「ICQフォーマットの解説」 http://www.aerith.net/astro/icq_form-j.htmlからの転載です。

ICQフォーマットの解説

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ICQの電子フォーマット (2007年12月29日版)

      中村彰正 (Akimasa NAKAMURA, a-nakamu@mx2.nisiq.net)       吉田誠一 (Seiichi YOSHIDA, comet@aerith.net) 参考文献: ICQ format for contributors (http://cfa-www.harvard.edu/icq/ICQFormat.html) ICQの電子フォーマット(Machine Readableのフォーマット)はICQに印刷・出版 されるものとは異なっています。1995年より使用されている新フォーマットに ついて紹介します。電子フォーマットでは1目測は1行80カラムで表されます。 IIIYYYYMnL YYYY MM DD.DD eM/mm.m:r AAA.ATF/xxxx /dd.ddnDC /t.ttmANG ICQ XX*OBSxx 1 2 3 4 5 6 7 8 123456789 123456789 123456789 123456789 123456789 123456789 123456789 123456789 但し国内でデータ交換をする場合は、次のような、ICQ XX の欄がない形式で 報告している場合もあります。これは、NIFTY-Serve のように、1行の文字数 が80字以内でないといけない場合があるためです。 IIIYYYYMnL YYYY MM DD.DD eM/mm.m:r AAA.ATF/xxxx /dd.ddnDC /t.ttmANG *OBSxx 1 2 3 4 5 6 7 123456789 123456789 123456789 123456789 123456789 123456789 123456789 1234 日本の場合、特に空白に全角スペース「 」を使わないように注意して下さい。 なお、2003年からは、CCD観測の場合は1行129カラムのフォーマットに変更に なりました。 (1) 1~11カラム IIIYYYYMnL 彗星の番号/符号を置きます。 IIIは周期彗星番号です。周期彗星でない場合はブランク、周期性の確認され ていない(まだ番号が与えられていない)周期彗星は1、2カラムにブランク、3 カラムにPを置きます。 YYYYMnが符号です。半月に10個以上の彗星が発見された場合、YYYYMnLまでが符 号となります。 小惑星の符号を持つ彗星の場合、10~11カラムも使用します。アルファベット 2文字の後に続く数字が100以上になった場合は、100の位と10の位をパックし て、100=「A0」、123=「C3」のように表します。精測観測のフォーマットと順 序が異なりますので、注意して下さい。 Lは分裂核が観測された場合の核の番号です。核の番号は小文字です。以前は大 文字でしたが、2004年に変更になりましたので、注意して下さい。10カラム目が 符号に使われている場合は、11カラムを使います。11カラムも使用済みの場合は 1カラムを使います。 <例> IIIYYYYMnL 1 1P/Halley 16 16P/Brooks 2 1994G1 C/1994 G1 (Takamizawa-Levy) P1993X1 P/1993 X1 (Kushida-Muramatsu) 2001M10 C/2001 M10 (NEAT) 2000WM1 C/2000 WM1 (LINEAR) P2001YXC7 P/2001 YX127 (LINEAR) 51 a 51P/Harrington [Component 'A'] P1994P1d P/1994 P1-D (Machholz 2 Component 'D') 1997BA6a C/1997 BA6-A (Spacewatch Component 'A') a P2003YMF9 P/2003 YM159-A (LINEAR-Hill Component 'A') (2) 12~25カラム YYYY MM DD.DD 観測時刻です(UT)。日は小数点以下2ケタまでの値とします。 光電測光の場合は25カラムめを使って観測時刻を0.001日まで書くことができ ます。 <例> YYYY MM DD.DD 1996 03 02.75 1996年3月3日 3:00 (JST) (3) 26カラム e 大気吸収補正に関する情報をここに置きます。補正を行っていない場合はブラ ンクになります。 補正の仕方にはa,w,sの3つの方法があります。詳しくは別紙の「光度観測の手 引き」を御覧下さい。 次のようなコードもあります。 !:独自の(適切な)方法で補正した $:独自の(適切な)方法で補正した(彗星か比較星のどちらか一方でも高度が 10°より低い) &:彗星の高度が20°以下で、かつ大気吸収補正を行わなかった 比較星の光度を、GUIDEなどのソフトウェアで間接的に調べた場合は、ここに xを置き、コメントとしてどのソフトウェアを使ったかを記入します。26カラ ムがすでに埋められている場合は、75カラムを使います。 <例> IIIYYYYMnL YYYY MM DD.DD eM/mm.m:r AAA.ATF/xxxx /dd.ddnDC /t.ttmANG ICQ XX*OBSxx 2002O4 2002 08 07.72 xS 8.5 TJ 31.7L 6 63 4.4 6 ICQ XX YOS04 GUIDE ver. 6.0 was used. フィルターを使ったCCD観測では、26~27カラムを同時に使うことがあります。 詳しくは「(4) 27カラム M」を御覧下さい。 (4) 27カラム M 光度目測の方法です。 いろんな方法の記号が与えられていますが、ポピュラーなものは次の方法でしょ う。詳しくは別紙の「光度観測の手引き」を御覧下さい。 S:Sidgwick法 B:Bobrovnikoff法 M:Morris法 I:In-Focus法 E:Beyer法 変わったところでは次のような方法もあります。 K:双眼鏡の片方でピントの合った彗星、もう一方でピントをぼかした比較星 を見て目測(Sidgwick法の一種) T:TVモニター上で目測された光度 以下のものは推奨されません。 Q:B法と同じとされているが、観測者が何を意図しているかが、必ずしもはっ きりとしていない光度 O:ピントをはずして目測(どのやり方かは述べられていない) 尚、眼鏡を使って比較星のピントをぼかし、肉眼で目測した場合には、かつて は27カラムにGと書いていましたが、現在では27カラムにはS,Bなどの方法を記 入し、75カラムにGを記入します。 また眼視観測以外では、次のようなコードもあります。 P:写真からの光度 p:TP2415で撮影した写真からの光度 C:フィルターをかけないで撮ったCCD観測からの全光度 c:フィルターをかけないで撮ったCCD観測からの核光度 V:光電測光(Johnsonシステム)のV等級(m1) u:光電測光(Johnsonシステム)のV等級(m2) R:光電測光(Johnsonシステム)のR等級(m1) L:光電測光(Johnsonシステム)のB等級(m1) U:光電測光(Johnsonシステム)のU等級(m1) v:光電測光(Johnsonシステム)、眼視光度に合うようにフィルターを使用 W:光電測光(Johnsonシステム)、バンド不明 J:光電測光(Cousinsシステム)のV等級(m1) j:光電測光(Cousinsシステム)のV等級(m2) k:光電測光(Cousinsシステム)のR等級(m1) r:Gunn rフィルターを用いたCCD光度 g:Gunn gフィルターを用いたCCD光度(LarsonによるRCAのCCD光度) H:Cousins Iフィルターを用いたCCD光度(比較星がV等級であってもHとする) いわゆる「フィーリング法」は目測を行っていないわけですから、ここはブラ ンクになります。 フィルターを使ったCCD観測では、26~27カラムを同時に使うことがあります。 26カラムがすでに埋まっている場合は、75カラムを使用します。 <例> eM IC 赤外カットフィルター SR R60フィルター (5) 28~33カラム /mm.m: 光度を記入します。 目測が不確かな場合は33カラムに:を置きます。ただしどのあたりから「不確 か」であるかの判断は、観測者に任されています。 0.1等まで求められた光度でない時は、記入の仕方に特に注意が必要です。つ まり8.0:は0.1等まで求めたが、やや不確かな目測、8 :は0.1等まで求められ なかった不確かな目測、というわけです。 眼視観測の場合m2(いわゆる核光度)は意味のある目測が困難であるため、通常 は受けつけられません。