2006-11-08小惑星(22)Kalliope-Linus系によるTYC1886-01206-1(9.1等)の食(減光)

今回の現象は、早朝です。朝4時にちゃんと起きれるか不安でしたが、2時ごろに一回目が覚めたときは、この現象の夢を見ていたほどでよほど気に掛けていたらしいw 4時に目覚ましが鳴った時は起き上がるのに20分ぐらい掛かりましたが、ベランダから外を見ると突き刺す満月光とすばらしい冬晴れ。意気揚々として観測に出かけました。

まあ、いくら条件が良いとはいえ自分のところは掩蔽帯の端っこだし、減光確率は40%ぐらいかな?と期待はしつつ通過したときの落胆も思い描いていたのですが、結果的には減光観測に成功しました。

この秋一番の寒さで、今年初めて手袋を着用しました。望遠鏡のセッティングを済ませ、一度目的星を導入して確認。さすが9等星は明るい星です。高度が高いので天頂プリズムが必要でした。鏡像の星図も用意しておいて良かった。

・・・と、10分ほど時間があったので、C/2006 L1ガラッド彗星に向けてみます。以前見た時はずいぶん淡かったうえに満月だったので、まったく期待していなかったのですが、62倍でも意外と見えます。前回の淡い姿はなんだったのか。

この時点でもう4時40分すぎ。慌てそうになりながらも冷静に望遠鏡を目的星に向けなおし、再度目的星導入。ポータブルHDDの録音をセットして携帯で117に電話。すると、携帯の電池残量がほとんどない!そこで慌てず予備電池パックを差し込むと。。。残量が増えない!ここで慌ててパックを落として単4電池がバラバラ~w 幸い観測終了まで電池はもちましたが。

45分、ストップウォッチをスタート。46分から観測開始。今回は恒星が明るいため落ち着いて見ていることが出来ます。

いよいよ現象時刻である48分が過ぎます。『本当に目的星をちゃんと見ているのか?』『だいじょうぶか?』『手袋しているのでボタンの感触がわかりにくい』『ボタンを掛けている人差し指がちょっとかじかんで押しにくいなぁ』と思ったとき、急に9等星が小さくしぼんでしまいました。減光開始です。冷静にボタンを押しますが、減光に少し時間が掛かったようの感じたため、どのタイミングで押していいのか一瞬迷いました。

完全には消えず、少しの明るさを残したまま時間が過ぎます。しかし、予想された30秒どころか、ほんの数秒経ったところで急に復光!

衛星の食キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!?

と脳内で叫びながらww 本体による食を期待して、冷静に9等星を見続けます。しかし、そううまくはいかずに51分、観測終了。とりあえず、ストップウォッチのデータを紙に書き写しておきます(押し間違いリセットを防ぐため)。

月がきれいだったので、手持ちのコンパクトデジカメで何枚か撮影後、撤収しました。(ドキドキしながらも行動は恐ろしく冷静だ)。

自宅に戻ってから固定電話の117時報との照らし合わせと、反応差の算出をします。ストップウォッチの液晶文字を使っての反応差(いわゆる個人差)を再現すると、大体0.4~0.5秒ぐらいに収まっていますが、0.8秒の時もあります。安全をみて誤差は0.3秒としておきました。

何もなかったらすぐに寝るつもりだったのに、気がついたら7時。眠い。そのまま仕事へ向かいました。

「2006-11-08小惑星(22)Kalliope-Linus系によるTYC 1886-01206-1(9.1等)の食」観測の概要

観測者
Aikawa,Reijin
観測地と、観測地の経緯度と標高,測地系
埼玉県坂戸市内
東経139o 27' 02"、北緯35o 56' 45"、高度21m [日本測地系=国土地理院1/25000地形図より]
東経139o 26' 50.4"、北緯35o 56' 56.5"、高度21m [世界測地系=上記日本測地系より算出]
観測開始と観測終了の時刻
2006年11月8日4時46分00秒~51分00秒(JST)
減光観測の有無
明瞭な減光
減光時刻
減光開始 4時48分06.8秒(誤差0.3秒)
減光終了 4時48分10.6秒(誤差0.3秒)
継続時間 3.8秒
反応差0.5秒を考慮。
時刻保持の方法
・ストップウォッチと固定電話の117時報による。
 ・携帯電話の117時報を受信しながらのポータブルHDDレコーダーによる録音も併用(時刻測定には使用せず)
観測方法・機材
ミード製 LX90-20 (20.3cm f10シュミットカセグレン経緯台・自動追尾)
+PL32mmアイピース(62倍)+天頂プリズムによる眼視観測
天候・観測条件
快晴(雲量0)。透明度4/5。満月。観測条件は最良。
付記
減光は、瞬間的ではなく時間を掛けて起きました。
予報・記事
  • http://www.astroarts.co.jp/news/2006/11/02asteroidal_occultation-kaliope/index-j.shtml
  • http://www.astroarts.co.jp/news/2006/11/07asteroidal_occultation-linus/index-j.shtml
  • http://uchukan.satsumasendai.jp/asteroid/0611kalliope.html
  • http://www.toybox.gr.jp/mp366/onm/J061107.00022.pdf
  • 作成:
  • 最終更新: