火星によるχLeo(4.7等)の食

今朝、10月19日早朝に火星が4等星χLeoを隠す食(掩蔽)が起きました。予報で知った1年ぐらい前から一応注目していた現象ですが、この時期は晴天に恵まれるかは微妙。しかし幸いなことに高気圧が覆ったおかげで良好な条件下で見ることが出来ました。

4時前に起床して、まず肉眼で火星の方向を見るも街灯が邪魔をして金星と木星しか見えず。双眼鏡にてようやく木星のそばの火星を確認しました。さらによく見ると、辛うじて火星の下に光点が見えます。

20センチの望遠鏡を道路のギリギリ端に設置。住宅の屋根が邪魔で、現象10分前になってようやく火星が昇ってくるためです。そして、32mmアイピース(62倍)で確認。なんと、木星と同視野ではないか!四大衛星と火星がよく見えます。そしてオレンジの火星のすぐ上にはエメラルドグリーンのχLeoも。まるで重星のアルビレオのようです。もしくは火星が衛星を従えてるようにも見え、四大衛星よりも明るく見えています。もし、地球を遠くから見ると、月がこのぐらいの明るさで見えるかもしれない・・・と思いながら光景を眺めました。

P1190575.jpg4時12分頃。ぶれが大きい。

火星の直径は4秒角しかありませんでしたが、円盤状に見えます。恒星はそれの3~5分の1程度。シーイングのおかげで模様はわかりません。また、木星の縞模様も1本しかわかりません。

火星と4等星が次第に接近していく中、4時20分からは117時報を流しながら観測態勢に入ります。しばらくは両星ともよく見えていましたが、次第に見えづらくなり、22分00秒頃には火星の上にギリギリ見えるかな、という程度に。そして22分30秒には完全に火星の中へ溶けこんでしまいました。

出現の方は、25分40秒~50秒頃には、なんかあるかな?という程度でしたが、26分00秒には確かに存在する、という程度には分かるようになりました。予報では、22分55秒ごろから25分25秒頃までが食だったらしいので(天文雑誌の図からの読み取り)、潜入・出現から30秒以上経過すると2星を分離できたようです(20センチ317倍による観測)。

P1190582.jpg4時32分頃。20センチ317倍トリミング。

当初予想していたとおり、瞬間的な現象はわかりませんでしたが、もし暗縁出現・潜入で、輝面との角距離が大きければ、恒星の出入りが分かるかも?という気はしました。火星の場合は(光度が強い満月状の)最接近時よりは、矩の時の方が恒星食に適しているのかもしれません。あるいは、緑色・青色のフィルターをかけて火星の輝きを弱めれば恒星が見やすくなったかもしれません。

観測が終わって肉眼で見上げると、今度は木星のすぐそばにある2等星の火星もはっきり分かりました。2星の角距離は30分程度しかありません。かなり狭いのですが、月の視直径と同じだと思うと、月が意外と小さいことが分かります。

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