1月19~20日(金~土)に、和歌山県すさみ町で開催された「星の広場50周年記念 カノープスを見よう会2018」に参加してきました。「星の広場」とは、1968年に誕生した彗星観測者の同好会で、発見情報のいち早い告知や、観測者同士の情報交換などで重要な役割を果たしてきました。インターネット普及以前はハガキなど郵送での情報伝達が主でしたが、今はML(メーリングリスト)での情報交換が主となっています。
会場のある場所は新幹線・特急を乗り継いでも6時間以上・2万円ほどかかるため、距離だけでなく気も遠くなりそうでしたが、幸い南紀白浜空港が近くにあり、航空運賃も早期割なら鉄道並みで済むため、(1ヶ月前に)参加表明してすぐにチケットを予約しました。
そして当日の朝。7時25分発の飛行機に確実に間に合うためには最寄り駅の始発ではギリギリです。そのため30分早く始発が出る別の駅から乗り込み、無事飛行機に搭乗できました。
定刻通りに南紀白浜空港に到着。朝の8時半です。開催は16時からなので、本来ならこんな早く来る必要はありません。それでも早起きしたのは、実はパンダを見に行くという裏メニューがあったからでした。が、本題からは外れるので、内容はこの記事の続きにて。
パンダとペンギンを見たあと、白浜駅から13時過ぎの電車に乗って周参見駅に到着。この電車を逃すと次は2時間後という恐ろしいダイヤでした。
駅から会場のホテル・ベルヴェデーレまでは歩けそうな距離でしたが、電話でホテルに送迎を頼みました。高台にあったので、車を頼んで正解でした(ホテルの全景の写真は撮り忘れ)。
いよいよ会場の受付へ。出席者は発足時から参加されている60代以上が大半で、私より1世代先輩の方々です。。一方、私は1997年頃からの中途参加。「星の広場」の例会の活動が関西中心だったこともあり、メンバーの方とお会いするのは初めて。ここで、事務局で長年お世話になってきた鷲さんと初めてお会いできました。また、同じ埼玉で私と同じく眼視観測中心に活動されている秩父の橋本さんとも初対面。開会までの間しばらくお話することが出来ました。1本遅い電車に乗って開会に遅刻して来るスケジュールも考えていましたが、早い方で来て正解でした。
多目的大ホールで開会式。会長の秋田勲さんによる挨拶、初代会長の加茂昭さんによるスピーチや、初期の会を支えた会員の方々によるお話が続きます。国立天文台の渡部潤一さんからのメッセージも。今の私よりも若い(当時20代前後の)方たちが、日本のアマチュア彗星界の基礎を作ってこられた一方で、一体自分は20代に何をしてきたんだろう・・と思わずにはいられませんでした。。。
休憩中には、私が観測報告等でお世話になっている中野主一さんに、初めて直接ご挨拶をすることができました(私がMLで報告した観測の一部を、天文ガイド等の記事で取り上げてくださっています)。また、なんと加茂さんから、わざわざお声をかけてくださいました。このブログもご存知で、私について検索までされていたそうで(これは2日目にうかがいました)、なんとも恐縮です。。
全体会の後は宴会。自己紹介とスライド発表。自分の自己紹介は満足にしゃべれませんでした(よくあること)。ここで、あの藤井旭さんに「これのおかげでハレー彗星見たんです!」とばかりにガイドブックをお見せしたところ、なんとイラスト入りサインをいただいてしまいました。小学生の時、教室にチロのイラスト入りの著書が置いてあったことを時折思い出しますが、まさか同じイラストが目の前で描かれる日が来るとは思ってもいませんでした。。。
宴会の後は、星見と二次会。ホテルの駐車場で、津村光則さん所有の50cmドブソニアンによる星雲観望会。特にバラ星雲が、存在のみならずM42のように入り乱れる暗黒部分(グロビュール)までよく見えることには感動しました。50cmならではの眺めですが、これもOⅢフィルターがないとかすかにしか見られないそうです。
