(※2014年11月13日記載。この記事の投稿日は観測日に合わせています)
微光かつ微小減光で、非常に不確実な減光として報告した現象でしたが、結果として1回目の減光が他の観測と符合しました。裏付けの取りにくい眼視観測のため、客観性を持たせるために(できるだけ他の成果が公表される前に)報告は早めに行うように、この時以前から心がけていましたが、それでも送信記録を見ると観測から3時間もかかっていました。それだけ迷っていました。
報告メールには記載していませんが、直前に「小惑星が連星らしい」という情報を入れていたので、複数回の減光を警戒していました。1回目の減光の後、直後に起こった(おそらく)シンチレーションによる明滅も、もしかすると連星の片方による減光かもしれないと思い、記録したものでした。実際には、連星といっても接触連星に近いもので、観測時に思っていた冥王星系のような連星ではありませんでしたが。
当時の報告文より抜粋。
今夜(17日)の(234)Barbaraによる2UCAC 34241128(12.0等)の食は、 非常に不確実ですが、減光らしき現象を観測しました。 ただ、目的星の光度が暗く、減光等級がわずか1等級での眼視観測のため、まったく自信がありません。すべてシンチレーションによる見間違いの可能性もあります。 ただ、北崎さんの速報メールによると、柏で大場さんが成功されたとのことですので、もしや?と淡い期待をしています(うまく整合すればいいのですが。。) 2回の続けての減光のあとに、さらにもう1回減光らしき現象がありましたが、最後の1回はシンチレーションによる可能性が強いです(後述) 観測地と、観測地の経緯度と標高,測地系 埼玉県坂戸市内 東経139o 26' 51"、北緯35o 56' 57"、高度21m [世界測地系=Google Earthと地図閲覧サービス(ウォッちず)による。前回(96)Aeglの時との高度差は観測場所の違いによる] 観測開始と観測終了の時刻 2010年1月17日21時13分00秒~17分00秒(JST。以下同じ) 減光観測の有無 非常に不確実な減光が2回(確度1/5)と、シンチレーションと思われる減光が1回(確度0/5)。 減光時刻 1回目 減光開始 21時15分09.7秒 減光終了 21時15分13.5秒 2回目 減光開始 21時15分19.2秒 減光終了 21時15分21.2秒 3回目(シンチレーションによる可能性が大きい) 減光開始 21時15分28.7秒 減光終了 21時15分29.2秒 反応差(0.5秒)補正済み。誤差が大きい(1秒程度)と思われる。 時刻保持の方法 ・携帯の117と、音楽プレーヤーの録音機能を使用しての同時録音。 ・時刻決定は固定電話(NTT-117)による 観測方法・機材 ミード製 LX90-20 (20.3cm f10シュミットカセグレン経緯台・自動追尾) +SP6.4mmアイピース(317倍)+天頂プリズムによる眼視観測 天候・観測条件 雲量0。透明度4/5。 補足 現象の30分前に見た時、両者がほぼ等光の微光の重星のように見えたので、このままでは観測は(暗すぎて)無理だと思っていたのですが、接近して合成等級になって、ようやく最高倍率で観測できる明るさになりました。 観測中は、となりの12.3等星と明るさを比べていました。(小惑星はこれより暗く、合成等級はこれより明るいようだったので)。 実は、ストップウオッチを動かし始めた時に、液晶が乱れ、動かなくなって焦りました。電池がなくなったためでしたが(以前から心配していたが、簡単に電池を交換できないタイプだったので放置していた)、だいぶ心理的にかき乱されてしまいました。予備に回しておいた録音(音楽プレーヤーはiPod-nanoみたいなもので、その録音機能を利用したもの)で助かりました。 声を出すと若干タイミングが遅れるので、(手袋を外し)爪で携帯のボディを叩いて現象を記録する方法をとりました。 1、2回目の減光とも、明瞭ではなく「なんとなく明るさが減っているような?」と思った時刻を記録した程度でしたので、まったく自信がありません。2回目だけが間違ってる可能性もありますし、継続時間がずっと短かった可能性もあります。 (その前後の時間にも瞬間的なシンチレーションによる減光がありました。) 3回目は、シンチレーションかと思いましたが、念のため記録しておきました。 せめて、減光等級が2等級あればもっと明瞭だったと思うのですが・・ 時刻は、すぐに自宅に戻って固定電話の117も録音して携帯との時間差を確認した上で決定しました。
2010/01/18 0:02