2016年3月22日22時ちょっと前に予報されていた現象です。掩蔽帯が200キロもあり、当地での掩蔽確率は97%もあり、かつ減光幅も大きく、先月からずっと心待ちにしていました。
週間予報でも22日はずっと晴天で、幸い予報通りの快晴の空の下観測することができました。ただ、満月の月明は強烈で、しかも透明度は悪く、望遠鏡を向けてみても、対象星は明るく見えません。20センチ62倍では微かで、200倍以上でようやく監視に耐える程度です。
予報30分前には準備が終わったので、木星や満月を眺めながら時間を潰して待ち、15分前に再び対象星に筒先を向けて観測態勢へ。
10分前から録音、5分前から電話を掛けて117時報を流し、予報2分前の21時58分から観測開始です。少々神経をとがらせないと見えない程度には暗い星で、左手で満月光を遮りながらの監視です。30秒前ぐらいから緊張で急に脈拍は速くなってきました。
午後9時59分50秒の時報が過ぎた頃に、突然対象星を見失いました。予報通りの減光です。冷静にストップウォッチのボタンを押し、視野を見回します。12等の小惑星はまったく見えず、出現した時にすぐ見つけられるか少々不安になりながら、星の消えた視野を眺めました。幸い、数秒後には星の明るさが戻るのが分かり、再びボタンを押します。無事、減光観測成功。今年に入って減光観測は3勝1敗。その1敗も、まったく期待していなかった9P彗星のものなので、実質3連勝です。
2分後、観測終了。すぐに野帳にストップウォッチの時間を記録し、部屋に戻って固定電話で時刻あわせを済ませました。継続時間は約6.4秒だったので(最大8秒の予報)、中心では無かったようです。
以下、JOIN報告文より抜粋。
今夜の小惑星(747)Winchester(12.4等)による2UCAC 37852909(11.1等)の食で減光を観測しました。 快晴でしたが、満月近い強い月明で、かつ透明度は良好とは言えない条件でした。 対象星自体は はっきり見えますが、現象を確認するには暗めで、シンチレーションによる瞬間的な明滅が時折起きました。 減光自体は明瞭にわかり、減光中は、対象星(12等級の小惑星)が完全に消失したように見えました。 当地ではかなりの確率で減光が起きると予報されていたので、消えなかったら逆に驚いたかも知れません。 反応時間(個人差)は0.4~0.9秒程度と見積もったので、0.6秒を採用しました。 観測地と、観測地の経緯度と標高 埼玉県坂戸市内 観測開始と観測終了の時刻 2016年3月22日21時58分02秒~22時02分00秒(JST) 減光観測の有無 減光あり(確度4/5) 減光開始 21時59分50.7秒(±0.3秒) 減光終了 21時59分57.2秒(±0.3秒) 反応時間として0.6秒を補正済み。 時刻保持の方法 固定電話の117時報とストップウォッチによる。録音で概略の時刻を確認。 観測方法・機材 ミード製 LX90-20 (20.3cm F10シュミットカセグレン経緯台・自動追尾) +SP6.4mm(317倍・視野10分)による眼視観測 天候・観測条件2/5、シンチレーション2/5、満月の強い月明あり(影響大)。
[JOIN:16415] (747)Winchesterによる11等星の食(減光@坂戸)2016/3/22/23:17