2016年2月19日の3時半過ぎに起きた現象です。幅広い掩蔽帯が関東の真ん中を通り、誤差も小さくほぼ100%の確率(当地では99.6%)で起きると予報されていました。懸念材料は微光で減光幅が0.8等しかないことでした。
予報の10分前に望遠鏡を向けてみると、微光のほぼ等光の重星状で、恒星の方がわずかに明るいことはわかります。これなら減光しても見いだせそうです。すぐに5分前になり、あわててストップウォッチを走らせ、録音開始。アイピースの結露に注意しながら監視を始めました。視野には、小惑星と恒星が重なって少し明るくなった星と、そのすぐ上にほぼ等光(わずかに暗い)の11等星が見えます。
コードレス電話の117時報を聞きながら、1秒ごとに2つの星の明るさを見比べていきます。そして予報時刻の3時30分55秒が過ぎました。もう起こっても良いはず。・・・まだか、もう31分00秒を迎えてしまう。・・・と思っていると、不意に星が暗くなりました。「起きた!」というよりは、「やっと起きた」という感覚です。継続時間は9秒程度あるはずなので、しばらくは暗いはず・・・と思う間もなく、もう明るさが戻っていました。
どういうことかわからず、一瞬迷った末、ストップウォッチのボタンを押しました。その後、監視中は、今の減光はシンチレーションでまた減光するかもしれない、観測後も本当に減光を捉えたのか不安な気持ちが勝り、充実感はありませんでした。
それでも一応時刻は押さえたので、すぐに自室に戻り観測時刻を整約。減光終了時の個人差(反応時間)は1.2~1.5秒、場合によっては2秒程度ありそうでした。ストップウォッチ上の継続時間は1.823秒でしたが、実際には1秒未満でしょう。
この後、望遠鏡のあるところに戻って木星を見たところ、意外とシンチレーションが悪く、C/2014 S2パンスターズ彗星も9.0等ほどで特に変化もなかったので、これ以上の観測はせず早々に撤収しました。
以下はJOIN-mlへの報告文より抜粋して掲載。
今朝の小惑星(344)Desiderataによる2UCAC 42584417(12.4等)の食は、 不確実ながらもごく短時間の減光を確認しました。 予報時刻の10~5分前までは、小惑星と恒星が重星状で、 わずかに恒星の方が明るく見えました。 また、視野内で対象星のすぐ上には似た明るさの恒星があり、これと見比べました。 減光自体ははっきりと認められましたが、すぐに元の明るさに戻ってしまい (予報では掩蔽帯の中心で10秒近く継続すると思っていたので) ストップウォッチを押すまでに少し迷いが生じ、遅れてしまいました。 シンチレーションによる明滅の可能性もありますが、 監視時間中、対象星の明るさがこの時以外に変化することはありませんでした。 個人差(反応時間)と誤差はその点を考慮した上で推定しています。特に終了時刻は不正確です。 継続時間は1秒より短い可能性があります。 観測地と、観測地の経緯度と標高 埼玉県坂戸市内 東経139°26' 50.18"、北緯35°56' 57.13"、標高21.6m [経緯度・標高は国土地理院地図閲覧サービス(ウオッちず)による] 観測開始と観測終了の時刻 2016年2月19日3時28分00秒~3時33分00秒(JST) 減光観測の有無 減光あり(確度3/5) 減光開始 3時30分58.6秒(±0.3秒) 減光終了 3時30分59.8秒(±1秒) 反応時間として開始に0.7秒、終了に1.3秒を補正済み。 時刻保持の方法 固定電話の117時報とストップウォッチによる。 観測方法・機材 ミード製 LX90-20 (20.3cm F10シュミットカセグレン経緯台・自動追尾) +SP6.4mm(317倍・視野10分)+天頂プリズムによる眼視観測 天候・観測条件 快晴(雲量0/10)、透明度3/5、シンチレーション2/5、月明あり(影響は軽微)。[JOIN:16364] (344)Desiderataによる12等星の食(減光?@坂戸) 2016/2/19/18:14