コメントとして報告してください。 彗星が見えなかった、または写らなかった時には、28カラムに[をおき、[13.5 のようにして光度の上限を示します。その際、比較星をぼかして上限を決めた 場合は、49カラムに!を置き、50~54カラムにその直径を書きます。デフォル トは1.0'です。 CCDで彗星が写らなかった場合のように、ぼかさなかった時は、26カラム(大気 吸収補正の項目)にlを置きます。この場合の光度は恒星の極限等級ということ になります。 <例> /mm.m: 7.2 7.2等 8.0: 約8.0等(0.1等まで求めたが不確か) 8 : 約8等(不確かで、0.1等まで求められず) [13.5 13.5等よりも暗く、見えない (6) 34~35カラム r 比較星の出典です。 よく使われるものは下記のとおりです。これらは「推奨されるもの」「まあま あ推奨されるもの」「推奨されないもの」の3つにランク分けされています。 詳しくは別紙の「光度観測の手引き」を御覧下さい。 AC:AAVSOチャート AA:AAVSOアトラス NP:AAVSOチャートの北極標準星野 S :SAO星表 SC:Sky Catalog 2000.0 Y :Yale Bright Star Catalogue 第3版以前 YF:Yale Bright Star Catalogue 第4版 YG:Yale Bright Star Catalogue 第5版 (天文年鑑にも掲載されている) YZ:Yale Zone Catalogue GA:Guide Star Photometric Catalog - I (A & ApのSupplement) TB:Supernova Search Charts (いわゆるトンプソンチャート) HS:Hubble Guide Star Catalog (いわゆるGSC) HD:Henry Draper Catalog HI:Hipparcos Input CatalogのJohnson V等級 HJ:Hipparcos Input CatalogのHp (こちらの方が眼視等級に近い) TI:Tycho Input Catalog HV:Hipparcos CatalogueのJohnson V等級 HK:Hipparcos CatalogueのHp (こちらの方が眼視等級に近い) TT:Hipparcos/Tycho CatalogueのVT等級 TJ:Tycho Catalogue/Tycho-2 CatalogueのJohnson V等級 TK:Tycho-2 CatalogueのVT等級 AU:ASAS-3のV等級 TA:TASSのV等級 AO:USNO (S)A1.0カタログのR等級 (CCD観測用で、眼視観測には不適) UO:USNO-A2.0カタログのR等級 (CCD観測用で、眼視観測には不適) UV:USNO-A2.0のb、rから求めたV等級 [V = r + 0.375 * (b - r)] LA:Landoltの標準星カタログ (1992年版) SK:LONEOSの標準星カタログ (ftp://ftp.lowell.edu/pub/bas/starcats/loneos.phot) V :出典のわかっている変光星星図 VB:英国天文協会の変光星星図 VF:A.F.O.E.V.の変光星星図 VN:ニュージーランド王立天文協会の変光星星図 VG:五味一明・変光星図 比較星を使うことができなかった観測は、ここのカラムはブランクになります。 また、ステラナビゲータ(バージョン5以前)の標準恒星データ、拡張恒星データ は正規の比較星としては使えません。 この他の比較星については、Recommendations for reference (http://cfa-www.harvard.edu/icq/ICQRec.html) をご覧ください。 ※引用者注:リンク切れにつき http://www.icq.eps.harvard.edu/ICQRec.html を参照。 (7) 36~47カラム AAA.ATF/xxxx 使用した望遠鏡について記入します。 AAA.Aは口径をセンチで、Tは望遠鏡の種類を記入します。またF/はF値を、 xxxxは倍率をそれぞれ右詰めで記入します。 口径の有効数字に注意してください。小口径の既製品を使った場合は口径を 0.1cmまで書きます。 望遠鏡の種類はたくさんありますが、よく使われるものとしては次のようなコー ドがあります。 