小惑星(702)Alaudaによる11等星TYC 2914-00872-1の食(減光)

2020年11月17日3時58分頃に予想されていた、小惑星(702)Alaudaによる11等星TYC 2914-00872-1の食です。

この現象は、対象星は11等で決して明るくはありませんが、当地(埼玉)での確率がほぼ100%、減光等級や継続時間、高度は申し分なく年に何度もない好条件で起きるものでした。(結果的に観測できませんでしたが)小惑星の衛星による食も東北地方で起きると予想されていました。

幸い当日は快晴の星空に恵まれ、無事3時過ぎには起床して観測に臨むことが出来ました。20cmの最低倍率(62倍)ではやや暗めだったので、133倍まで拡大して監視開始。予報時刻である3時58分50秒の時報が鳴り、「ほんとにあと数秒で消えるのか?」と僅かな不安を抱えながら見続けました。

まもなく59分00秒の時報が鳴ろうかという頃、スッと星が暗くなりました。良かった、暗くなってくれたと安堵。今回は小惑星が12等の明るさのため、完全には消えません。頭の中で秒数を数え、10秒を過ぎた頃から「まだ戻らないのか、長い」と思いながら、さらに数秒。不意に明るさが戻った?ただ、期待したほどの明るさでないような。一瞬の迷いが生じながらストップウオッチのボタンを押しました。

暗くなる瞬間も、戻る瞬間も、一瞬ではなくわずかに時間がかかったように感じました。

ともかく、この現象では10点以上の観測が集まり、約200キロのほぼ円形の形状が浮かび上がってきたようです。続きでJOIN報告文の抜粋。

件名:[JOIN:20590] 小惑星(702)Alaudaによる11等星の食(減光@坂戸)2020/11/17 21:16

今朝(17日未明)の小惑星(702)Alaudaによる11等星TYC 2914-00872-1の食を眼視観測しました。

監視にはちょうど良い透明度の空で、寒すぎず高度も高く、
対象星の明るさも十分で、条件としては申し分ありませんでした。
確率が99.8%でしたので確信を持って観測に臨み、望み通りに減光してくれました。

減光中も小惑星の明るさが残り、隣の微光星並の明るさで、復光までの17秒が長く感じられました。
ただ、復光が思ったほどの明るさではなかったので、一瞬の迷いが生じました。
個人差は減光時0.5秒、復光時0.6秒となっているのはそのためです。

[JOIN:20583]とは逆に、減光時より復光時の方が時間がかかった気がしましたが、
前述の理由かもしれません。

■小惑星(702)Alauda(12.32等)による11等星TYC 2914-00872-1(11.01等)の食

観測地と、観測地の経緯度と標高
埼玉県坂戸市(Sakado,Saitama)

観測開始と観測終了の時刻
2020年11月17日3時57分00秒~4時01分00秒(JST)

減光観測の有無
  確実な減光を観測
  潜入 3時58分57.3秒±0.2秒(個人差0.5秒補正済み)
  出現 3時59分14.9秒±0.2秒(個人差0.6秒補正済み)

時刻保持の方法
  ストップウォッチによる。観測直後に固定電話(IPではない)の、NTTの117時報とのラップタイムの差を計測。
   ※別途、ストップウォッチの電子音と117時報(コードレス電話)の同時録音で、1秒単位の時刻を確認。

観測方法・機材
ミード製 LX90-20 (20.3cm F10シュミットカセグレン経緯台・自動追尾)
  +SP15mm+天頂プリズム(133倍・視野15分角)による眼視観測

天候・観測条件 透明度4/5、シーイング3/5、雲量0/10。気温11.9度、湿度58%。

以上。

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