(※この記事は当時の記憶を思い出して書いたものです。2006-01-01。)
2005年12月25日未明に起きた小惑星(1093) Fredaによる2UCAC 47418096(12.2等星)の食の観測です。この現象では、私のところでは減光は起きませんでした。以下、思い出しながら書いたレポ。
この現象の予報時刻をチェックすると夜中の2時。クリスマスイヴなのに寒空に放り出されるなんて、と思いながらソフトでチェックすると、12等星でしかもわずか10秒離れた位置に別の12等星があります。気流の乱れるこの時期、そもそも2星を分離できるのか。『どう考えてもこれ無理だろ』とあまりやる気も起きません。しかし今日も空だけはめちゃめちゃきれいです。12等星なら8センチでも充分見える明るさで、20センチなら余計楽なハズ。それに翌日は日曜日。もし掩蔽帯が頭上を通っていたら猛烈に後悔するでしょう。一旦寝てから目覚ましを掛けたのでは起きない可能性大なので、ラジオを聴き、別サイトの更新作業をしながらそのまま起きていることに。
いつもと同じ要領で望遠鏡をセッティング。さて、目的星を導入しよう、と星図をみると、赤経と赤緯がどこにも書かれていません。慌てて自宅へ戻りつけっぱなしのパソコンでチェックしなおしました。
目的星付近は天の川にあって微光星が多く、星図がないとまず見つかりません。しかも今回の現象は高度が高いので、天頂プリズムに差し替えました。幸い、今回は強拡大した鏡像の星図も用意して置いたので助かりました。
低倍率では接近した重星状で、このままでは観測できません。やむなく倍率を上げます。結局安定して観測するために最高倍率にあげました。これなら、なんとか目的星も明るく見えます。すぐそばの12等星も見えますが、わずかに目的星よりは暗く感じます。それにしても星像がぼやけて気流による乱れもあり、厳しい条件です。
今度はフルに充電した携帯で117に掛け、録音をしつつ現象に立ち向かいます。時間が近づくと心臓のドキドキがストップウォッチを持つ手にまで伝わってきそうです。
何度か光度が落ちて声を出しそうになりましたが、それはすべて気流によるもの。結局現象はおきませんでした。ただ、1秒以内の微小減光であれば見逃していたかも知れません。安堵とショボーンの入り混じった気持ちで引き上げたのでした。
観測の概要
- 観測地と、観測地の経緯度と標高,測地系
- 埼玉県坂戸市内
- 139o27'02"、35o56'45"、21m 国土地理院1/25000地形図より(日本測地系)
- 観測開始と観測終了の時刻
- 25日2時11分00秒~14分00秒
- 減光観測の有無
- 減光せず
- 減光の時刻
- 時刻保持の方法
- 117時報(携帯電話)による。 観測時は[HDDレコーダーによる]録音も行いました。
- 観測方法・機材
- ミード製 LX90-20 (20.3cm f10シュミットカセグレン経緯台・自動追尾) +6.4mmアイピース(312倍) + 天頂プリズムによる眼視観測