R:屈折 L:ニュートン反射 B:双眼鏡 W:ライトシュミット H:イプシロン C:カセグレン T:シュミカセ S:シュミットニュートン D:シュミット Y:リッチー・クレチアン M:マクストフ U:クーデ O:オペラグラス A:カメラ P:プライムフォーカス E:肉眼 眼視以外では倍率のカラムはブランクになります。 カメラのファインダーを覗いて眼視観測した場合の倍率は0になります。但し、 カメラレンズにアイピースをつけて目測した場合は、普通にレンズの焦点距離/ アイピースの焦点距離で計算される倍率を書きます。 口径、F値、倍率は、すべてround evenで記入します。詳しくは別紙の「光度 観測の手引き」を御覧下さい。 また写真やCCDの場合には、倍率の欄には露出時間を書きます。露出時間は秒 単位で、右詰めで書いて下さい。44カラムにはaを置きます。但し、1,000秒を 超える場合はaの代わりにA、2,000秒を超える場合はaの代わりにBを44カラム に置き、45~47カラムには露出時間の下3ケタの数字を書いて下さい。 <例> AAA.ATF/xxxx 20 L 6 80 20cmニュートン(F6) 80X 12.0B 20 12cm20X双眼鏡 25.4T 6 60 25cmシュミカセ(F6.3) 60X ※ 10インチ 16.0H 3 50 ε-160(F3.3) 50X 20.3T10 125 C8(F10) 125X 7 R 10 7cm10Xファインダー 0.0E 1 肉眼 0.7E 1 肉眼(瞳径がわかる場合) 10.7A 4a 60 300mmF2.8望遠レンズをF4に絞って60秒露出 60.0Y 6a240 60cmF6RCで240秒露出 16.0H 3A200 ε-160(F3.3)で20分(1,200秒)露出 同じ望遠鏡を使い、光度と視直径(あるいは尾)を倍率を変えて目測した場合 (ICQではあまり勧められない)は、ここに光度を目測した倍率を書き、コメン トにその他の目測に使用した倍率を書きます(複数の望遠鏡を使用した場合は、 別々の観測として報告します)。 (8) 49~54カラム /dd.dd コマの視直径を´(分)の単位で書きます。 49カラムには&(およそ)や、>(より大きい)、<(より小さい)という 記号が入ります。 ここでも有効数字の桁数に注意が必要です。 <例> /dd.dd 3 3' 3.0 3.0' 0.42 25" 72 1.2゜ & 4 約4' > 5 5'以上 コマ全体で測光しないで中心部分だけで測光した場合には、測光に使った部分 の直径(アパーチャサイズ)を′(分)単位で書き、49カラムに + を書きます。 <例> /dd.dd + 0.5 コマの視直径はもっと大きいが、中心の直径0.5′の部分だけを使っ て測光した。 (9) 56~57カラム DC DC(中央集光度)を書きます。DCを目測しなかった場合はブランクにしておきま す。 左詰めです。良く間違われますので注意して下さい。 5と6の中間なら5/とします。 55カラムめに次の記号を置いて、0から9までの数字だけでは書けない細かい記 述をすることができます(必要がなければブランクのままにしておきます)。 d:コマの中に淡い円盤状の集光あり。ただしDCに与える影響は1-2よりも小さ く、m1にもほとんど影響を与えていない。 D:コマの中に明るい円盤状の集光あり。DCやm1にかなり影響を与えている。 s:コマの中に淡い恒星状、もしくはほとんど恒星状の集光あり。ただしDCに 与える影響は1-2よりも小さく、m1にもほとんど影響を与えていない。 S:コマの中に明るい恒星状、もしくはほとんど恒星状の集光あり。DCやm1に かなり影響を与えている。 <例> nDC 0 完全に拡散状 9 完全に恒星状 5 DC=5 4/ DC=4~5 S5 DC=5、コマの中にほぼ恒星状の集光あり、影響大 (10) 59~67カラム /t.tt ANG 尾の観測値を書きます。尾が見えなければブランクにしておきます。 t.ttは長さで、゜(度)の単位で書きます。 ただし64カラムにmかsを置いた場合は尾の長さを分や秒の単位でも報告できま す。その場合小数点の位置が61カラムではなく62カラムになりますので注意が 必要です。 59カラムの/には49カラムと同じく&や<や>が入ります。 長さが9.99゜を超える尾については59カラムを10゜の位に使います。この場合 尾についての&や>といった記号が書けなくなりますが、必要ならコメ ントとして別に報告すれば良いでしょう。 ANGは尾が伸びている方向の位置角で、北から東回りに測った角度です。 2本以上の尾が見えた場合は主な(明るい方の)尾について記入し、もう一方の 尾についてはコメントしておいてください。 尾がカーブしている場合は、尾の根本の位置角を報告します。尾の曲がり方や、 尾の終点の位置角も、コメントとして別に報告すると良いでしょう。 尾の位置角はround evenで記入します。詳しくは別紙の「光度観測の手引き」 を御覧下さい。 <例> /t.ttmANG 0.03 250 p.a. 250゜に0.03゜の長さの尾あり &0.04 90 p.a. 90゜に約0.04゜の長さの尾あり >0.05 118 p.a. 118゜に尾あり、長さは0.05゜より長い 2.4m293 p.a. 293゜に2.4´の長さの尾あり 25 s 87 p.a. 87゜に25"の長さの尾あり 35 270 p.a. 270゜に35゜の長さの尾あり ? どうも尾があるようだ (11) 69~74カラム ICQ XX 観測の出典を表します。ICQへの報告の際にはICQ XXとします。 (12) 75カラム * 特殊な用途に使われます。 ICQに掲載された観測を修正する場合は、ここに*を置きます。ICQに掲載され る前に修正する場合は不要です。 肉眼彗星を、眼鏡を使って比較星のピントをぼかして観測した場合は、ここに Gを置きます。 Tycho CatalogueのVT等級とB-Vから、ICQ Guide to Observing Comets P.65の 変換式を使って眼視等級(mv)に変換した場合は、ここに%を置きます。 (13) 76~80カラム OBSxx 観測者のコードを記入します。 コードのまだない人は姓の頭3文字の後にxxをつけた仮のコードを使用してく ださい。例えばKinoshitaさんならKINxxさんといった具合です。「EZA 」の ように、コードに数字が付かない場合は、必ず空白を2文字付けて下さい。 ※ この文書はフリーです。自由に引用・再配布可能です。

光度観測の手引き (2002年 8月14日版)

      中村彰正 (Akimasa NAKAMURA, a-nakamu@mx2.nisiq.net)       吉田誠一 (Seiichi YOSHIDA, comet@aerith.net) この文書は、別紙の「ICQの電子フォーマット」に書き切れなかった、彗星の 光度観測を行う上でのポイントをいくつかまとめたものです。 ●光度目測の方法 眼視観測で彗星の光度を測る時には、主にこの4つの方法が使われます。 S(Sidgwick)法: ピントの合った状態で彗星の大きさとコマの平均の明るさを記憶し、そ の大きさまで恒星をぼかし、記憶したコマの明るさと比較する。 B(Bobrovnikoff)法: ピントをぼかしていって、彗星と恒星が同じ大きさに見えるようになっ た時点で比較する。 M(Morris)法: ピントをぼかしていって、彗星のコマ全体の明るさが均一になった時点 の大きさと明るさを記憶し、さらにぼかして、恒星が記憶した彗星の大 きさと同じ大きさになった時点で、記憶したコマの明るさと比較する。 I(In-Focus)法: ピントを合わせたまま比較する。 ●比較星の出典 光度測定に用いる比較星は、「推奨されるもの」「まあまあ推奨されるもの」 「推奨されないもの」の3つにランク分けされています。略号については、 「ICQの電子フォーマット」を御覧下さい。 Recommended: AE, AH, AP, AS, AT, CA, CD, CE, CF, CG, CH, CI, CJ, CK, CL, CM, CN, CO, CR, D , EA, EB, EC, FA, GA, GP, HD, HE, HI, HJ, HR, JT, L , LB, LM, MC, ME, MK, ML, MM, MT, MV, NH, NN, NO, NP, NS, PA, PB, PC, PI, PK, RB, RC, SA, SD, SE, SM, SP, SS, SW, TG, TI, TS, V ,VB, VF, VG, VN, WA, WB, WC, WD, WE, WF, WG, WW, YF, YG Weakly Recommended: A , AA, AC, C , CS, HP, MP, MS, OH, S , Y Not Recommended: AN, BD, HS, RA, SC, TB, W , WH, UO ●round even ICQフォーマットでは、口径、F値、倍率、尾の位置角はround evenで記入しま す。 <例> 0.5→0 1.5→2 2.5→2 3.5→4 4.5→4 5.5→6 6.5→6 7.5→8 8.5→8 9.5→10 ※ 末尾が5でなければ通常の四捨五入。 ●大気吸収補正 光度目測を行う場合には、同じ高度にある比較星を用いるべきです。しかし、 実際には彗星と高度が異なる比較星しかとれない場合もあります。大気吸収に よって、高度の低い星ほど実際よりも暗くなってしまうため、特に彗星や比較 星の高度が低い場合には、この高度差による測定誤差が無視できなくなります。 そこで、彗星か比較星のどちらか一方の高度が30°よりも低い場合には、以下 の方法によって、大気吸収補正を行わなければいけません。 天頂距離zの星についての吸収量は、下の表のようになります。吸収量は大気 の乾燥度や観測地の海抜h(km)によっても変わります。表aには平均的な大気吸 収量を載せてありますが、冬のように乾燥している時には表w、夏のように湿っ ている時には表sを使います。ICQフォーマットの26カラムには、利用した表 (a,w,sのいずれか)を置きます。 C/1995 O1 (Hale-Bopp)の例を挙げます。1997年 3月 9日朝に海抜0kmの場所で 観測し、アルタイル(0.77等)とベガ(0.03等)の中間に見えたとします。この時 のそれぞれの天頂距離は70°(Hale-Bopp)、59°(アルタイル)、31°(ベガ)だ とします。この時、表wのh=0の値を使うと、それぞれの吸収量は0.72等 (Hale-Bopp)、0.48等(アルタイル)、0.28等(ベガ)ですので、比較星の修正光 度は1.25等(アルタイル)、0.31等(ベガ)となります。彗星はこの中間ですから、 修正光度は0.8等になります。ここから吸収量0.72等を引いて、0.1等が報告す べき光度となります。 [表a] z h = 0 h = 0.5 h = 1 h = 2 h = 3 1 0.28 0.24 0.21 0.16 0.13 10 0.29 0.24 0.21 0.16 0.13 20 0.30 0.25 0.22 0.17 0.14 30 0.32 0.28 0.24 0.19 0.15 40 0.37 0.31 0.27 0.21 0.17 45 0.40 0.34 0.29 0.23 0.19 50 0.44 0.37 0.32 0.25 0.21 55 0.49 0.42 0.36 0.28 0.23 60 0.56 0.48 0.41 0.32 0.26 62 0.60 0.51 0.44 0.34 0.28 64 0.64 0.54 0.47 0.37 0.30 66 0.69 0.59 0.51 0.39 0.32 68 0.75 0.64 0.55 0.43 0.35 70 0.82 0.70 0.60 0.47 0.39 71 0.86 0.73 0.63 0.49 0.40 72 0.91 0.77 0.66 0.52 0.43 73 0.96 0.81 0.70 0.55 0.45 74 1.02 0.86 0.74 0.58 0.48 75 1.08 0.92 0.79 0.62 0.51 76 1.15 0.98 0.84 0.66 0.54 77 1.24 1.05 0.91 0.71 0.58 78 1.34 1.13 0.98 0.76 0.63 79 1.45 1.23 1.06 0.83 0.68 80 1.59 1.34 1.16 0.91 0.74 81 1.75 1.48 1.28 1.00 0.82 82 1.94 1.65 1.42 1.11 0.91 83 2.19 1.86 1.60 1.25 1.03 84 2.50 2.12 1.83 1.43 1.17 85 2.91 2.46 2.13 1.66 1.36 86 3.45 2.93 2.53 1.97 1.62 87 4.23 3.59 3.10 2.42 1.99 88 5.41 4.59 3.96 3.09 2.54 89 7.38 6.26 5.40 4.22 3.46 90 11.24 9.53 8.23 6.42 5.28 [表w] z h = 0 h = 0.5 h = 1 h = 2 h = 3 1 0.25 0.21 0.19 0.15 0.13 10 0.25 0.22 0.19 0.15 0.13 20 0.26 0.23 0.20 0.16 0.14 