2017年12月22日00時14分頃に予報されていた現象です。当地での掩蔽確率は75.9%で期待の持てる現象でした。今年の夏は例年になく悪天候で、「小惑星による恒星食」の観測自体が今年5月以来約半年ぶり。それだけに期待も高まります。
12月に入って連日の晴天で、この夜も天候の心配もなく観測に臨むことが出来ました。夜半にはC/2017 T1ハインズ彗星も昇ってくるので、ついでにこれも目標です。
天頂プリズムのために鏡像反転させた星図を元に、対象星を探し出すと、視野がにぎやかですぐにはわかりません。それらしい星が、思っていたよりも明るく、良い意味で期待を裏切られました。
iPhoneの録音をスタートし、コードレス電話で2分前から117時報を流しながら、楽な姿勢で観測体制に入ります。時報が14分ちょうどを告げ、いよいよ星が消えるはず・・・と思いきや、なかなか消えません。10秒を知らせるアナウンスが聞こえ、1、2、3秒と過ぎるも変化はありません。今回もまた掠ったかと一瞬諦めモードに入ったところで、すっと星が消えました。落ち着いてストップウォッチのボタンを押下。鋭利な瞬間的な消失ではなく、ほんの一瞬時間がかかって小さくなっていったような消え方です。
消えた星のある辺りをずっと凝視していると、わずかに明るさが残っています。これが13等の小惑星シカゴの明かりでしょう。程なく、明かりが戻りました。
久しぶりの減光観測で、私にとっては2016年5月以来1年半ぶりでした。
この小惑星は関東から関西にかけて、10ヶ所以上で減光が観測され、長軸200kmの細長い楕円形の形状が浮かび上がってきているようです。
(以下、記事の続きでJOIN-ML報告文を掲載。一部改変)
件名:[JOIN:17798] (334)Chicagoによる10等星の食(減光@坂戸) 2017/12/22 19:45
昨晩の小惑星(334)Chicagoによる10等星の食で、明瞭な減光を確認しました。 良好な透明度と天頂近い高度のおかげか、対象星は体感的には9等星かと思うほどの明るさで、 落ち着いて監視することが出来ました。 予報時刻よりやや遅れたため、117時報で14分10秒のアナウンスが入った際は、一瞬あきらめモードに入っていました。 減光は切り取ったように瞬時ではなく、わずかに時間がかかったように感じました (出現は覚えていません)。 減光中、途中で僅かに明かりが残っていることに気づきました。それが小惑星の明るさだったようです。 監視中は0.1秒程度の瞬間的な減光が2,3回ありましたが、シンチレーションによるものと思われます。 個人的には2016年5月のアキレス以来の減光で、久しぶりの充実した観測ができました。 ■小惑星(334)Chicago(13.3等)によるTYC 1336-00845-1(10.9等)の食 観測地と、観測地の経緯度と標高 埼玉県坂戸市内(Sakado,Saitama) 観測開始と観測終了の時刻 2017年12月22日00時12分00秒~00時16分00秒(JST) 減光観測の有無 潜入 00時14分15.6秒(±0.2秒)(個人差0.5秒補正済み) 出現 00時14分25.9秒(±0.2秒)(個人差0.4秒補正済み) ※ストップウォッチ上のラップタイム(継続時間)は10.180秒 時刻保持の方法 ストップウォッチによる。直後の固定電話(IPではない)のNTTの117時報とのラップタイムの差を計測。 別途、ストップウォッチの電子音と117時報(コードレス電話)の同時録音で、概略の時刻を確認。 観測方法・機材 ミード製 LX90-20 (20.3cm F10シュミットカセグレン経緯台・自動追尾) +PL20mm(100倍・視野31分角)+天頂プリズムによる眼視観測 天候・観測条件 透明度4/5、雲量0/10。月明なし。