C/2014 W2 (PanSTARRS) パンスターズ彗星

北天の空に見え続けた微光彗星(まとめ)

2015~2016年の冬季に見られた彗星のうち、もっとも微光に終始した彗星です。近日点距離は2.7auと遠めで光度も12等よりも明るくなりませんでしたが、北天高く位置し、集光度は強めだったおかげで20センチクラスの望遠鏡でも見ることができました。また、6等まで増光したC/2013 X1パンスターズ彗星と同じぐらい長い期間見え続けました。

一定の明るさで見え続けたように思えてしまいますが、この間何度か暗すぎて見出すことができない時期もありました。COBSのデータを細かく見ると、近日点通過した2016年3月前後の2~3ヶ月間は光度の落ち込みがあます。実際に彗星の光度が暗くなっていたのかもしれませんし、単に地平高度が低かったことによる効果かもしれません。

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グラフの光度式では、計算上は標準等級がマイナスになってしまいますが、日心距離の変化が小さくlog rの係数が求めにくいことも一因です。それでもH10=6.1、H15=3.9ほどで、太陽に近づけばC/2013 X1並に明るくなりうる彗星だったことはわかります。

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観測記録一覧

2014W2_001-editPosi.png

24.81UT m1=13.3, DC=4, dia=0.5' (20.3cmSCT 206x)

13等星にごく近く重星状に見えているような気がしたが、自信が無く非観測として諦めかけていたが、彗星の移動につれて13等星から離れ、明瞭に見えるようになった。167倍~317倍で見える。ほとんど微星状だが、わずかに拡散しているようにも思える。光度はそばの13.6等星より暗い(並み)が、別の13.2等星とはほぼ等光。

2014W2_003-editPosi.png

  • 17.80UT m1=12.8, DC=4-5, dia=1.0' (20.3cmSCT 167x)

以前は暗すぎて見えなかったが、今日はなんとか見える。やや拡散したコマ。中央集光はある。星状の核があるようにも思えるが、ちかくの14等星かもしれない。5時30分頃に移動を確認できた。光度はちかくの12.9等星とほぼ同じ~明るい?

(追記)「スケッチNo.2」は不確実観測のため、非掲載です。

2014W2_004-editPosi.png

  • 10.84UT m1=12.2, DC=4, dia=1.2' (20.3cmSCT 100x)

あまり期待していなかったが、20センチ62倍でそれらしいかすかな光斑がわかり、100倍→167倍まで上げて確かに彗星であることがわかる。今までと違ってわりとあっさり見えた。集光は強くないが、100倍以上で13等星のそばにあるのがわかる。コマもある程度大きい。ちかくの12等星より暗く、12.3等星並み。彗星には14.0等星(極限等級以下)が重なっているようだ。もう少し早い時間に見ておくべきだった。

2014W2_005-editPosi.jpg

  • 04.72UT m1=12.5, DC=4-5, dia=0.5' (20.3cmSCT 167x)

実に3ヶ月ぶり。その間、2月17日、4月8,12日には13等以下で見えなかった。暗くなっていたのか、高度が低かったせいかも。100倍以上~206倍で見え、133~167倍で見やすくなる。ほとんどかすかな微星状だが、注意するとコマが拡がっているのはわかる。集光は強い。光度はちかくの12.9等星以上、12-13等星の重星よりは暗いか、ほぼ同じ。3時頃には移動も確認できた。

2014W2_006-editPosi.jpg

  • 11.74UT m1=12.2, DC=5, dia=1' (20.3cmSCT 133x)

ほとんど微星状。20センチ62倍~167倍のどの倍率でも見える。100~133倍が見やすく、167倍では帰って薄れる。ほぼ星状の核がある。よく集光。光度は11.9等星とも12.9等星とも近い。11~13等星が似た明るさに見える。約20分でも移動がわかる。