水星探査機みおを見送る。

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みおは、JAXAが制作した水星磁気圏探査機で、ESAが担当した水星表面探査機「ベピ・コロンボ(BepiColombo)」と一体で2018年にフランス領ギアナから打ち上げられました。探査機を水星周回軌道に投入するためには大きなエネルギーが必要となるため、数回の惑星フライバイが行われます。そのうちの1回が今回(2020年4月10日)の地球フライバイでした。

「みお」の地球最接近の時刻は、日本では昼間でしたが、日没以降13~15等で見られるかもしれないと予報されていたため、ダメ元で見てみることにしました。13等星なら、20cmでギリギリ見える明るさです。見られれば、私にとっては初めての人工天体フライバイです。事前に、Heavens-Aboveから得た予報位置を、プリントアウトした星図に書き込んで用意しました。

幸いにも、当日は透明度の良い冬晴れ。満月の月の出前にわずかな暗夜もあります。望遠鏡を設置し、まずはNGC3047の位置を手がかりに、19時40分の位置に向けてみました。20cm62倍では11等星が限界なので、167倍に上げて視野に見えている星と星図の星を照らし合わせ。すると、ほどなく星図にない微光星を発見。こんなにあっさり見つかるものか?と思いながら、少し眺めていると、確かに移動しています!意外と明るい。光害の残る夕空では、20cmで13等星はかなり厳しいので、それよりは明るいはずです。しばらくは、微光星に接近する様子を眺めつつ、他の星との光度を比較しました。

20200410.jpeg 上下反転で星図に位置を書き込み。

後で星図の恒星と比較すると、「みお」の光度はだいたい12等級前半(12.4等程度)だったようです。この見え方ならスケッチもいけそうだと思い、20時15分ごろの通過を目標にあらかじめ星を描いて迎え撃つことにしました。

「みお」は微光かつ移動量が望遠鏡の視野より大きいので、スケッチの間は一時的に見失うことになりましたが、幸い20時10分にスケッチの端の位置にやってきた「みお」を再捕捉できました。秒単位で位置が変わり、いちいち時計を見る時間もないので、携帯で117に電話して時報を鳴らしながら位置を書き込んでいきました。

2020-04-10_mio.jpg 目分量なので、間隔にばらつきが出てしまいました。

数分の間に望遠鏡の視野内を横切り、20時20分過ぎには視野の端に達したので、ここで見送り終了。無事に「みおをみおくる」ミッションを達成できました。「みお」達は5年後の2025年には水星に到達し、元気な声を聞かせてくれることでしょう。

月が昇るまでの残りの時間は水星ではなく、彗星のために使いました。

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