金星太陽面通過から1年

2012年6月6日の金星太陽面通過から1年でした。気づいた時には既に7日でしたが。金環日食の記事と同じく、思い出しながら書きます。

前回の太陽面通過だった2004年6月8日は、平日だったためお昼休みの時間を(12ー13時から)午後2時半~3時半にずらしてもらって自宅で観測しました。とはいえ、曇り空だったためほとんど見えず、雲間から一瞬だけ姿を現した太陽に、2センチぐらいの小さい双眼鏡で向けて、小さい金星の黒点が乗っかっているのを目撃しました。太陽フィルター等も付けず危険を顧みない挑戦でしたが他に方法がありませんでした。その後、日没まで見えていたはずですが、目撃した記憶はないので曇天に阻まれたと思われます。当時の自分の日記によると、朝は晴れ間があったものの、昼過ぎから雲が厚みを増し、半ば諦め気味だったところ、雲間からほんの一瞬だけ太陽の輪郭が見え、すかさず双眼鏡で見ると太陽に空いた小さな穴が見つかった、その間数秒と書いてありました。

そして迎えた2012年。今回は会社を休んでこの日を迎えました。直前に金環日食が起きたこともあり、世間の注目度が異常に高い(前回はまずニュースにもならなかったのに)。幸い週間予報でも晴れベース。

ところが、朝起きてみると天候は最悪。台風が接近したためだ。第1接触を過ぎる頃には雨まで降り出す始末。新潟あたりまで行くことも少しは考えたのですが、最近の自分は異様に晴れ度が高いので第4接触までに一瞬でも晴れれば!と思って敢えて自宅待機。というのも、台風後の晴天域がすぐ西まで迫っていたので、運が良ければ晴れ間がやってくるという期待もありました。

自宅待機中もネットのU-st中継などで各所からの素晴らしい画像を指をくわえて見ていると、いつの間に食の最大の9時半を迎えていました。あと3時間で晴れるか。

他の作業をしつつ時折ベランダの外の外を眺めます。すると、11時過ぎ、空気に暖かみを感じて空には明るさがで始め、ベランダの床に影が!?すかさずベランダの外に出ると太陽の輪郭が!フィルターを装備した双眼鏡を天頂に向けて、屋根にジャマされながらキツい体勢で太陽を探す・・・

・・・・

見えた!!

一瞬でも見えたら大勝利!前回2004年がそうでしたから。しかも天候が快方に向かいつつあり、まだ時間もあります(会社休んだので)。今度は双眼鏡を持って家の外に飛び出してもう少し楽な体勢でも見ることができました。

眼視で見たのなら何としても記念写真の1枚も残しておきたい。前回は(携帯以外の)デジカメは持っていなかったので。雲が行き交う中、その望みも辛うじて叶えられました。

P1150173.JPG

デジカメでズームして直接太陽を撮影したものですが、20枚ぐらい撮って2、3枚に太陽面に浮かぶ金星の黒点が写っていました。

さらには、今日のために買ったと言っても過言ではない11センチリンレン鏡も外に持ち出して(片手で持てる重さ)、フィルターを付けて待機します。しかし、ファインダーが役に立たず視野が狭いためになかなか導入できない。太陽が雲間から出る時間も短いため、なおさらです。苦労してようやく太陽を視野に入れた時、金星の大きさには唖然とさせられました。やはり只者ではない、金星太陽面通過。数日前、内合直前の金星を見ましたが、それでも大きさには驚きました。

P1150176.JPG

手持ちコリメートでの撮影ですが、望遠鏡で撮影できたのは、ピンぼけ写真を含めても数枚でした。

雲が厚くなり、通過も終了に近くなったので機材撤収に向かうと、予想外の晴れ間!もう一つの目標であった接触時のブラックドロップ現象も目撃できました。また、上の欠け際だけ大気光が伸びるような気がしましたが、錯覚かも知れません。この頃には奇跡的に晴れ間が継続したので、部分食状態の金星はよく見え、近所の人にも望遠鏡を覗いて見てもらうこともできました。

P1150203.JPG天頂ミラー使用。

13時42分頃まで見ることができました。

肉眼での観測も試みたのですが、雲が常に行き交う状況で、残念ながら最後まで黒点を見ることが出来ませんでした。また、接触時刻の測定も叶わず。これは105年後の宿題です。

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