30 0.28 0.25 0.22 0.17 0.15 40 0.32 0.28 0.24 0.20 0.17 45 0.35 0.30 0.26 0.21 0.18 50 0.38 0.33 0.29 0.24 0.20 55 0.43 0.37 0.33 0.26 0.22 60 0.49 0.42 0.37 0.30 0.25 62 0.52 0.45 0.40 0.32 0.27 64 0.56 0.48 0.43 0.34 0.29 66 0.60 0.52 0.46 0.37 0.31 68 0.65 0.57 0.50 0.40 0.34 70 0.72 0.62 0.55 0.44 0.37 71 0.75 0.65 0.57 0.46 0.39 72 0.79 0.69 0.60 0.49 0.41 73 0.84 0.72 0.64 0.52 0.43 74 0.89 0.77 0.68 0.55 0.46 75 0.94 0.82 0.72 0.58 0.49 76 1.01 0.87 0.77 0.62 0.52 77 1.08 0.94 0.82 0.67 0.56 78 1.16 1.01 0.89 0.72 0.60 79 1.26 1.10 0.97 0.78 0.66 80 1.38 1.20 1.06 0.85 0.72 81 1.52 1.32 1.16 0.94 0.79 82 1.70 1.47 1.29 1.05 0.88 83 1.91 1.65 1.46 1.18 0.99 84 2.18 1.89 1.66 1.34 1.13 85 2.53 2.20 1.93 1.56 1.31 86 3.01 2.61 2.30 1.86 1.56 87 3.69 3.20 2.82 2.28 1.91 88 4.72 4.09 3.60 2.91 2.45 89 6.44 5.58 4.91 3.97 3.34 90 9.80 8.50 7.49 6.05 5.08 [表s] z h = 0 h = 0.5 h = 1 h = 2 h = 3 1 0.32 0.26 0.22 0.17 0.14 10 0.32 0.27 0.23 0.17 0.14 20 0.34 0.28 0.24 0.18 0.15 30 0.37 0.30 0.26 0.20 0.16 40 0.41 0.34 0.29 0.22 0.18 45 0.45 0.37 0.32 0.24 0.19 50 0.49 0.41 0.35 0.26 0.21 55 0.55 0.46 0.39 0.30 0.24 60 0.63 0.53 0.45 0.34 0.27 62 0.68 0.56 0.48 0.36 0.29 64 0.72 0.60 0.51 0.39 0.31 66 0.78 0.65 0.55 0.42 0.34 68 0.85 0.70 0.60 0.45 0.36 70 0.93 0.77 0.65 0.50 0.40 71 0.97 0.81 0.69 0.52 0.42 72 1.02 0.85 0.72 0.55 0.44 73 1.08 0.90 0.76 0.58 0.47 74 1.15 0.95 0.81 0.61 0.49 75 1.22 1.01 0.86 0.65 0.53 76 1.30 1.08 0.92 0.70 0.56 77 1.40 1.16 0.99 0.75 0.60 78 1.51 1.25 1.07 0.81 0.65 79 1.64 1.36 1.16 0.88 0.71 80 1.79 1.49 1.26 0.96 0.77 81 1.97 1.64 1.39 1.06 0.85 82 2.19 1.83 1.55 1.18 0.95 83 2.47 2.06 1.75 1.32 1.07 84 2.82 2.35 1.99 1.51 1.22 85 3.28 2.73 2.32 1.76 1.41 86 3.90 3.25 2.75 2.09 1.68 87 4.78 3.98 3.38 2.56 2.06 88 6.11 5.09 4.32 3.28 2.63 89 8.33 6.93 5.89 4.47 3.59 90 12.68 10.56 8.97 6.80 5.47 ※ この文書はフリーです。自由に引用・再配布可能です。

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