5、雲量2/10

  • 作成:
  • 最終更新: