文献によっては「ウィルド」「ビルド」「ワイルド」彗星とも記載されている。2006年に探査機・スターダストが接近し、史上初の小天体サンプルリターンを達成した彗星として知られている。特に変哲もない普通の短周期彗星で、初めて観測した時の1997年には、そのような歴史的な彗星になるとは思いもよらなかった。
2010年の回帰。
探査機接近直後で注目された回帰。見え方は1997年の時同様小さく集光した姿に終始したが、半年にわたって見え続ける息の長い観測となった。前回帰の2003年は、太陽の向こう側で観測出来なかった。
標準等級は、H10=8.82、H20=6.63で、1997年の時より1等級ほど暗かった。また、今回帰も近日点通過前が明るかったが、(他者の観測とも照らし合わせると)通過後2ヶ月頃に若干増光していたようだ。
1997年の回帰。
初めて挑戦した時は、8センチの小口径だったのであまり期待を持たずに望遠鏡を向けた。ところが、自分で位置推算した位置とは外れた場所に、予想外に明るい集光天体があったので、もしかして新彗星か!?と色めき立った記憶がある。何度も計算しなおして、結局計算間違いに気づいたが、報告先の電話番号を確認するところまでいった。
夜半前に南中したのに、最初の方の観測で夜半過ぎの時刻のものがあるのは24時まで夜勤があったため。その点も思い出深い。また、ちょうどヘール・ボップ彗星が接近している頃でもあった。近日点を前に観測が途切れてしまったが、春の悪天候とヘール・ボップ彗星の観測疲れがあったのかも知れない。
標準等級は、H10=7.88、H20=5.45。ただし近日点前に光度のピークが来たようだ。