肉眼で見る星空も見事で、目が慣れると天頂にある冬の天の川の明るさに圧倒されます。自宅で見る夏の天の川以上です。恒星も迫力があり、まるで1等星が全天に散りばめられてるよう。ここ、和歌山県すさみ町付近は本州で最も光害の少ない場所で、冬の寒さも厳しくなく、ここに集まる天文ファンも多いそうです(この日も数組いました)。さらに驚いた事には、この日の透明度はあまり良くないとか。確かにカノープスは3等星ぐらいでしたが、そんなことより高度が4度もあって楽に見えることにも驚き。本州の最南端・潮岬はこの近くです。
ここで一つ確かめたかったのが、「バラ星雲が肉眼で見えるか?」という疑問でした。結果から言うと、「よくわからない」。というのも、バラ星雲に重なる天の川が明るすぎて、星雲との区別がつかなかったからです。持参した3cm双眼鏡で見ても、自宅のバラ星雲以上には見えず、まさかの「天の川光害」を体感しました。
真っ暗だったので、この観望会の写真は撮ってません。この暗がりの中、集まった方々が談笑したりはしゃいだりする雰囲気が、オフ会などで自分と同世代(以下)の人たちが集まっているかのような錯覚をおぼえました(いくつになってもこうありたいものです)。
星見の後は(すでに始まっている)二次会へ。お酒やおつまみを持ち寄って結局24時ごろまで盛り上がりました。写真は撮り忘れなので、じゃんけん大会の1回戦で獲得したNASAカレンダーと天文台手ぬぐいを。宇宙飛行士最終選考まで残った国立天文台の蓮尾さんご提供の景品です。
二次会から自室に戻っても2時頃まで同室の方とお話を続けてしまいました(※わりと聞き役)。同室だったのは、今回スタッフとして寝ずに作業をされていた奥田さん、小惑星による恒星食も観測されている横川さん、彗星だけでなく皆既日食の観測もされている牛丸さんと、同じサークルで新彗星C/1992 W1を発見(!)されたこともある大下さんでした。今回の参加者では彗星を発見された方も多く、参加最年長の多胡昭彦さんも、彗星や新星を多数発見されています(ご存知かと思いますが)。ついでにいうと自分が参加最年少だったみたいです。。
翌朝。朝食前に偶然日の出を目撃。確かに透明度はいまいち。日の出は埼玉より20分ぐらい遅く、西に来ていることを実感します。
朝食の後は全体会2日目。彗星に関する各種発表が行われて終会。「星の広場」は、かつてほどの活発な活動はありませんが、今後もMLでの情報交換を中心に、当面はゆるく活動を続けていくそうです。新規の入会も受け入れるそうなので(もちろん元会員の再入会も)、彗星観測に興味のある方はぜひ。以前は刊行物発行のため会費が必要でしたが、現在はメーリングリストでの情報交換が主なので会費はかかりません(実質的にMLへの登録になると思います)。参考までに、投稿されたMLの内容は「星の広場 HAL-News」 http://hoshinohiroba.cocolog-nifty.com/ に掲載されています。
終わりにはスタッフの方が徹夜で焼いてくださった記念写真入りCD-Rも受取り、散会。
帰りのバスが出るまでの短い時間に、津村さんによる50cmドブソニアンの組み立て実演を拝見しました。自転車の車輪やスプレー缶も利用した手作りで、「3分で組み立てられる」とのことでしたが、撮影した動画で確認したところ、実質2分でした。
以上で、「見よう会」はおしまい。これを書いている今も余韻が残るほどで一生忘れることのない思い出となりました。この模様は「天文ガイド」4月号に掲載されるそうです。 この模様の一部は「天文ガイド」2018年5月号に掲載されました。
この後、希望者によるオプショナルツアー(津村さん宅、加茂さん宅を巡る)も企画されていましたが、参加は遠慮しました。というのも、自分、ものすごく車に弱いので。。
ということで、この後は本州最南端の潮岬観光をし、大阪経由で帰宅しました(内容はこの記事の続きにて)。
アドベンチャーワールドでパンダを見てくる
南紀白浜空港に降り立ち、「カノープスを見よう会」の前に立ち寄ったのは、パンダが戯れるというアドベンチャーワールド。空港からバスで10分程度です。歩いても行けそうな距離でしたが、空港ではどこに向かって歩けばいいのかわからない状況なので(車道はあるが歩道が見当たらない)、素直にバスで目指すことにしました。乗客は数名。なお、バスに乗り遅れると歩くしかありません。
9時10分には会場に到着。開場までの1時間はパークガイド(パンフ)で、今日見て回る場所を物色して過ごしました。飲料の自販機はあってもコンビニはないので注意(空港からの道途中にはある)。開場10分前にはチケット売り場が開き、チケットを購入(4500円とお高め)。クレカも使えて助かりました。余計な荷物は入場前にコインロッカーへ預けられます。
開場後は、ただひたすら動物巡り。タイムリミットは(周参見方面の電車が来るまでの)3時間しかありません。目的のパンダは、エントランス近くの「パンダラブ」にまず3頭います。最初に見えるのは、屋外にいる桜浜。のどかな陽気のもと、私がいた3時間の間ずっと笹食ってました(かわいい)。耳を澄ますと、バリバリと笹を咀嚼する音が聞こえます(ただし園内放送の音楽が邪魔)。隣の屋内にも2頭いて、子パンダの結浜はずっと寝てました(かわいい)。
客も少なく、思う存分パンダを堪能できたので、お昼ごはんもパンダを遠くに見ながら、芝生のベンチでいただきました。このパンダラブの近くには本来のパンダであるレッサーパンダもいます。まるでぬいぐるみ(かわいい)なのに誰も見てないのはもったいない。
別の2頭は、パーク奥の「ブリーディングセンター」にいて、こちらも笹を食ったりゴロゴロしたり。何時間見てても見飽きません(かわいい)。見に来た甲斐がありました。
アドベンチャーワールドはペンギンの数・種類も充実していて、イワトビペンギンやジェンツーペンギン、エンペラー(コウテイ)ペンギンなど8種類ものペンギンを堪能することが出来ました(かわいい)。パンダを見に来たはずなのに、気がついたらペンギンを見ている時間の方が長かったようです。
サファリパークのバスに乗ると、肉食獣を間近で見ることが出来ます。
徒歩で行く場合。サファリちほーの入り口に恐ろしい注意書きが。
写真を上げていったらキリがないのでこの辺で。3時間の滞在でしたが4500円の元は取れたように思います。
潮岬探訪
「カノープスを見よう会」散会後には、本州最南端の潮岬を訪れてみました。周参見駅からは電車で約30分。串本駅で下車です。駅に着いて気づきましたが、100年前にトルコの船が座礁した際に、地元の漁民が救助した町だとか。数日前にたまたまテレビで見てこの話は知ってましたが、日本海の町だと勝手に思っていました(うちの家族も日本海だと思ってたらしいので、テレビの紹介の仕方が悪かった?)。駅前はスーパーやコンビニなどのお店が意外と(失礼)多く、住むには便利そうです。
潮岬までは、串本駅からバスが出ていますが、本数が少ないので注意。バスでは20分ほど揺られて到着。バスの観光客は私だけでした。
予想はしていましたが、展望台と休憩所以外、特に何もなし。ただ、海を見ながらのんびり出来ます。
展望台(300円で入れる)からの眺めは見事ですが、風が強く少々寒い。
せっかくなので最南端ギリギリまで行ってみました。本当の最南端はクレ崎なのだそうですが、そこは完全に岩場で、ライフジャケットを着ていないと危ないとかで断念。しかし一般人が立ち入れる最南端には到達できました。
歩いていける距離に灯台もあったので訪れてみました(入場料200円)。灯台は狭く、階段が急で、しかも最上段はハシゴになっているので、荷物を抱えたままだと登れません。あと太った人も。。でも上からの景色は、やはり見事です。
途中のバス停に「測候所跡前」があったので、今はどうなってるか灯台の職員に聞いてみたところ、測候所跡は更地になっていて、今は見るべきものは何もなく、離れた場所に代替のアメダスがあるのみとのこと。気象通報でおなじみだった測候所がなくなってしまったのは残念なことです。
夕方のバスで串本駅に戻り、特急で大阪へ。かるく大阪めぐりをした後は深夜バスで池袋へ戻り、翌朝無事帰宅しました。